いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

『ルパン三世VSキャッツ・アイ』の「これでいいんだよ感」について

www.lupin-vs-catseye.com


2023年1月27日から、Amazon prime videoで独占配信されている、この『ルパン三世VSキャッツ・アイ』。
ああ、『キャッツ・アイ』懐かしいなあ、Amazon prime会員なら無料だし、ということで観賞しました。

こういう『VSもの』って、僕は昔からけっこう好きなのです。
子どもの頃、『東映まんがまつり』で、『グレートマジンガー VS ゲッターロボ』に「どっちが勝つのだろう」と「わくわく、わくわく」しながら観に行ったら、結局、両者が直接戦うことはなく「共闘」で、「それ、『VS』とは違うんじゃないか?」と思っていました。
アベンジャーズ』のほうが、よっぽど仲間内で戦ってるよ!

子ども心に「VSもの」として記憶に残っているのは『ルパンVSホームズ』です。
当時、小学校の図書館で、推理小説が流行っていて、僕は「乱歩の少年探偵団はガキが読むものだ」と思っていたので、怪盗アルセーヌ・ルパンにハマっていたのです。こっちのほうが、ちょっとオトナっぽいということで。
世界を代表する探偵VS怪盗の対決!
まあ、『ルパン』の作者のモーリス・ルブランコナン・ドイルに許可を得ずに書いた作品でもあり、なんとなく「ルパン寄り」っぽくもあったのですが、さすがに遠慮もあったのか、「とりあえず引き分け」みたいな話ではありました。

だいたい、映画の「VSもの」って、直接対決しないことが多いですよね。対決しても、完全決着はつかない。
……って書こうとしたら、『ゴジラ VS メカゴジラ』『ゴジラ VS ビオランテ』とかは、バチバチにやりあっていました。


余談はこのくらいにして。

ルパン三世VSキャッツ・アイ』、prime videoやNetflixでいろんな映画やアニメ、ドキュメンタリーを観はじめては1話だけで放置したり、途中で観るのをやめてばかりの僕も、90分、ラストまで観ることができました。
正直、予告編を観たときには、キャラクターの絵柄に抵抗があったというか、これ、『キャッツ・アイ』の三姉妹と違うんじゃない?と思いましたし、あまり期待もしていなかったのです。Prime VideoやNetflixの「世界配信のオリジナルコンテンツ」は、お金をかけられる、というメリットがある一方で、「海外でも受け入れられやすいようなキャラクターやストーリー」に寄せられてしまうことが多いのです。

日本の原作を使ったNetflixのオリジナルアニメに対して「面白いとは思うのだけれど、なんだか微妙にのめり込めない」のは、そういう「ターゲットの違い」を察してしまうからなのかもしれません。
ルパン三世VSキャッツ・アイ』に関しては、キャラクターが動いているのを見ていると、違和感は少なくなりましたし、なんといっても、ほとんどのキャラクターをオリジナルのキャストがあてているのが大きかった。
やっぱり、「声」「声優」の存在って、大きいよなあ、と。
代替わりして、いまも定期的に作品がつくられている『ルパン三世』の声優さんたちの「現役感」に比べると、『キャッツ・アイ』に関しては、「ああ、声優さんたちも、年を重ねてきたのだなあ」と感慨深いものがあるんですよ。もし、『キャッツ・アイ』をリメイクして1クール(3か月間)放映するということになれば、声優さんの代替わりは不可避かもしれません。『うる星やつら』がそうであったように。
CITY HUNTER』の新作アニメのときもそうだったのですが、昔の作品を観ていた僕としては、「それでも、昔と同じキャストが頑張って演じている」こと、それだけで「もう、この作品を許します!」という気分になってしまうのです。

この『ルパン三世VSキャッツ・アイ』に関しては、単発の「お祭り」であることや、90分という比較的観やすい時間にまとめられていること、「新しいこと」にあえて挑戦するよりも、あの頃の『ルパン』や『キャッツ・アイ』らしさ、『ルパン』に関しては、テレビシリーズからすれば、やや異端の映画『カリオストロの城』のルパン寄りにすることによって、「安心して観られて、懐かしさにも浸れる、最良の佳作」に仕上がっていると思います。
それぞれのキャラクターにも、短いながらも、ちゃんと見せ場が用意されていましたし。えっ、その斬鉄剣どうしちゃったの?コンニャク出てきた?とかは、ちょっと思いましたが、これは「お祭り」だから、まあいいよね、と。
「これ、もうちょっと観たいな」というくらいが、こういうお祭りにはちょうどいいのかもしれません。

「すごい!」「すばらしい!」というよりは、「これでいいんだよ、こういうので!」という「マンネリ、定番大好きおじさん」に自分がなってしまったことが悲しくもあるのですが、ここから、『キャッツ・アイ』に興味を持つ若い人だっているはずです。
正直、ルパンに関しては、キャラクターの絵柄もそのシリーズ、作品の雰囲気でけっこういろんなものがあるので、これはこれで、という感じではあったのですが、『キャッツ・アイ』は、やっぱり僕が観てきた昔の絵柄のほうがいいなあ、とは思うんですけどね。ただ、昔のアニメを観返してみると、思い出ほど作画がハイレベルでもなかったのです。記憶って、だいたい美化されるか、単純化されるものだし。

キャラクターの絵をみて、「うーん」と思った人にこそ、最初の10分くらいだけでも試しに観てほしい。
ただ、今は、その「10分」の敷居が高い時代ではありますよね……


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