www.tv-asahi.co.jp
www.famitsu.com
僕にとっては生まれてからちょうど半世紀の日に、「テレビゲーム総選挙」が放送されたということに、なんだか不思議な因縁を感じました。思えば、小学生時代に「テレビゲーム」にはじめて触れ、カセットビジョンのカクカクキャラから、「ゲームセンターのゲームが家でできる!」と、ファミコンの登場に歓喜し(なかなか買えなかったけれど)、その一方で、「マイコンのゲームに比べたら、ファミコンのゲームなんて子供だまし!」とか、耳年魔『ログイン』読者でもあった子供時代でした。
実際、憧れの『ウィザードリィ』とか『ウルティマ』をプレイしてみると、「うーん、自分には『ドラクエ』のほうが面白いみたいなんだが……」だったのですけど。
「ゲームセンターは不良のたまり場」で、補導員におびえながら薄暗いゲーセンを彷徨っていた時代のことを考えると、「ゲーム大好き!」とアイドルが公言している時代になったのは、まさに隔世の感がありますね。
さて、この『ゲーム総選挙』、けっこう楽しみながら観ていました。
「万人ウケするゲーム」が上位に入っている、最近のゲームがやっぱり有利(とくにシリーズが続いているもの)、という印象ではあったのですが、100位までみても、「組織票で入ったようなクソゲー」は無くて、このファミコンから40年近くの時間に積み重ねられたテレビゲームの層の厚さに感慨深いものがありました。
『幻想水滸伝2』19位、とか、ちょっと泣ける。
そして、僕が1位だと予想していた『スーパーマリオブラザーズ』は100位以内に入っておらず(『3』はベスト10に入っているのですが)、『ストリートファイター2』は91位、『ダービースタリオン』もランク外だったんですよね。
この総選挙では「今もリアルタイムで遊ばれているゲーム」が強かった、とも言えそうです。
しかし、なぜ『初代スーパーマリオ』や『ファミスタ』がランクインしなかったのかは、やっぱりよくわからないな……
というわけで、これも良い機会なので、僕の「ひとりテレビゲーム総選挙ベスト10」を御紹介したいと思います。
それは「総選挙」なのか?という疑問があるのは承知の上ですが、せっかくだから、このビッグウェーブに乗りたい!
ちなみに()内は、僕がそのゲームを主に遊んだハードです。
「スーパー」じゃないほう、です。
ファミコンというハードが出たとき、僕がいちばん衝撃を受けたのが、「ゲーセンの『マリオブラザーズ』が家で遊べること」だったのです。2人同時プレイがすごく楽しいこの「スーパーじゃないマリオ」は、ファミコン発売後、デパートのおもちゃ売り場のデモ機で、ずっと誰かが遊んでいて、僕もやりたくて、でも「僕も遊ばせて!」って言えなくて遠巻きにして眺めていたのを記憶しています。
今となっては「スーパーマリオブラザーズ」のほうが有名なんですが、「スーパーマリオ」って、発売当時はそんなに話題になっていなくて、遊んでみたらすごく面白くて驚いたんですよね。僕はプレイするまで「マリオブラザーズの名前を使ったクソゲー」だと予想していたので。
こんな単純なゲームのどこが楽しいんだ?と画面写真を見て思い、プレイしてみるとやめられなくなる。
『ゲームボーイ』があれだけヒットしたのは、『テトリス』の力が大きかった(あとはなんといっても『ポケモン』)。
ゲーム機持ち込み禁止の高校の寮で、隠れて『テトリス』をやっていたのを思い出します。ハイスコアが出せそうなときにかぎって、寮監が巡回してくるんだよなあ。シンプルなだけに飽きなくて、重宝しました。
このエントリで思い出話を書きました。
fujipon.hatenablog.com
PC8801mk2SR以上版のデモをマイコンショップで眺めていたのがいちばん鮮やかな記憶なのですが、遊んだのはファミコン版でした。
アドベンチャーゲーム好きとしては、忘れられない作品です。
第7位 ゼビウス(アーケード)
ゲームセンターのゲーム機に100円玉を入れるのが小遣い的に難しかった子どもの頃、ゲーセンでこのゲームを誰かがプレイしているところやデモ画面を延々と見ていたのを思い出します。
オープニングテーマはいまでもすぐに頭の中で再生できる。
『マイコンBASICmagazine』にサイドストーリーが掲載されたり、うる星あんずさんたちが同人誌で攻略本をつくっていたり、「世界観を持ったゲームの先駆者」としても記憶に残っています。
「バキュラに256発弾を当てると破壊できるらしい」というような「ゲーム都市伝説」もありましたね。
(6)シュタインズ・ゲート(PSP)
僕がPSPで遊んだのは、話題になってから何年か過ぎたあとだったのですが、最初は「こんなオタクでニッチな世界観のゲーム、理解できる人がそんなにいるのか?(僕はわかるけど……)」という印象だったんですよ。いまや「オタクの街」の秋葉原って、僕が子どもの頃は電気街で、そこで父親が電気製品を値切っている姿をはじめて見て、複雑な気持ちになったのを思い出しました。
ひたすら圧倒的なテキストを読み込んでいくゲームであり、本を読んだほうが安くて手っ取り早いのではないか(のちにアニメ化されて大ヒットしています)、などと思いつつ、主人公の絶望ループに引き込まれてしまいました。
失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した
とか、こんなオッサンにやらせてしまうくらいの影響力があるので、10代とかでこの作品に直撃されたら、けっこう人生変わった人も多かったのではなかろうか。
(5)逆転裁判3(ゲームボーイアドバンス:GBA)
『逆転裁判』シリーズ初代がGBAで出たのが2001年なんですね。もう20年経つのか……
僕はこのシリーズ、大好きなんですよ。昔から法廷ドラマ好き、というのもあって。
推理ものとしてはかなりぶっ飛んだストーリーなのですが、それでいて、最低ラインの「スジ」は通っており、毎回、クライマックスでは「こういうことか!」と思わせてくれる。
とくに『3』は、『1』~『3』の3部作の集大成になっていて、最後は寝る間も惜しんで、旅行中に飛行機の中で延々とプレイしていた記憶があります。その旅行の主な思い出は『逆転裁判』になってしまいました。
近作では『大逆転裁判』も素晴らしかった。
正直、20年経つと、毎回すべての証言を「ゆさぶる」とか、証人の奇妙な動きを見せられるのがかったるくなってきているのも事実なのですが、それがないと『逆転裁判』らしくないのも事実なんですよね。
(4)ファイナルファンタジー7(PS)
このゲームのおかげでコンビニでテレビゲームが売られるようになり、プレイステーションはセガサターンを大きく引き離した、という「歴史の分岐点になったゲーム」でもあります。
当時は「グラフィックが凄すぎて、どこが移動できる場所なのかわからない」という困惑もあるのですが、いま見ると「いかにもポリゴン」って画面で、時代の変遷と技術の進歩を感じます。
主人公が途中でお休みしちゃうとか、「〇〇〇〇ショック」など、いまでも語り継がれるシーンもたくさんあるのですが、2020年にPS4で出たリメイク版も素晴らしかった。リメイク版が完結するまでは死ねないな、と思ってはいるのですが、『シェンムー』みたいにならないことを願っております。
(3)三国志(シャープX1)
高校時代、寮から週末に家に帰ってきたときに、それこそ毎週朝まで延々とこのゲームをやっていたのを思い出します。
もともと『三国志』マニアだったので、このファミコンと同じくらいの値段のゲームをやりたくてしょうがなかったのですが、元は十分取れたはず。
それぞれの武将に個性があったのと、武将の引き抜きを行うときに軍師のアドバイスで成功率がわかるため、「味方になってくれるでしょう」が出るまで、何度もやり直していたのを思い出します。あと、敵の兵糧がある場所を火計で焼いて、兵糧を奪って勝つという「山賊戦法」とかやっていたなあ。
しかし、親になって考えてみると、せっかく週末に家に帰ってきたのに、部屋でゲームばっかりやっている息子には、淋しさもあったのではなかろうか。うーむ。
とにかくなかなか買えなかった記憶があるこのゲームなのですが、当時よく行っていたデパートで、「いつも来てくれるから」と、「とっておきの1本」を売ってくれたのを思い出します。
『ドラゴンクエスト』のなかでは難易度が高く、ロンダルキアの大洞窟や「すいもんのカギ」などの難所もあったのですが、難しさがゆえのクリアしたときの喜び、みたいなものもあったんですよね。『ドラゴンクエスト』の映画のようなエンディングに魅せられ、その続編への期待も高かったのですが、『2』のエンディングの「この道わが旅」には、本当に感動しました。このスタッフロールに自分の名前があったら、もう思い残すことはないだろうな、と思ったのを覚えています。
良くも悪くも、僕の人生を変えてしまったゲームといえばこれ。「ゲーム総選挙」でランクインしていなかったのはちょっと寂しかった。
ファミコンでの第1作は、牡馬しか生まれず、血統を紡いでいくことはできないし、レースは8頭立てだったのですが、このゲームで競馬に興味を持ったおかげで、毎月『優駿』を読み、成沢大輔さんの『ダービースタリオン全書』で血統や競馬の歴史にハマり、光栄やJICCが出していた競馬本を読みまくりました。馬券も買うようになって、30年近く競馬と付き合い続けています。なんのかんの言っても、ここまで生きてくるのに「毎週、競馬が行われている」ことは大きな支えになりました。
近作のスイッチ版もやってはいるのですが、システムもグラフィックも進化しているはずなのに、昔ほどハマれないのは僕が年を取ったからなのか、環境が変わってしまったからなのか……
僕どころではなく、このゲームがきっかけで「競馬沼」にハマり、人生が変わってしまった人がたくさんいるのです。
きっと、これから10年、20年後には『ウマ娘』で競馬に興味を持った、という人たちが、競馬界で仕事をしているのだろうな……
こうして並べてみると、やっぱり子どものころ、若いころに遊んだゲームというのは記憶に残りやすいものみたいです。
僕はファミコンブームの時代に「セガマーク3」を応援しながら『BEEP!』を読んだり、「マイコンゲームのほうが高度なんだ」と信じていて、「みんながやっているファミコンになんか流されないぞ!」と突っ張っていたつもりだったのですが、こうしてみると、流されまくっているなあ。
やっぱり、半世紀生きてきても、テレビゲームは楽しい。
テレビゲームがある時代を生きられてよかった、と心から思っています。
「もっと未来のゲーム」で遊べる子どもたちがちょっと羨ましいし、それができるような世の中を残さなければ、とも考えているのです。