いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

何かが「好き」であることと、それを「収益化」できるというのは、たぶん少し違うのだと思う。


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この2つのエントリを読んで。
僕自身は、お金のためにブログを書いているわけではないけれど、少しだけでもお金を稼げるのはモチベーションの一部にはなっています。
内容的にも「100%宣伝」というのはありませんが、衝動的に「いま、書きたくてしょうがないこと」を書くこともあれば、「いま、こういうことを書けばたくさん読まれるのではないか」という色気を持ちつつアップロードすることもあるんですよね。
個々のエントリにはさまざまなグラデーションがあっても、総合すると、「書きたいことも、読まれやすいものも含まれている」のではなかろうか。
読まされる側にとっては「いろいろ書いてあるけれど、この人は何がしたいんだ?」って言いたくなるかもしれませんね。申し訳ない。
まあでも、「何が書きたいか」っていうのは、こちら側にもいまひとつ「わからない」ところがあって、テレビドラマの感想とか、ウケ狙いのつもりが、書いているとものすごく楽しくなってくることもあるのです。
面白いコンテンツに触れると、何かアウトプットしたくなるのだよなあ。


冒頭の2つのエントリ、とくに後者のエントリを読んで、僕は、西牟田靖さんの『本で床は抜けるのか』に収録されていた、「現代マンガ図書館」の責任者・内記ゆうこさんの話を思い出しました。


内記ゆうこさんのお父さんの稔夫さんが、この図書館をつくったのですが、1978年の開設時に3万点だった蔵書(および、マンガ関連の資料やグッズなど)が、現在は18万点もあるそうです。

「読むという意味で父はさほど情熱はなかったのではないかな。父がマンガを読んでいるのをあまり見たことがないんですよね。どちらかというと経営とか収集、保存、管理の方が好きだったんじゃないでしょうか。順番に並べるとか揃えるとか。そういうのが好きだった。私はマンガが嫌いというわけではないので、あればパラパラ見たりするんですけど、姉ほどではない。一方で、管理や整理するのがけっこう好きなんですよ。その点で、三姉弟の中で私が一番父に似ています。父も似ているって言ってました」


マンガ好きは星の数ほどいるけれど、『現代マンガ図書館』をつくったのは、「読むこと」よりも、「経営とか収集、保存、管理の方が好き」な人だったのです。


僕は「本を読むのが大好き」なのですが、「蔵書をマメに整理・収納する」のは苦手です。
世の中に「本好き」はたくさんいるのだけれど、読むのが好きな人の他に、稀少な本を集めるのが好きとか、蔵書をきっちり整理整頓して、自分の「本棚」をつくるのが趣味とか、「本好き」にもいろんなタイプがあるのです。
「鉄道マニア」に、「乗り鉄」「撮り鉄」「時刻表鉄」「収集鉄」など、さまざまなジャンルがあるように。


id:sakenominimalさんのエントリを読んで感じたのは、「料理をするのが好き」というのと、「料理の手順を分解し、整理して、見栄えよくブログのエントリとして完成させるのが好き(あるいは、それが得意)」というのは違うのだな、ということでした。
もちろん、料理が大嫌いな人は、レシピのブログなんてやる気が出ないでしょうけど、「料理は大好きなんだけど、それを整理整頓して、分からない人にわかるように説明するのは苦手」な人のほうが多数派なのだと思います。
そういう人よりも「料理は大好きじゃないけど、いろんなデータを収集・整理して、使いやすいデータベースを作るのは得意」な人のほうが、「料理のレシピブログ」には向いているのです。


運営している人が、どんなに「本が好き」でも、「どこに何の本が置いてあるのかわからない(検察しづらい)書店や図書館」は、利用者にとっては、使いづらいのです。


ブログを収益化できるのは、マメで「管理や整理が好きなタイプ」なんですよ。
そういう人のほうが「読むのがいちばん好きな人」よりも、「ネットで本を紹介してたくさん売る」ことに向いているような気がします。
もちろん、「そのコンテンツが大好き」で、かつ、「管理や整理するのがけっこう好き」であれば言うことなし、なのですが、前者は「感想を書いたり、ブログを読みやすくするより、次の本を読みたい!」と思うのではないでしょうか。
こういうのはやりかた次第で、「料理大好き」の人は「整理整頓大好き」な人と協力しあう、というのも、ひとつの手段ではあると思います。


ブログでお金を稼ごうと思っても、そう簡単にいくものではありません。
「ビジネスブロガー」(=お金を稼ぐためにブログをやっている人)でも、「買って買って!」という欲望だけが伝わってくる「押し売り」みたいなブログが少なくないのです。
そんな店には、知り合いくらいしか近づかない。
個々の商品が魅力的でも、店の雰囲気や売り場での見せかたが悪くて、うまくアピールできていないこともあります。


その店が入りやすい雰囲気で、商品が見やすく陳列されていて、信頼できるPOPが添えられていれば、それなりに「売れる」のに。
そして、そんなふうに「買いやすい店」がつくられることは、買う側にとっても、「良いこと」のはずです。
もちろん、「良い品物を適正な価格で」。


芸能人ブログのように、本人の顔だけで集客できる例外はあるとしても、ブログでまとまったお金を稼ぐには「整理整頓能力」が必要不可欠だと僕は思います。


ただ、ブログのすごさって、「お金にならない文章が存在することが許され、求めている人に読んでもらえる」ことだと思うんですよ。
だから、「好き」だけで未分類の情熱が突っ走っているようなブログ、僕個人としては大好きなんですけどね。
そういうのも、本当に突き抜けていれば「わたしが整理整頓したい!」って人が出てくることもありますし。



『Books&Apps』さんに書かせていただいた最新の記事です。
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本で床は抜けるのか

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