ついに、『FINAL FANTAJY VII REMAKE』が発売されました。
『FF7』全部ではなくて、何本かに分割してのリメイク、ということなのですが、いま、このタイミングでの発売には、なんだかちょっと「救世主」っぽい感じさえする。とはいえ、現在我が家のPS4は子どもたちとともに疎開しており、僕自身は悶々としているわけだが。もう一台PS4買ってしまいそうなのだが、PS5も出るらしいし……
これまで、プレイステーション(PS)版そのままの移植版は何度か発売されてきた『FF7』なのだけれど、今回のリメイク版でクラウドやエアリスの姿をみると、けっこう感慨深いものがあります。そして、PS版が発売された、1997年1月31日にはこの世界に存在していて、今はもういなくなってしまった僕の周りの人たちのことを思い出してしまうのです。
あの当時、1997年の『FF7』は、本当に「エポックメイキングなゲーム」でした。
「ファイナルファンタジーがPSで!」
この一報は、『バーチャファイター2』を擁するセガサターンと『リッジレーサー』『鉄拳』などで応戦するPSの差を一度に広げてしまいました。
PSとセガサターン(SS)のどちらを買おうか、と様子をみていた人たちも「あの人気RPGの続編」が出るということで、一気にPS購入に踏み切っていった。
一本のゲームソフトが、ハードの「覇権」を決定づけたというのは、歴史上、ファミコンの『スーパーマリオブラザーズ』と、この『FF7』だけだと思います。
『FF7体験版』がついていた『トバルNo.1』は大ヒットしたのですが、「体験版のほうがメインで、『トバル』はおまけ」とか言われていたものなあ。
発売延期の後、ついに発売されたFF7は、PS本体が品切れになるくらいの人気を博したのです。
コンビニでゲームソフトを買うというのも、このゲームがきっかけ、というか、結果的には『ファイナルファンタジー7』だけはすごく売れた、のです。
懐かしいなデジキューブ。「コンビニでこんなに単価が高いものが売れるなんて!」というオーナーの驚きの声も多かったと記憶しています。
もともと価格が高いゲームソフトを、わざわざ定価で買う人は、そんなにいないし、ダウンロード販売も一般的になってきた今から考えると、信じられない話ではありますが。
当時は「定価でもいいから、なんとか『ファイナルファンタジー7』を手に入れたい!って人がたくさんいたくらいの、大ヒットだったんですよ。
このゲーム、当時発表された他のRPGよりも、グラフィック、サウンドともに一時代先をいっているゲームで、主人公「クラウド」と宿敵「セフィロス」の生まれいずる悩みを軸にしたストーリーや、途中、主人公クラウドが人格崩壊しちゃうところなどは、当時爆発的に流行っていた『エヴァンゲリオン』の影響が大きいと言われていました。
FF7のストーリーで、最も物議を醸したのが、「〇〇〇〇の悲劇」。
当時、スクウェアには「どうやったら〇〇〇〇を助けられるのか?」という問い合わせが殺到したそうです。
このリメイク版では、もしかしたら、そこになんらかの変化が(あるいは、別ルートが)あるのだろうか。
けっこうあっさり乗り換えるクラウドに当時は憤ったものでしたが、23年経つと、その気持ちも理解できるようになりました。
そもそも、〇〇〇〇だって、「乗り換え組」だし!
1997年としては超美麗な背景(遊園地のイベントは、すごく印象的だった)が、あまりに凝りすぎていたために、どこが通れるところなのかわからずに道に迷ったりしたものです。
「セ〜フィロ〜ス」というコーラスに驚いたボスのテーマも含め、音楽も素晴らしかった。
今でもけっこう頻繁にサントラを聴いています。
PS最初にして、至高のRPGだったと思う。
もし、これがサターンで出ていたら、今のソニーとセガは、全く別の立場になっていたかもしれません。
当時の「次世代機競争」をリアルタイムでみていた僕は、まさに、このゲームのおかげで「プレイステーションが天下をとった」のではないかと思っていました。
関係者の「後日談」を集めてみると、PSとSSに関しては、遅かれ早かれ、こういう結果になったのだろうな、と今は考えているのですが。
この本の著者は、サターンとプレイステーションが覇権を争っていた時代、半年に一度くらい、ソニーの久夛良木さん(プレイステーションの生みの親)と2人きりで食事をして、さしさわりのない範囲で情報交換をしていたそうです。
そんな中で久夛良木さんに、「秀樹ちゃんね、俺に勝てるわけないじゃない」といわれた。「半導体どっから買っているの? 日立から買っている。ヤマハから買っている、CD-ROMはどうしている? みんな買っているでしょ。日立から買うってことは、日立も利益出しているでしょう。カスタム品にしても何にしても、うちは自分で作っちゃう。工場もあるもんね」。
ソニーは全社の売上が3兆円ある。さまざまなハードを作っているから、CD-ROMを自前で手配できる。中新田あたりにどでかい工場があって、そこでオーディオ機器を作っている。半導体の工場も持っている。そこのラインにのっけてしまえばコストのストラクチャーが全然違う。
「だから秀樹ちゃん。もう半導体なんかやめなさい」といわれた。ソフトだけやるのであれば、ソニーとしてもそれなりに優遇するから、と。
セガも、コストダウンのためにさまざまな努力をしていたことを著者は証言しています。
しかしながら、家庭用ゲーム機に必要なパーツのほとんどを社内で調達できるソニーに比べると、外注するしかないセガは、あまりにも不利でした。
そして、セガには、宮本茂さんも横井軍平さんも、岩田聡さんもいなかったのです。
ゲームソフトも、ひととおりのものは自社内で開発できてしまうがゆえに、サードパーティに思い切って「任せる」ことができなかった。
それでも、『FF7』は、ものすごくわかりやすい「ゲームの歴史の転換点」であり、今回こうして気合の入ったリメイクをされたことは、僕にとっても感慨深いのです。あの頃、一緒にゲームをしていた人たちは、いま、どうしているのだろう(……とか言ってみたけど、けっこうまだ付き合いがある人も多いな)。
なんとか、この『FINAL FANTAJY VII REMAKE』が完結するくらいまでは生き延びたいと切実に思っています。
〇〇〇〇は、23年越しに救われるのだろうか?
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