まあなんというか、開いた口が塞がらない、という事件ではあります。
今朝のワイドショーによると、「高橋容疑者の自宅からは、ごみ袋およそ70袋に入った女子高校生の制服など600点が押収された」そうです。
20年以上も犯行を繰り返していたそうで、制服をごみ袋に入れていたということは、本人も置き場所に困っていたにもかかわらず、犯行をやめることができなかったのではなかろうか。
最近、この事件の判決も出ました。
www.sankei.com
なぜ、こんなことをする人たちがいるのか。
彼らは芸能人だったり、元校長という「名士」だったりして、問題が発覚したときのリスクが大きいことは承知していたはずなのに。
「悪いことをする人」のなかには、恋愛感情のもつれとか、お金が欲しかった、とか、僕にも理解可能な理由のものがあります。
やった本人だって、それが「悪いこと」だと認識しながら、抑え切れない衝動があったのだろうな、と。
許すことはできなくても、想像はできる。
その一方で、名古屋大学の学生が、薬物への興味が高じて同級生に毒物を盛り、「人を殺してみたかった」と隣人を殺害した事件や、ルフトハンザ航空の墜落事故などは、本人にとっては「悪いこと」というより、「自分がやるべきことをやった」という認識なのかもしれません。
こういうのは、どちらの罪が「重い」のだろうか。
世の中で、人間が持つ欲求の善悪というのは、「多数決」みたいなもので決められている面もある。
異性の成人を愛するという傾向を持つ人が今の世の中では多数派ですが、同性愛についても、少しずつ権利が認められてきています。
もちろん、恋愛なんて、多数派の異性愛者どうしであっても、うまくいくことばかりじゃありませんが、「許容範囲」は広がってきている。
でも、「小さな子供しか愛せない」という生まれつきの性癖を持った人間は、それがどんなに切迫した欲求であっても、「合法的に満たす」ことは、いまの世の中では許されない。
僕だって、「それを許すべきだ」とは思いません。
「性的なイタズラ」として軽く扱われるような事件でも、被害者にとっては、ずっとトラウマになり、人生を縛ってしまうことは少なくないのだし。
「性癖にもとづく、やむにやまれぬ衝動だったのだから」を「言い訳」にすることは、許されない。
ただ、そういうふうに生まれついてしまった人は、ものすごく生きづらいだろうな、とは想像してしまうのです。
「仕事中毒」とか、「読書マニア」「スポーツにひたすら打ち込める」などというような、社会的に認められることが多い「性癖」を持った人は、賞賛されることも多いのに。
「無くて七癖」とか言いますが、結局のところ、大部分の人は何かに依存して生きているところがあって、その依存の対象がメジャーかマイナーか、あるいは、社会的に有益か無益か、あるいは有害か、によって「善悪」が判断されてしまいがちです。
今朝のワイドショーのなかで、コメンテーターの女性が「そんなに制服が欲しかったら、買えばいいのに!」と仰っていましたが、新品を買って済むことなら、本人だってそうしたかったのではなかろうか。
高橋容疑者の場合、「性癖」というか、「制服を盗む」という行為の「依存症」になってしまっていたのではないか、とも思うんですよね。
大王製紙の井川さんに「ギャンブルなんかやらなくても、お金はたくさん持ってるのに」と言いたくなるのだけれど、本人は「お金が欲しくて、ギャンブルをやっているわけじゃない」のと同じように。
理性では「やらないほうがいい」「やめたい」のに、それを「やらないこと」に耐えられない。
でも、「病気だから許される」というものでもない。
ギャンブルであれば、(周囲の人を巻き込む可能性は高いけれど)主な被害者は自分自身だけれど、窃盗や殺人、性犯罪には、被害者がいます。
正直なところ、「僕にはそんな性癖がない」から、なおさら、そういうふうに生まれついてしまった人を責めるのが忍びない気がするのです。
でもさ、「生まれつきならしょうがないから、好きにやっていいよ」と言うわけにもいかない。
こちらが被害者になる可能性だってあるのだから。
自分とか、社会ってものを守るためには「排除」せざるをえないこともある。
人間って、どうしてこんなに「やってはいけないこと」に引きつけられてしまうのだろうか。
やるせないよね、本当に。
- 作者: 井川意高
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2013/11/13
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (17件) を見る
- 作者: 井川意高
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2013/12/03
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (8件) を見る
ギャンブル依存国家・日本 パチンコからはじまる精神疾患 (光文社新書)
- 作者: 帚木蓬生
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2014/12/11
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (1件) を見る