発売が2020年4月10日だったので、一応のエンディングを見るまでに、3ヵ月半くらいかかってしまいました。プレイ時間は、寄り道はサブクエストはほぼ全部こなして45時間くらい。
このゲーム、サブクエストは数も種類も豊富とまでは言い難いのですが、ハードモードでのクリアとキャラクターのレベル上げに注力すれば、70〜80時間くらいは遊べるのではないでしょうか。
23年ぶりの『FF7』だったのですが、正直「キャラクターが23年前と同じ名前、似たような格好なのはわかるけれど、ストーリーとかはほとんど記憶になかった」のです。
それでも、断片的に覚えているところはあって、こんな幽霊みたいなのは出てこなかっただろう、とか、ティファって、最初からこんなにクラウド寄りのキャラクターだったっけ?とか思いはしたんですよね。
23年前の『FF7』では、ラスボス前に「えっ、ティファ、今までそんな感じじゃなかったのに、いきなり、そこまで来るの?」ってちょっと驚いた記憶が残っています。
今回の『FF7リメイク』、23年前の懐かしさが無い人にとっては、どんな感じだったのか大変興味があるのと同時に、グラフィックの進化と表現力、についてあらためて考えさせられました。
セリフじゃなくて、微妙なキャラクターの表情の変化や沈黙によって感情の変化が伝わってくるのは本当にすごい。
ある場面で、危険に飛び込むのをためらう様子のバレットをみて、「ああ、これはマリンのことを心配しているのだな」と「察する」ことができるのです。
まあ、グラフィックの進化というのは「アバランチがお尋ねものになっている世界で、背中に大きな剣を背負っている男や腕にマシンガンがついている男をみて、誰も怪しんだり通報したりしない」という不思議な世界をつくってしまってもいるわけですが。
このゲーム、「時間の使いかた」というか「間のとりかた」みたいなものがすごく洗練されているのです。
主人公がエアリスと出会って、エアリスを家まで送っていく場面があるのですが、やたらと道が入り組んでいて、家の屋根を伝ったり、梯子を上り下りしたりして、けっこう長い時間二人で歩くことになるんですよ。
でも、その二人で歩いている時間に、クラウドとエアリスの距離が少しずつ縮まってくる感触がプレイヤーにも伝わってくるのです。
こういう「一緒にいるのが心地よくて、なんだか家に帰りたくない感じ」を「移動時間を引き延ばすこと」によって表現しているのが凄い。
ゲームでの「移動」って、大概まだるっこしいものではあるのですが、あえて、そういう「間合い」をつくっているのです。
そういうのって、作り手の自己満足に終わりがちなのだけれど、『FF7リメイク』は、僕にとっては、すごく「刺さる」間を持っていました。
ジェシーが出てきたら、「ジェシー、なかなか良いじゃん」と思い、「ティファ、こんなにフレンドリーだったっけ?」と驚く。もう、エアリス要らなくない?という気分になるのだけれど、「ああ、エアリスは魔物だ……」と思わずにはいられない。
「岡部、そこはここまでの経緯から言っても、まゆりだろ!」と思いつつも、牧瀬紅莉栖に惹かれてしまう(by『シュタインズゲート』)。
現実には、ティファもエアリスもいないんですけどね。でもまあ、いないからこそ、ゲームとか小説のキャラクターに存在意義があるとも言える。
僕も年をとったせいか、昔はフィクションに対して「こんなことは現実にはありえない!」って反発しまくりだったのですが、最近は「せめてフィクションのなかでだけでも、人が幸せになっても良いじゃないか」と思うようになりました。
原作どおりであるとすれば、『FF7リメイク』の続編には悲劇が待っているわけですが、どうなるんだろうなあ。良くも悪くも、あれがないと『FF7』じゃない気はするし、23年経ったのだから、もう時効で、めでたしめでたしで良いのではないか、とも思うし。
そもそも、このペースだと、僕が生きているうちに完結するかどうか、途中で制作打ち切りになるんじゃないか、という不安もあります。
あと、僕の個人的な気持ちとしては、「もう『FF7リメイク』は、ここで終わりにして、とりあえずハッピーエンド、みたいな感じでも良いんじゃないか」とも考えてしまうのです(原作でのこの後の展開を知っていることもあって)。
映画『ロード・オブ・ザ・リング』でも、ガンダルフが助けにきて大逆転した2作目の『二つの塔』をみて、これで終わったら幸せそうだなあ、と思ったんですよね。結局完結する3作目まで観ましたけど。
「終わる」というのが、怖いというかもったいない、という思いにとらわれることがある。
この『FF7』の戦闘をやっていると、評判が悪かった『FF15』も、スクウェア・エニックスの開発者にとっては、ちゃんと血肉になっているというか、あのバトルを踏まえて、「アクションっぽく、しかもそれほど反射神経を要さずに戦っている感じ」が確立されているなあ、と感心するのです。何これ?と思うような敵でも、ちゃんとパターンや弱点を把握して対応すれば勝てるようになる。
とはいえ、面倒くさがりな僕は、「ヘルハウス!!」のアナウンスにひたすら打ちのめされ、地味に相手のヒットポイントを削り続けることになりました。
適当にサブクエストとかをこなしていれば、そんなにレベル上げの時間をつくらなくても、緊張感があるバトルでストーリーを進めていけるくらいのバランスも絶妙です。
以前、桜井政博さんが、「テストプレイヤーが『自分はなんとかクリアしたけれど、これは他のプレイヤーには難しいかもしれない』と口を揃えて言うくらいの難易度がベスト」と書かれていたのですが、『FF7リメイク』のバトルは、まさにそのくらいになっています。
やたらと堅い敵がいたり、召還獣の存在意義がいまひとつわからなかったりもするのですが。
だいたい、このゲームは「続編ありき」で作られているのだと思いますが、この『リメイク1』のキャラクターを引き継ぐことになるのかどうかもわからないし、次作はPS5になるのだろうか。
物議を醸している、ストーリー的には『FF7』の5分の1くらいの「ミッドガル脱出」までしか描かれていない、という点に関しては、プレイする前は「手抜き&見切り発車かよ」という印象だったのですが、この『リメイク1』のエンディングまでみると、このクオリティならしょうがないな、と納得せずにはいられませんでした。
デキが良いからこそ「ここで終わりなの?」って言いたくなるところもあるのかもしれません。
まあ、僕は「ここで終わっても満足派」なんですが、これで終わると「『週刊少年ジャンプ』の10週打ち切りマンガみたいな終わり」ではありますし。
毎回、1〜2時間くらい遊んで(ついつい夜更かししてしまうことも少なからずあったのですが)、さすがにもう寝る時間だとセーブして電源を落とすたびに、「ああ、今日も面白かったな!」と心の中で呟かずにはいられないゲームは、けっこう久しぶりだったんですよ。
「懐かしさ補正」みたいなものはもちろんあると思いますが、前作ファンをここまで楽しませてくれるリメイクというのも、なかなか無いのではなかろうか。
こういう「一本道の日本型RPG」はどうしても受けつけない、という人もいるとは思いますし、武器ひとつひとつをわざわざカスタマイズしていくのは面倒とか、詰め込みすぎて煩わしくなっているところもあります。
でも、本当に久しぶりに「コントローラーを触っているだけで楽しい」感覚を取り戻せたような気がしているのです。
このリメイクが完結するくらいまでは、なんとか(ゲームができる状態で)生きていたい。
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