これを読んで、僕がはじめて『はてな』に出会った頃のことを思い出していたのです。
教科書にのらない!はてなの歴史 - はてな10周年! #hatena10th - はてな
これは2011年、『はてな10周年』の際に公開されたものなのですが、いま、あらためてみてみると、感慨深いものがあります。
もうすでに無くなってしまったサービスも少なからずあり、ついに『はてなダイアリー』も『はてなブログ』に統合されようとしているのだから。
『はてな』って、最初は「人力検索サイト」だったんですよ。
こういうサービスが画期的なものとして生まれた背景には、2001年の時点では、Yahoo!やGoogleなどの検索サイトがあまりアテにならなかったこと(全体の情報そのものも少なかった)がありました。
安いコストで質問者と良心的な専門家や知識がある人を結びつけるサービスというのは、良いアイデアだなあ、と感心したものです。
僕自身も何度か質問者・回答者として利用したのですが、検索サイトでは見つからないような知識が得られて感心したこともあれば、問題のある回答者(質問に答えるのではなく、質問者への嫌味や意味不明なアドバイスばかり書いてくる)に辟易したこともあります。
ベスト回答者をきめて、報酬を分配する、というのもけっこうめんどくさくて、結局、機械検索のほうがラク、という結論に達してしまったんですよね。
『はてな』は、ずっとユーザーの「集合知」に期待しつづけている会社だけれど、「自由度が高い」がゆえに、ノイズや争いが多い場所でもあったのです。
この「検索で本当に欲しい情報が得られない」というのは、最近も話題になっているんですよね。
ハードやシステムが進歩しても、情報を提供するのも利用するのも人間であるかぎり、そこにお金も絡んでくるとなると、「必要な情報を必要としている人に」というのは本当に難しい。
僕は20年以上ネットを使い続けているけれど、いまだに、ウソをウソと見抜く自信はないので、疑わしかったり、ウソだったら見た人、書かれた人が困りそうなものは、極力拡散しないように心がけています。
いやほんと、ネット作法としては「言うべきことを言う」よりも、「言ってはならないことを言わない」ほうが優先順位が高いと思うよ。
……と言いつつ、何度も「口は災いの門」という言葉を実感してきました。
今回、本当にひさしぶりに、『はてな』の原点である「人力検索はてな」を訪れてみたんですよ。
いまも現役で動いてはいるみたいなのですが、アクティブな質問も少なくなっていて、質問内容も「発言小町」と「はてな匿名ダイアリー」を足して2で割ったような感じです。
普通の質問は、コンピュータ関連のものがほとんどでした。
『はてな』という会社ができて間もない時期は、この「人力検索」や「はてなアンテナ」が主なサービスで、『はてなダイアリー』が告知されたときには、「流行りのブログっていうやつに乗っかってみただけ」だと思ったんですよね。
ところが、今となっては、『ダイアリー』から『ブログ』、『ブックマーク』、そして、他企業とのコラボレーションやPRがメインの「広告業」になっています。
それでも、『はてなダイアリー』の廃止にともない、すべてのログは原則的に『はてなブログ』に移行する、というような『はてな魂』みたいなものは受け継がれているようです。
もう20年近く前の話だけれど、「人力検索」をつくったときに、20年後の『はてな』がこんなふうになっているとは、誰が想像しただろうか。
自分や周りの人のことを考えてみても、20年前に思い描いたような人生を過ごしてきた人なんていないので、『はてな』は、いかにもネット企業的であり、それと同時に人間的でもある、とも言えます。
僕が知っている、『はてな』関連の人たちにも、良いこと、悪いこと、いろんなことが起こりましたし、僕自身にしてもそうです。
20年近くこんなことをやり続けているとは、思わなかったよ。
「はてなブックマーク廃止論」とか書いている僕としては、自分と切っても切れない場所であるのと同時に、ずっと疎外感とかもどかしさも感じていたのですけど。
それはもう、『はてな』のせいというよりは、僕の性格なのでしょうね。
そういうところもまた、「はてなは社会と同じ」であるような気もします。

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