いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

めくるめく「ロングセラー絵本」の世界

参考リンク(1):日本のAmazonで2013年に一番売れたモノ各カテゴリー別全まとめリスト - GIGAZINE


こういうエントリを見かけると、「ああ、今年ももう終わりなんだなあ」と、あらためて思い知らされます。
で、どんなものが一番だったのか、ざっと眺めていたのですが、あるカテゴリを見て思ったんですよね。
えっ、これが「2013年の1位」なの?って。


それは「絵本」で1位に輝いた、これ。

きんぎょが にげた (福音館の幼児絵本)

きんぎょが にげた (福音館の幼児絵本)

内容紹介
「きんぎょがにげた」「どこににげた」金魚鉢から逃げだした金魚は、カーテンのもようの中に隠れたり花の中に隠れたり。子どもたちの大好きな絵さがしの絵本。


たしかに名作中の名作なんですよ、これ。
うちの子も大好きでした。
日常のなかに「擬態」して隠れている「きんぎょ」をさがす、という絵本なんですが、カラフルな絵柄に、程よくデフォルメされた絵柄、そして、「見つけだす」楽しみ。
親からすれば「ページをめくる前から、『次はここ!』って指さすのを待っているくらい覚えているのに、なんでこんなに何度も嬉しそうに読んでいるんだ?」とか、思うんですけどね。


『きんぎょがにげた』は、楽しくて、本が好きになる、素晴らしい絵本なのですが、なんとこれ、1982年8月発売なのです。
もう世に出てから、30年も経つ本が、Amazonの売上ナンバーワン。


絵本って、ずいぶん昔の本が売れているんだなあ……と思ったので、絵本の年間ランキングを確認してみました。


参考リンク(2):2013年Amazon年間ランキング:絵本
上記によると、ランキングの2位以下は次のとおりです()内は発行年。


2位:いないいないばあ (松谷みよ子あかちゃんの本) (1967年)
3位:じゃあじゃあびりびり (まついのりこのあかちゃんのほん) (2001年)
4位:しろくまちゃんのほっとけーき (こぐまちゃんえほん) (1972年)
5位:おつきさまこんばんは―くつくつあるけのほん4 (福音館 あかちゃんの絵本) (1986年)
6位:ぐりとぐら [ぐりとぐらの絵本] (こどものとも傑作集) (1967年)
7位:がたん ごとん がたん ごとん (福音館 あかちゃんの絵本) (1987年)
8位:もこもこもこ (ぽっぽライブラリ みるみる絵本) (1977年)
9位:はらぺこあおむし(1989年)
10位:だるまさんが (2007年)


すごいや絵本の世界って。
超ロングセラーばかりです。
うちにも全部あるよこの10冊。
ただし、Amazonのランキングの場合、通販という特性上「まだ一緒に本屋さんに行くのが難しい(親が連れていくのも大変な)乳幼児向け、絵本のなかでも対象年齢が低めの本が売れやすい」というのはあるのではないかと思います。
そして、Amazonで「タイトル買い」できるのは、やはり「定番の強み」なのかな、とも。
それにしても、他の本でのジャンルでは、ベスト10のなかに、21世紀に出たものは2つだけ、なんてことは、まずありえません。


僕も自分が親になって、「絵本」というのに接する機会が増えたのですが、絵本って本当に「息が長い」と感心してしまいます。
『しょうぼうじどうしゃ じぷた』なんて、「こんな旧い型の救急車、今はもうどこにも走ってないだろ!」と思うのだけれど、僕が読んでいたのと同じ本を、息子も読んで、なんだかわかっているんだかいないんだか、という顔をしながら、じっと絵をみつめている。
『スイミー』とか、大人になると、息子は「ふーん」って感じなのに、読み聞かせているはずの僕のほうが、なんだかちょっと涙が出そうになってしまって。
(「そうだ、ぼくが目になろう!」のあたりが、とても危険なのです、僕の場合。がんばれスイミー!)


親と子が同じくらいの年齢のときに、同じ本を読んでいる、なんてことは、このジャンルでは、全く珍しくない。
これだけ長く読み継がれていると、作者冥利にも尽きるだろうな、と。


しかしまあ、その一方で、これだけ新陳代謝が起こりにくい世界だと、本当に現代の子どもたちのニーズに合っているのかどうか?なんて思ったりもするんですが。


ちなみに、うちの息子のお気に入りは、この2冊。

ブルルンゴーゴー! (たのしいのりものしかけえほん)

ブルルンゴーゴー! (たのしいのりものしかけえほん)

もりのえほん

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