いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

『1』の低評価を『2』で「大逆転」してしまった、『大逆転裁判』の魅力を語る。

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 久々にゲームをひとつ、クリアした。
 最近は、ものすごく忙しい、というわけではないのだけれど、ひとつのゲームに10時間とか20時間を費やすのも勿体ないというか、集中力が持続できなくなってしまっている。
 そんななかで、しばらく積んでいた『大逆転裁判2』をはじめてみたのだが(というか、『2』の前に『1』を復習したので、さらに時間がかかってしまった)、この『大逆転裁判2』が予想外に面白かったのだ。
 『逆転裁判』シリーズは前作クリアしているのだが、正直、最近はマンネリ気味ではあった。
 まあ、シリーズが出るのは年に1本くらいだし、何十時間もかかるわけでもなく、『スプラトゥーン』のように、ものすごく上手い連中をみて、あまりの道のりのながさに、入園口でため息ばかりつくこともないのが、このシリーズの良いところだ。
 やればやれるだけ、とりあえず先に進むし、いつかはエンディングに辿り着く。他人と比べることもない。
 今は、行き詰まったら、ネットで答えを検索することもできる。

 正直、『大逆転裁判』の「1」に関しては、「及第点ではあるが、ボリュームも内容も、物足りないゲーム」だった。
 それぞれのエピソードもスッキリしない終わり方だったり、それは、ズルじゃないのか、と疑問になったり、謎を残したまま、というか、ほとんど何も解決しないまま終わってしまった。
 これまでの『逆転裁判』シリーズは、1~3を通じての大きな謎解きがありつつも、それぞれの作品がちゃんと盛り上がって終わっていたのだが、『大逆転裁判』は、「これ、『週刊少年ジャンプ』の10週打ち切りマンガかよ……」というラストだったのだ。


 『大逆転裁判2』は、楽しみにしていた、というよりは、「行きがかり上、最後まで見届けておくかな」という、気乗りしない状況で遊び始めたのだ。
 『1』があれだと、まあ、そんなに期待できないだろうけど……


 ごめん、僕が悪かった。
 すごいよ『大逆転裁判2』。とくに中盤以降のこれまでの謎が主要登場人物と見事に繋がって解決していく流れには痺れた。
 巧舟は生きていた!(というかもとから死んでないです。すみません)
 謎解きも、簡単すぎることもなく、さりとて、僕なりに考えて証言や証拠品を丁寧に見直してみると、ちゃんと「答え」が見えてくるという、絶妙な難易度だった。
 全く攻略サイトに頼らずにアドベンチャーゲームをクリアしたのは、久しぶりのような気がする。
 ぶっ飛んだ展開が持ち味の『逆転裁判』シリーズとはいえ、「こっちの証拠品や証言でも良いはずなのに、なんでそれ?」と言いたくなるようなことは少なくないのだけれど、この『大逆転裁判2』は、ちゃんと考えさせてくれて、考えた見返りがある、というバランスになっている。
 攻略サイトを見るのはもったいない、という気がしてくるのだ。
 『シャーロック・ホームズ』の有名なエピソードがうまく取り入れられていたり、『1』で投げっぱなしだったようにみえた謎がうまく(とはいっても、このシリーズなりの強引さはあるけれど)回収されていて、ラストは、ジグソーパズルの終盤に、残りのピースが次々にはまって完成していくような高揚感がある。
 なんかめんどくさいだけの存在だったホームズさんも、最後は別れがたくなってしまったし。


 もし、『1』をやって、「こういうのじゃないんだよなあ……」と、『大逆転裁判』に見切りをつけてしまった人がいたら、騙されたと思って、『2』までやってみてほしい。たぶん後悔しないから。
 『1』だけなら、100点満点中の60点か70点の作品だったのだが、『2』までクリアすると、95点くらいに跳ね上がる。
 個人的には、『逆転裁判3』をクリアしたときの興奮を久々に感じることができた。
 

 「正義のためなら、手段を選ばない」のは、許されるのか?
 『DEATH NOTE』もそうなのだけれど、実際のところ、「悪いヤツは超法規的な力で排除する」という世の中になれば、全体としては凶悪犯罪は減ると思う。
 たぶん、大部分の人にとっては、そのほうが「平和な社会」のはず。
 こういうコンテンツでは、そんな超法規的な存在が邪悪化し、暴走するのが通例なのだけれど。
 「多少息苦しくても、安全・安心度が高いほうがいい」という人のほうが多いのかもしれない。
 いまのインターネット社会というのは、まさにそういう「ゆるやかな相互監視社会」に向かっているようにも見える。


 まあ、それは余談なのですが、『1』の低評価を『2』で「大逆転」してしまった、『大逆転裁判』。僕の2017年ベストゲームでした。


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