いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

2016年「本屋大賞」は、宮下奈都さんの『羊と鋼の森』

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2016年本屋大賞は宮下奈都さんの『羊と鋼の森』が受賞しました。
2位が『君の膵臓をたべたい』、3位『世界の果てのこどもたち』。
個人的には、納得の結果でした。
「人気」では『君の膵臓をたべたい』かな?と思っていたのですが、地味で静謐なのだけれど真摯な物語の『羊と鋼の森』や、とても大事なことが書かれているのだけれど、長くて内容的にも重いので読むのがつらくなる『世界の果てのこどもたち』がこれだけ高く評価されて良かったなあ、と思います。


この受賞に関する話で、ちょっと驚いたのがこれ。
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本が売れない時代だとは言いますが、宮下奈都さんは、2012年に『誰かが足りない』で、本屋大賞の最終ノミネート10作に選ばれ、7位に入ったことがあります。
歴代受賞者のなかでは、一般的な知名度はそんなに高くないかもしれませんが(そもそも、リリー・フランキーさんや百田尚樹さんのような場外乱闘で目立ってしまう人と比べるのもおかしいわけで)、歌手でいえば「紅白歌合戦に一度は出場したことがある」くらいのポジションかと。
それでも、初版は6500部なのか……初版の印税だけじゃ食べていけないよね……
ということは、他の作家は推して知るべしというか、「本にもならない」という人も少なからずいるのだろうな。


こういう形で、良作にスポットライトが当てられると、『本屋大賞』も捨てたもんじゃないな、と思える結果でした。
まあ、『君の膵臓がたべたい』が大賞をとってドラマ化され、ジャニーズのイケメンが「非コミュ男子」役になって、「そいつ、ぜーーったい違う!」って言わずに済んだのも、とりあえずよかった、かも。


ちなみに、僕の個人的な順位と予想はこちらです。
fujipon.hatenablog.com

毎年、けっこういい線いっていたのですが、今年は大外れ。
でも、気持ちの良いハズレでした。


ところで、いろんなニュースの見出しで「又吉さんの『火花』は受賞ならず」と書かれていたのですが、『本屋大賞』的には、作品そのものへの評価というより、「もう、これ以上『火花』に賞をあげなくても良いよね」という空気がこの最下位という結果を生んだと思われます。
こういう場合、ノミネートすること自体が、作家・作品にとっても、『本屋大賞』にとってもマイナスにしかならない気がするのですが、だからといって、発走除外にするのも難しいのだろうなあ。


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ちなみに、ピアノ調律師の仕事に関しては、こんな新書もあります。
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本屋大賞2016

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