いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

『はてなブックマーク15周年』に寄せて〜「ブックマークされる側」にとっての15年間を振り返る


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はてなブックマーク』15周年、おめでとうございます。
と、型通りの祝辞を述べてはみたものの、僕と『はてなブックマーク』は、この15年間、微妙な関係を続けてきました。

というか、個人的には嫌いです。
書いている側からすれば、間違いを指摘してくれたり、拡散されるきっかけになったりしてくれる、ありがたい面は多々あれど、個人攻撃や嫌がらせの巣窟にもなりやすいサービスでもあるんですよね。

とりあえず、僕がこの15年間に『はてなブックマーク』について書いてきたエントリの一部をご紹介しておきます。


fujipon.hatenadiary.com
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fujipon.hatenablog.com
fujipon.hatenablog.com
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これ以外にも『はてなブックマーク』に関しては、いろいろ書いているのですが、とりあえず思いついたものを挙げています。

僕のなかでも、「こんな書いている人を軍隊アリみたいに大勢で(かつ、自分たちはノーダメージで)攻撃できるシステムは害悪だ」と考えている時期と、「とはいえ、コメントにはパクリや情報の誤りを指摘したり、自分の至らないところを指摘してくれるものもあるし、やっている人たちが楽しんでいるのなら、一部の迷惑コメンテーターを理由に廃止とか言うのは了見が狭いよな」と思っている時期が入れ替わり立ち替わりやってきている、という感じです。
やっぱり、自分が叩かれているとイヤになる、というのはあります。
そういう意味では、最近はあまりブックマークもされなくなったので、落ち着いている、とも言えますね。

何度か書いているのですが、「ブックマークコメント」を非表示にすると、だいたい、1〜2割くらいPV(ページビュー)数が減るのですが、それによる精神的な安定とどちらをとるかは、その人次第、というところでしょう。

ネットにものを書くということには、批判を受け入れる覚悟が必要だ、というのはわかる。
でも、「批判にもなっていない誹謗中傷をしながら、『(私の)批判(だけ)は受け入れるべき』とか言っている人」の多さには、がっかりします。
そう言っている人たちが、「お前なんて嫌いだ」というだけのことを書き続けているのをみると、やっぱりダメージは受けるんですよ。僕はあえて、「こんな恥ずかしいコメントを書いている人がいる」のを見てもらうために「非表示」はほとんど使っていませんが(僕の個人情報や家族に関して危害を加えるようなコメントや噓とかデマとかを書く人に対しては使ったことがあります)、もう戦うのにも疲れたので、「表示はする。でも、自分のブログに対するコメントは原則的には読まない」と今は決めています。

「殴り返してきたら、お前も俺達と同じ『暴力をふるっている』ことになるんだからな」と言って、こちらの反撃を封じようとしながら、殴りかかってくるような人もいる。

嫌がらせや欲求不満解消ツールみたいな使い方をしている人に限って、「はてなブックマークの問題点」を指摘すると「言論統制だ」とか、「はてなブックマークにはネットのデマや偏りを指摘する力がある」とか言うんですよね。

もちろん、ブックマーカー全員が悪いわけではない、というか、最近は『はてなブックマーク』も、全体的に以前よりだいぶ穏やかになってきた印象もあります。
「妻が妊娠した」というエントリに、「胸糞悪い」とか書くような人は、ほとんど見なくなりました。
それでも、ある党派の人たちが、フェミニズムとか政治などのエントリに対して、一斉にバッシングをして、スターをつけあっているのをみると、なんだかなあ、とは思います。
まあ、「示し合わせただけではない。みんなが自由に使っている結果そうなった」ということなのでしょうけど……

15周年というのは、けっこう長い時間で、『はてなブックマーク』は、ネットのなかで、「エントリやニュースを拡散するためのツール」として重宝されてきましたし、それゆえに「互助会」によって利用され続けてもいます。
僕は、「はてなブックマーク」の利用者が増え、総ブックマーク数が多くなれば(使う母集団が大きくなれば)、「キュレーションのためのツール」として成熟し、党派性とか嫌がらせ目的の人たちが薄められるのではないか、と思っていたのです。

ところが、この15年間、ある程度は利用者が増えたのでししょうけど、大幅な利用者増はみられなかったようで、結局のところ、1000くらいがブックマーク数のひとつの「天井」(もちろん、もっとたくさんブックマークされているものもたくさんあります)で、アクティブな利用者数はほとんど変わっていないようにも思われます。
サービスそのものはシンプルで便利なのに、新しく「はてなブックマーク」を始めようという人がそんなに増えないというのは、既得権益者たちの行動が、参入のハードルを上げているのかもしれません。

もっとも、今は情報の拡散もSNSが主流の時代なので、「利用者の質の問題」にしてしまうのは、僕の思い込みなのでしょう。
むしろ、この時代に、ソーシャルブックマークをこれだけの人が続けているというのは、『はてなブックマーク』が魅力的なサービスであることの証明でもある。

正直、僕にとっては、愛憎入り乱れ過ぎているサービスなんですよ「はてなブックマーク」って。
めんどくさいなあ、無くならないかなあ、と思うこともあるし、「2020年に残っている、20世紀のインターネットの空気感を伝承している数少ない場所」として、貴重なものだと感じてもいる。

Yahooニュースのコメント欄とか、(無くなったけど)BLOGOSのコメント欄をみていると、「はてなブックマークは、まだマシなのかも」という気もします。
それでも、「嫌い」を見ず知らずの人からぶつけられる側にとっては、けっこう辛いものではあるんですよ。
ほんと、東出さんとか、自業自得とはいえ、きついだろうなあ、って思います。

ひとつ僕なりの改善点をあげるとすれば、「ブックマークコメントにスターをつけられる機能」は、『うまく悪口を言う競争』を助長しやすく感じるので、やめてほしい(ここに書いてもムダでしょうけど)。


fujipon.hatenadiary.com
b.hatena.ne.jp



ああ、そういえば、このエントリのブックマークコメントは、今でもときどき見返しては「見知らぬ人たちのぬくもり」みたいなものを感じています。長男はもう11歳になりました。
はてなブックマーク」は、ときどき、奇跡みたいに優しい場所になることがある。
偉そうに悪口ばかり書いているけれど、『はてなブックマーク』は、僕にとって、大切なものを与えてくれたツールでもあるのです。それも、間違いない。


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