いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

金子哲雄さんの「立派な千秋楽」

参考リンク(1):Techinsight » 【エンタがビタミン♪・番外編】「立派な千秋楽を迎えることを考えています」。亡くなった金子哲雄さんとの1年4か月を、おおたわ史絵が語る。

 この日の朝のワイドショーでは、流通評論家・金子哲雄さんの訃報が流れていました。
 所属事務所が同じだったという、おおたわ史絵さんが、1年4ヶ月前に病気のことを知ってからの金子さんの話をしていたのです、最近はずっと体調が悪くて、番組の収録もつらそうだったそうです。
 本人が「無呼吸症候群だったので、温野菜ダイエットで痩せた」と語っていたのも、病気の影響だったのだを隠そうとされていたんですね。

 おおたわさんへの最後のメールには「立派な千秋楽を迎えることを考えています」と書かれていたそうです。
 おおたわさんは「『だいじょうぶなの?』と返事を書こうと思ったけれど、だいじょうぶじゃないことはわかりきっているし、そういうメールを送ったら、絶対に無理して「だいじょうぶ」って答える人だったから……」と、返信できなかった、と仰っておられました。


 享年41歳。僕と同級生か……
 僕にはこんなふうに「覚悟」ができるだろうか。
 いま、そんな宣告を受けたとしたら。


 今日の日刊スポーツのサイトで、金子さんの「葬儀に参列してくださった方々へのメッセージ」が紹介されていました。

参考リンク(2):金子哲雄さん、通夜参列者に手紙(日刊スポーツ)


 亡くなられる前に、こんな「手紙」を書いていた金子さん。
 苦しいなかでこれを書きながら、「みんなどんな顔をするだろうな」なんて、ちょっとワクワクしていたりして。
 そして、自分はみんなの反応を見ることができないのだ、ということに、がっかりして。

 
 40歳くらいになると、同世代の死については、野球選手の木村拓也さんのときもそうだったのだけれど、なんだかいろいろ考えるところもあるのです。
 30歳くらいまでの同級生の死には、なんだかやっぱり「自分のこととして考えられない」ような面がある。
 でも、40くらいになると、「次は自分の番だろうか」とも思う。
 だからといって、自分の人生は「初日」じゃないとはわかっていても、まだまだ「中日」くらいかな、なんてのんびり構えてしまう。
 というか、そうでもないと、生きていくのはあまりにハードすぎる。
 
 あんなに明るい人が……
 参考リンク(1)に、番組収録前にキツイ状況だった金子さんに「なにをがんばるんですか?」とお気楽な声をかけたスタッフの話が紹介されています。
 また、教育評論家の尾木さんが「どうして自分は気付いてあげられなかったのか……」と、昨日の朝のテレビ番組で悔やんでおられました。
 この人たちを「なんて冷たい!」と責めるのは簡単なのだろうけど、金子さんは「気付かれたくなくて、最後まで自分の仕事をやりたくて」隠していたのだから、気付かなかった人が悪いわけではありません。
 むしろ、「気付いてくれなくてよかった」と金子さんは思っているのではないでしょうか。

 金子さん、最期は自宅で奥様に看取られて亡くなられたとのこと。
 みんなに病気のことは隠して、ずっと明るくふるまってきた金子さん。
 41歳は若過ぎるとは思うけれど、僕は金子さんがこうして頑張ってこられたことを、同級生として、誇らしく思うし、羨ましくも感じています。

 ちょっと短すぎたし、心残りもあるだろうけれど、立派な千秋楽、見事な人生でした。
 謹んで御冥福をお祈りします。


 金子さんは、東京タワーの下のお寺にお墓を買っていたのだそうです。
「東京タワーを見るたびに、僕のことを思い出してもらうため」に。
 やっぱり、忘れてほしくないよね、残念だよね、でも、人生って終わるときには終わってしまうんだ。

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