一緒にいたくない人を、わざわざ水族館に誘うことはないので、憎からず思っているのは確かなのだろうけど、「一人で水族館に行きづらいので、水族館友達として誘っている」という可能性もあるかもしれませんね。
僕自身は水族館も美術館も映画館も一人で全然平気なので、「それなりの期待と好意があるから、わざわざ誘っているんじゃないの? 本当に水族館が好きで、魚が見たければ、独りでも行くだろうし」と思ってしまうのですが。
ただ、「独りで行ける場所の範囲」というのは人それぞれで、世の中には「独りで外食するのも絶対に無理」という人もいるしなあ。
僕も、自分が食べたいときに付き合ってくれる「焼肉友達」とかいたらいいなあ、とかよく思っていました。
最近はもう、焼肉もだいぶきつくなってきたので、たまにで良いのですが。
慣れてしまえば、水族館とか美術館、映画館って、とくに最近はチケットも自動販売機になっているところが多いので、具体的なハードルになるのは「入館時のチケット受け渡し」だけなんですよね。向こうも仕事でやっているのだから、いちいち「寂しい人だなあ」なんて思わないだろうし、周りの人もいちいち「独りで来ている人がいる!」なんて陰口を叩きはしません。
自分自身が誰かと来ているときだって、水族館で、いちいち他のお客さんを論評しませんよね。
僕は出張の際などに、よくその地域の水族館とか美術館に行くのですが、独りの状況で観察してみると、こういう施設で単独行動をしている人って、けっこう多いんですよ。
自分のペースで観られるし、ちょっとした自由な気分を味わうこともできます。
一時的にでも仕事や日常から解放されて、「プチ自由な生き方」をしているような感じがするのです。
いきなりユーチューバーになんてなれない中年の皆様には、個人的にすごくおすすめです。
それで、今回は、僕がひとりで行ってきた、おすすめの水族館・美術館を紹介してみようと思います。
もしお近くに来た際には、ぜひ、訪れてみてください。
(別にひとりじゃなくても良いので)
ものすごくありきたりなチョイスなので、そんなに期待しないでいただけると助かります。
最初にここでジンベエザメを観て、ものすごく感動したのです。
「ああ、デカいって圧倒的な説得力があるんだな、なんか、大艦巨砲主義が時代遅れだったにもかかわらず、戦艦大和とか造ってしまった人たちの気持ちがわかる……」と思いながら、水槽を眺めていました。
僕は自分でもよくわからないのですが、アマゾンに棲んでいるピラルクーという魚が好きで、この魚がいるとちょっと嬉しくなってしまうんですよね。
この「海遊館」は、アート系水族館の草分け、とも言える存在でもあり、広くて展示の種類も豊富なので、家族でもカップルでも独りでも、全方位的に楽しめると思います。
ただ、いつも人が多くて落ち着かない、というのは、単独行動派には難点かも。逆に、人が多いので埋没しやすくて気楽なところもありますが。
住んでいるところから比較的近い、ということもあって、たまに行くのですが、最近流行の「アート系水族館」に比べると、水槽は地味で、いろんな種類のペンギンがいて、園内を散歩してくれるというのが最大の見どころなんですよ。
でも、僕くらいの年になって訪れてみると、「アートアクアリウム化していない、子どもの頃に親に連れていってもらった水族館の記憶」がよみがえってきて、なんだかとても癒される場所なのです。
(3)沼津港深海水族館
www.numazu-deepsea.com
そんなに大きな水族館ではないのですが(というか、訪れたときには、どれが水族館なのか、海鮮丼の店なのかわからないくらいでした)、「深海魚」に特化しており、けっこう人気もあるみたいです。
休日は場内も大混雑するとのこと。
僕は平日の夕方に行ったので、けっこうゆっくり冷凍シーラカンスを堪能できたのですが。
そう、シーラカンス、あの「生きた化石」と呼ばれる魚の冷凍個体が、ここには展示されているのです。
館内はかなり「シーラカンス推し」なのですが、あまりに推されすぎていて、和歌山のアドベンチャーワールドでパンダ群をみたときのような「実はそんなに珍しくないんじゃないか感」すら湧き上がってくるのです。いや、本当に珍しいんだけど。
僕は九州からだったので、行くの大変だなあ、と思ったのですが、東京からだと、海鮮丼と合わせ技で日帰り旅行に丁度良いのではないかと。
(4)北の大地の水族館
onneyu-aq.com
北海道にカープ対日本ハムの日本シリーズを観に行ったついでに寄りました。
……というつもりだったのですが、札幌から「ついでに」行くにはあまりにも遠かった……レンタカーを借りるときに「じゃあ、雪道用のタイヤじゃないとダメですね」って言われて、「そんな大げさな」と思ったのですが、あのときの店員さんありがとう。普通のタイヤで行っていたら、大事故を起こしていたのではなかろうか。道中、ラジオではファイターズの話ばかりでつらかったことも思い出します。
それにしても、北海道ってやっぱり広い。
この水族館は、巨大淡水魚「イトウ」がたくさんいたり、「冬に凍る川を再現した水槽」があったりと、水族館好きには知られているのですが、行ってみると「道の駅」の休憩所のような小さな水族館で、よっぽどイトウに思い入れがないと、拍子抜けしてしまうかもしれません。
僕自身も、「展示がすごい」というよりは、「こんなに苦労してようやくたどり着いたのだから、すごかったことにしておきたい」という気持ちもあります。
逆に言えば、ここに一緒に来てくれるような相手であれば、よっぽどの水族館マニアか、あなたのことが好きかのどちらかでしょう。
……というか、このエントリって、水族館を薦めているのかどうか微妙だな……
(5)金沢21世紀美術館
https://www.kanazawa21.jp/
「現代アート」、僕は苦手だったんですよ。
今でもそれほど積極的に見たいとは思えないというか、優先順位は低めなのです。
アンディ・ウォーホルは「わかるような気がする」けれど、ジャクソン・ポロックは「これが『アート』なのか……」と狐につままれたような気分になります。
でも、この金沢21世紀美術館は、比較的わかりやすくて居心地の良い空間で、現代アートってこういう感じ、というのを体験できるのです。
ここの良いところは、けっこう有名なので、人も適度にいて、いかにもアート好き、みたいな人たちが集まっているとか、閑散として緊張感にあふれているとかいうような敷居の高さがなくて、ミーハー気分でちょっと入って物見遊山的に眺めることができる、ということなんですよ。
もちろん、ディープに見たい人にも、それなりの面白さがある。
現代アートって、よくわかんないんだけどさ、という人にこそおすすめです。
米津玄師さんが紅白歌合戦で歌っていた美術館。
入場料はけっこう高いし、場所も何かのついでに寄るには不便だし、展示してあるのはすべて陶板に写されたコビーなのですが、本当に楽しいのでぜひ。
詳しい話は、こちらに書きました。
fujipon.hatenablog.com
(7)川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム
fujiko-museum.com
藤子・F・不二雄先生のマンガを読んで育った世代には、たまらないミュージアムです。
F先生の仕事場が再現されているのを見て、「ああ……」と息をのみ、「F先生は、背景に描く植物についても、ひとつひとつちゃんと調べて描いていた。子ども相手だからこそ、嘘を描いてはいけない、という信念を持っていたから」というエピソードに感動し、直筆原稿を美術品的に見ていたつもりが、そのマンガを読み始めてしまい、「この続きはどうだったっけ……」と気になってしかたがなくなります。
ちなみに完全日時予約制で、ローソンでしかチケットが買えないので御注意ください。
僕は本当にもう棺桶に腰くらいまで浸かっているオッサンなわけですが、ネットで「自由な生き方」をしようとしている人をみると、その危うさに物申したくなるのと同時に、羨ましくもあるんですよ。
でも、僕は僕なりに生きてきて、自由な仕事や生活を謳歌するには、あまりにも器が小さい自分というものをようやく理解できてきました。
仕事をしていない時期があったのですが、それなりに貯金があっても、毎月預金額が減っていく生活というのは、僕には胸がしめつけられるようだった。
それで、僕としては、「ちょっとした自由な時間」を大事にしようと今は心がけているのです。
出張に出て、日帰りは難しいときに、すぐにホテルに戻ったり、飲みに行くのではなくて(飲みに行くのも楽しいけど、僕はひとり呑みは苦手なんです)、その地方の水族館や美術館に立ち寄ってみたり(とはいっても、沼津や北見に「ちょっと立ち寄る」のは無理だけど)、映画館で「ちょうど時間が合う映画」を観てみたりすると、「少しだけ、自分が自由になったような気がする」のですよ。
万人にこういうのが向いているとは思わないけれど、一度体験してみると、驚くほどこういう施設のハードルって低いし、飲みに行くより安上がりなので(もちろん、水族館のあとに飲みに行っても良いわけです)、ぜひ一度試してみていただければと思っています。
fujipon.hatenadiary.com
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