このあいだの日曜日、2016年4月3日の『題名のない音楽会』は、『ファイナルファンタジーの音楽会』でした。
観客席の高校生くらいの女の子が、ニコニコしながら手を叩いているのを観て、「ああ、ゲームミュージックって、ここまで『みんなのもの』になったんだなあ」と感慨深いものがありました。
この番組の司会のヴァイオリニストの五嶋龍さんはゲーム好きを公言していて、以前も『ゼルダの伝説』のテーマをすごい気合いで自ら演奏されていましたし、今回演奏していたシエナ・ウインド・オーケストラの面々も、世代的には、『ファイナルファンタジー』で遊んでいた人も多いはず。
『ドラゴンクエスト』のCDが大ヒットしたときには、「有名オーケストラがゲーム音楽なんて!と驚く人が多かったことを思い出すと、まさに隔世の感がありました。
子どもの頃、「テレビゲームは目が悪くなるし、勉強の妨げになる」(まあ、嘘じゃないんですが)と言われ、「テレビゲーム=悪」という親世代と戦ってきたわれわれの世代にとっては「ゲームがあるのは当然で、メジャーな遊びのひとつ」といういまの子どもたちは、羨ましくもあり、親の立場になってみると「ゲームの吸引力」が恐ろしくもあり。
以前、NHK-FMの「今日も一日 ゲーム音楽三昧」で、あるゲーム音楽の作曲家が「演歌とかワールドミュージックのなかには、ゲーム音楽として使われることによって、若い人たちにはじめて知られるものもある。いまやゲーム音楽というのは、音楽の多彩なジャンルのショーケースみたいな存在にもなっている」と言っていました。
ジャンルとしては衰退して、商品になりにくい音楽でも、テレビゲームで使われることによって、細々とでも生き延びているのです。
いまや、ゲーム音楽というのは、「メインストリーム」のひとつなのだよなあ。
東京芸大でトップクラスの成績の人が、ゲーム音楽をつくりたい、と希望するようになったそうだし。
ちなみに、「FFの音楽家」植松さんが選んだ第1位は『片翼の天使』。
2位が『ザナルカンドにて』でした。
前置きが長くなってしまいましたが、今回は、僕が小学校高学年〜中学生くらい(1980年代前半から、半ばくらい)までに聴いてきたゲーム音楽の思い出を書いていきます。
僕は中学生くらいまで、なんというか「人が歌っている音楽」「ボーカルが入っている曲」が苦手だったのです。
同級生に「誰のファン?」とか尋ねられて、具体的に「この人」って名前を挙げるのが、なんだか気恥ずかしいというのと、当時の「熱い、青春っぽい曲」も苦手で。
あの頃は、映画のサントラと、ゲーム音楽ばかり聴いていたのです。
とはいえ、ゲーム音楽というのは当時はかなりマイナーなジャンルで、レンタルCDショップにもあまり置かれておらず、レコードやCDにパッケージされ、売られているものはごく少数だったんですよね。
そんな僕にとって、忘れられないゲーム音楽のレコード(CD)を御紹介します。
※Amazonのリンクには、復刻版も含まれており、発売年はオリジナル版です。
また、ゲームの発表・発売年ではなく、レコード、CDの発売年です。

- アーティスト: ゲーム・ミュージック
- 出版社/メーカー: サイトロン・デジタルコンテンツ
- 発売日: 2001/03/23
- メディア: CD
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「ゲームミュージックのレコード化」といえば、まずこれですよね。
YMOの細野晴臣さん監修ということもあり、ゲーム界だけでなく、かなり話題になりました。
「ゲームの音楽のレコードを、わざわざお金を払って聴く人がいるのか?」なんて声があったのは、今から考えると嘘のようです。
僕は『リブルラブル』がいちばん好きで、今でもときどき聴いています。
当時のゲームセンターのキラキラ、キンキンした感じを思い出すんですよね、この曲を聴くと。

- アーティスト: ゲーム・ミュージック
- 出版社/メーカー: サイトロン・デジタルコンテンツ
- 発売日: 2000/06/21
- メディア: CD
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当時はセガの体感ゲームの全盛期。
『アウトラン』の大ファンだった僕は、『BEEP!』でこのレコードの発売を知って、ゲーム仲間だった中学校の同級生たちと、レコード店に予約に行ったことをよく覚えています。
店の人は「何そのレコード?」って顔をしていたのだよなあ。
『マジカルサウンドシャワー』最高!
でも、聴き込むうちに『パッシングブリーズ』とか「スプラッシュウェイブ』の良さに目覚めたりして、思い出深い作品です。
『スペースハリアー』も良かった!
オリジナル版は1986年発売。
もう何も説明しなく良いくらい知られている、ゲーム音楽の、そして、ゲーム音楽CDのターニングポイントとなった作品です。
ここまでエンディングを映画的にちゃんと作っているゲーム、当時は他にありませんでした。
今はエンディングがどんどん長くなっていて、ちょっとダレてしまうことも多いのだけれど。
ちなみに、僕はすぎやまこういち先生のゲーム音楽のなかでは『ジーザス』がいちばん好きです。
『ドラゴンクエスト』シリーズのなかでは、『2』のエンディング曲『この道わが旅』かな。

- アーティスト: ゲーム・ミュージック,上野利幸
- 出版社/メーカー: アンダーグラウンド・リベレーション・フォース
- 発売日: 2002/01/21
- メディア: CD
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パソコン(マイコン)版が愛機シャープX1では発売されず、「ファミコン版、うーむ、チャチな感じになっているのだろうな、なんかグラフィックも子ども向けな感じだし……」と思いながらはじめたのですが、すごく面白くて、エンディングまで一気にクリアしました(というのは嘘です。このゲームに関しては、「一気に」クリアできないんだよね……)
クライマックスの盛り上がりとか、すごかったよなあこれ。
そして、オープニングからエンディングまで、まさに1本のドラマのようなサウンドが素晴らしくて、レコードを購入し、何度も何度も聴いたものです。
エンディング曲が、なんか「終わったー!」って感じがするんですよね。

- アーティスト: ゲーム・ミュージック,Falcom Sound Team jdk,古代祐三,難波弘之
- 出版社/メーカー: キングレコード
- 発売日: 1993/05/21
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あの「伝説の店頭デモ(リリアが振り返るやつ)でも使われていた”To Make The End of Battle”は、いま聴いても鳥肌がたつくらい好きです。

- アーティスト: ゲームミュージック
- 出版社/メーカー: バンダイ・ミュージックエンタテインメント
- 発売日: 1988/11/21
- メディア: CD
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いまでは、そんなものがあったことすら忘れ去られている「シングルCD」です。
『ゴーファーの野望』じゃなくて、MSX版の『2』です。
これをはじめて友人の家で聴いたときには「MSXすごい、そして、コナミすごい!」と圧倒されたものでした。ゲーム市場としてはファミコンに比べて圧倒的に狭かったMSXで、ここまでやるのか、と。
コナミが独自に開発したSCCという音源には、独特の透明感と深みがあったのだよなあ。
オープニングデモがあまりにもカッコ良くて、ずーっと見続けていたんですよね。
これ、ヴェノムのほうが正しいんじゃないか?とか思いながら。

- アーティスト: ゲーム・ミュージック,ZUNTATA
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 1991/10/21
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タイトー、ZUNTATAといえば、『ダライアス』か、この『ニンジャウォーリアーズ』ということになるのですが、今回はこちらにしてみました。
『ダディマルク』の三味線の音にはシビレます。
タイトーの三画面ゲームって、クレジット音も異様に凝っているんですよね。
そこからすでにBGM、という感じで。
以上、思いついたものをとりとめもなく紹介してみました。
あらためて発売年を調べてみると、僕の記憶とは聴いた順番が違っていたりして、人間の記憶って、アテにならないものだなあ、と。
なお、「なんでこれが入っていないんだ!」という作品もあると思うのですが、今回は「1980年代」+「ファミコンのメジャーなゲームのCDはあえて外す(ただし、『組曲ドラゴンクエスト』だけは、やっぱり外せませんでした。すみません、一貫してなくて)+僕の好み、ですので、御容赦いただきたく存じます。
というか、昔のゲームの話は、やっぱり楽しい!
(このエントリに、ここまで半ば呆れつつもついてきてくださった皆様、本当にありがとうございます)

ゲーム音楽史 スーパーマリオとドラクエを始点とするゲーム・ミュージックの歴史
- 作者: 岩崎祐之助
- 出版社/メーカー: リットーミュージック
- 発売日: 2014/07/25
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