いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

なぜ、人は同じ検索を繰り返すのか?


 昨日の夕方、帰宅しながらカーラジオを聴いていた。
 パーソナリティが最近の出来事について話す短いコーナーで、話の内容は『100日後に死ぬワニ』のことだったのだが、それはまあ、そんなに心に残るようなものではなかった。
 
 だが、このコーナーのBGMに使われていた曲が、とても気になったのだ。
 どこで聴いたのかは思い出せないのだけれど、何度も聴いてきた曲。学校の音楽の授業だったかなあ、何かのアニメだったかなあ……
 その曲は、笛(フルート?)の音色が印象的な美しくもせつない感じで、文字にすると、ヒャラーラララ ラーラララ― ラララ ララララー、というところか。

 しかしながら、これだけ検索が進化した世の中でも、この曲の名前をどう調べていいのかよくわからなかった。
 番組内で紹介された曲であれば、アーティスト名や曲名の一部でもわかれば、なんとかなりそうな気がする。歌詞の一部でもヒントになるだろう。
 ところが、この曲はそのコーナーのBGMとして流れていただけなので、当然、パーソナリティはBGMについて何も触れない。
 なんて曲だったかなあ、これ。なんだかやたらと気になる。でも、どうやって検索すればいいんだ……
 仕方がないので、「ヒャラーラララ ラーラララ― ラララ ララララー」を、Googleで検索してみると、「Yahoo質問箱」に、同じように「クラシックの曲名がわからないので、自分なりに文字起こししてみたのですが、なんて曲だかわかりますか?」という質問がけっこうたくさんあった。
 みんな考えることは似たようなものらしい。
 でも、この検索で出てきた曲は、「これじゃない……」というものばかり。
 それでは、と手持ちのiPhoneのSIRIに歌ってみたのだが(とても人前ではできないが)、まったく理解してもらえず。
 曲名がわからなかったからといって、何かデメリットがあるわけではないのだが、僕はこういうときにわからないままにしておくのがかなり不快なのだ。

 あの笛の音は、フルートではないか、ということで、「クラシック フルート 名曲」で検索し、挙がってきたものをいくつか聴いてみて、ついに僕はその曲名を知ることができた。
(注意・動画は音が出ます!)


シチリアーノ/フォーレ(Siciliano /Faure)


そうそう、これだよ……

この曲名で、思い出したことがあったのだ。

そういえば、僕は2年くらい前にも、このフォーレシチリアーノ』という曲を聴いて、タイトルを知りたくて検索しまくったのだった。

あのとき、あんなに熱心に調べて、ようやく知った曲名を、何かのノートに書き残した記憶まであるのに、僕はそれをすっかり忘れて、また同じようにスマートフォンの前で歌ってしまったのだ。

人というのは、いろんな過去のことをすぐに忘れてしまい、同じことを繰り返す生きものなのだな、とあらためて思い知らされた。
「人というのは」じゃなくて、僕の物忘れが激しくなっただけなのか。


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フォーレ:室内楽全集第1集

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