「アフター・コロナ」の映画館の現状について

　そういえば、しばらく映画館に行っていないな、と思ったのです。
　最後に観たのは、この映画で、もう3か月も前になるのか……

fujipon.hatenadiary.com

　東京では、まだ緊急事態宣言が明けてからそんなに時間が経っていない、という感じなのでしょうけど、僕が住んでいる九州の地方都市では、ゴールデンウィーク明けくらいから段階的に「通常の経済活動」に戻りつつあって、飲食店やショッピングセンターの営業時間も、多くの店で、「コロナ以前」と同じくらいになってきました。

　映画館もそろそろかな……と思ったんですよ。コロナのおかげで、映画館は営業を休止し、予定されていた『ドラえもん』や『名探偵コナン』の新作も延期されたまま。公開を待っていた作品もたくさんあるだろうし。

　そこで、よく行っている映画館の上映作品を検索してみて驚きました。
109cinemas.net
www.aeoncinema.com

　ア、アベンジャーズ……？
　僕は『アベンジャーズ』けっこう好きですけど、正直、「コロナ明け」で、まだ感染への不安が拭えないこの時期に、『アベンジャーズ』や「コロナ前に公開されていた作品のコロナまたぎ上映」を観るために、映画館に足を運ぼうとは思えません。
　というか、映画館・映画会社も「とりあえず、現状はお客さんの動向を探りながらの営業で、大作、動員が見込める作品は、いまは公開しにくい」のでしょう。
　営業しているわけですから、お客さんに来てほしいし、このままでは潰れるかもしれないけれど、その一方で、満席になるような状況をつくるわけにはいかない。

　3カ月間映画館から離れてみると、「もう、わざわざ映画館に行って観るのも、なんだかめんどくさいな」という気分にもなってきました。
　パチンコみたいな依存性がない分（パチンコはコロナの影響で、依存から抜けた人が少なからずいるようですが）、また、家でDVD、もしくは配信で観ることもできる分、映画というのは、コアなファン以外には、忘れられやすい娯楽なのかもしれません。

movies.yahoo.co.jp

「Yahoo!映画」の最新の人気映画ランキングは、こんな感じです。
movies.yahoo.co.jp
（2020年5月30日～2020年5月31日集計、かつ、全体の動員数もかなり少ないみたいなので、あまり参考にはならないかもしれないけれど）

1位：心霊喫茶「エクストラ」の秘密－The Real Exorcist－
2位：天気の子
3位：一度死んでみた

　うーむ、しかしこんな時期に、信者に「動員」をかけるのもどうかと思うぞ、幸福の科学も。
『天気の子』2位か、DVDも出たし、もう一度映画館で観たい、という需要もあるのかな。

　ようやく、営業は再開されたものの、映画館の「通常営業」には、まだ時間がかかりそうです。
　換気に注意したり、マスク着用での鑑賞を義務付けたり、ひと席ずつ間隔を空けたりしての上映になっているようですが、正直、ずっとマスクをして、感染のリスクとかを意識しながら、『アベンジャーズ』とか『天気の子』を、いま、映画館で観たいか？と問われたら、「まだ行かなくてもいいかな」と僕は答えてしまいます。

　多くの人が「今はまだ、映画館には行かなくていいや」と思っているのだけれど、そういう観客の反応をみていると、映画館・映画会社側も、「現状では稼げる作品は公開できないな」と判断するはずです。僕も現状では、観客がたくさんいる映画館で2時間過ごすのは、けっこう不安です。実際は、会話も直接の接触もほとんどないので、万が一感染者と一緒の館内で観ても、感染リスクは少ないのでしょうけど。

　ただし、これからは、新作も少しずつ公開されそうです。

109cinemas.net

2020年6月19日（金）に、ロバート・ダウニーJr主演の『ドクター・ドリトル』
dr-dolittle.jp

2020年6月26日（金）に、『ソニック・ザ・ムービー』
sonic-movie.jp

　このあたりのコロナ前に大きく宣伝されていて延期になっていた作品の客入り・興行成績が、今後の映画館の状況に反映されそうです。
　そこそこお客さんが入ってくれれば、夏休みに向けて、映画館は通常モードに回帰していくでしょうし、不調であれば、「停滞モード」がしばらく続くのではないでしょうか。
　しかし、「炭鉱のカナリア」役がこれらの作品というのも、正直、心もとない感じはします。
　新型コロナの影響がない時期に、普通に新作として公開されていたとしても、爆死しそうだし（とくに『ソニック』……）

　映画産業内でも、新型コロナの影響は、かなり長く続くという見方がされているのではないでしょうか。
　『名探偵コナン』なんて、1年延期（予定）ですからね……

　逆に、いまは『アベンジャーズ』や『天気の子』や『鉄道員』を大スクリーンで観ることができる生涯最後の機会かもしれない、とも思うのです。
　この状況で人がいないのも居心地悪いし、人が大勢いるのもちょっと心配だし、映画館にとっては、厳しい時期が続きそうですね。
　もしかしたら、これを機に「映画館で映画を観る」という習慣を失ってしまう人が、大勢出てくるのではなかろうか。

fujipon.hatenadiary.com
fujipon.hatenadiary.com