このあいだ、家で、『空の青さを知る人よ』という映画のDVDを観ていたのです。
映画館で予告編を観たときには、「また死んだ人が生き返る話かよ」って思っていたのですが、なんとなく観たくなって。
吉岡里穂さんの、キャラクターに沿ってわざとやっているのか、こういうふうにしかできないのかギリギリの線を突いてくる棒読み感がすごい。
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高校二年生・相生あおいは、進路を決める大事な時期なのに暇さえあれば大好きなベースを弾く音楽漬けの毎日。そんなあおいが心配でしょうがない姉・あかね。二人は事故で両親を失い、あかねはあおいの親代わりになり暮らしてきた。ある日、音楽祭のゲストに大物歌手・新渡戸団吉が決定。バックミュージシャンとして発表された金室慎之介は、かつてのあかねの恋人であり、あおいに音楽の楽しさを教えてくれた憧れの人だった...。
と、ここまで書いてきたのですが、感想としては「ああ、『青春』だねえ、御都合主義だねえ、でもまあ、フィクションの世界でくらい、いろんな心残りが成仏するのも悪くないのかもね」という感じでした。
宗教における言い伝えは例外として、いま生きていて、「死んだ人が蘇った」のを実際に見たことがある人はひとりもいないのに、なぜ、世の中にはこんなに「生き返る話」が溢れているのか?
『空の青さを知る人よ』は、悪くないんですよ、うん。でも、個人的な印象としては、あの『コーヒーが冷めないうちに』っぽかった。
で、実は、この映画の冒頭で、個人的にけっこう「引っかかった」のです。
主人公・相生あおいのスマートフォンが「画面割れ」していたシーンを観て、「あれ?」って思ったんですよ。
実写映画であれば、なんらかの理由で、監督や撮影者が意図しないものが映り込んでしまうことはありえます(実際は、かなり厳密にコントロールしているはずですが)。
でも、アニメーションの場合には、「制作(製作)者が描こうとしたものしか、画面には出てこない」のです。
なぜ、あおいのスマホの画面は割れていたのか?
僕はここ数年、スマートフォンの液晶をなんらかの理由で割れたままで使っている人が多いことが、気になっていたのです。
僕自身もスマートフォンを落として画面を割ったことは数知れず、「なんでわざわざ画面が下になるんだ……」とか、「すぐそばに土のエリアがあるのに、落ちたのはアスファルト側か……」など、数々のつらい経験をしてきました(アスファルトの「液晶破壊力」は凄いです)。
これまで通算3度、画面割れによる液晶交換を行っています。1回はアップルストアで無償で交換してもらえたのですが、あと2回は街の修理工房で、1回につき、だいたい1万円くらいかかりました。落とさなければ払わずに済んだお金だと考えると、1万円というのは本当に痛い。何を得られるのではない「原状復帰」のための出費というのは悲しい。
でも、このくらいなら大丈夫だろう、と小さな傷に目をつぶって使い続けていると、どんどんひび割れがひどくなったり、画面に反応しなくなることもあるんですよね。
この小さい傷なら広告にある最低金額くらいでやってくれるのでは……と思いつつ持っていくと、「ああ、これは小さいけど傷が深いですね」とか言われてがっかり、なんてこともありました。
僕自身としては、スマートフォンは日常生活上、ほぼ最優先の生活必需品なのと、一度気になりはじめると気になって仕方がない性格なので、なるべく早めに修理することが多いのです。
で、ようやく話が戻るのですが、『空の青さを知る人よ』の、主人公・あおいのスマートフォンの「画面割れ」の話。
普通にスマートフォンを描こうとするのならば、画面は割れていないはずなので、そこには、何か「意味」があるはず。それとも、今のスマートフォン事情からすると、画面割れしているスマートフォンのほうが「普通の高校生らしい」のだろうか?
個人的には、両親が突然亡くなって、姉のあかねとずっと二人で暮らしてきたあおいの「スマホを持つことができるくらいではあるけれど、なんとか使える状態であれば、液晶交換をするのは経済的にきつい」という描写なのか、と思ったのですが、それだけで良いのだろうか。
そもそも、高校生の経済力では、1万円はきついよね。すぐに修理できる人のほうが少ないか。
あるいは、画面のひび割れが、あおいの「心のひび割れ」みたいなものを象徴しているのか?
そういえば、他のアニメでも、「画面したスマートフォンをそのまま使っている描写」を観たような気がしたんだよなあ。
僕は「気になる人間」だから、画面割れに「なぜ?」と思っているだけで、多くの観客、とくに若者の実感としては、「画面割れしているほうがリアル」なだけなのだろうか。
電車を利用する機会はほとんどないのですが(最近は新型コロナ下なのでなおさら)、電車に乗っていると、乗客のスマートフォンの多くが、程度の差はあるものの「画面割れ」していることにちょっと驚いているのです。
きれいなケースに入れられ、邪魔じゃないかと思うくらいにデコレーションされているのに、画面はひび割れで、「見づらくない?」と言いたくなるようなスマホだらけ。
みんな「使えれば、多少画面が見づらくても構わない」のか、「修理に行くのがめんどくさい」のか、「一時でも手放したくない」のか、「お金がない」のか?
これぞまさに「ネットに書かれている、どうでもいい話」なのですが(「お前の紙の日記帳に書け!」という声が聞こえてきます)、これだけスマホが手放せないものになっているにもかかわらず、画面割れのまま使っている人が大勢いて、それがアニメ映画にまで描かれていることが、僕にはけっこう気になったのです。
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