いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

われわれは、ファストフード店での「詰め忘れ」と、どう向き合っていくべきなのか?

まずは、この島国大和さんの一連のツイートをどうぞ。



読みながら、僕もすごくモヤモヤしてしまいました。



僕ならば、「ナゲットだけが1パック足りなかった」という状況だったら、どうしただろう?と考えると、島国大和さんと同じように、「店が家から近かったら取りに行く」か、「もうめんどくさいからあきらめる」かのどちらかだろうな、と。
現在、チキンマックナゲットの5ピース入り1パックは、190円です。
いまのガソリンの価格だと、190円だと1.2Lか1.3Lくらいですね。
歩いていける自宅のすぐ近くの店なら良いとしても、車に乗らなければならないような場所なら、往復のガソリン代だけで赤字になりかねません。それに、余計な時間と手間もかかってしまう。
「お前たちのミスなんだから、交通費よこせ!」っていうほど、クレーマークレーマーな生き方をするのも、気乗りしないし……


このマクドナルドの対応というのも、「相手の申し出が事実かどうか精査するよりも、代替品をさっさと渡してしまったほうがトータルでは低コスト」だということなのでしょう。
ここで「お詫びの商品券」みたいなのをつけてしまうと、それ目当てで虚偽申告をはじめる人が出るおそれもあるので、「申告してきた人を疑うことはないが、最低限の保障にとどめている」のだろうなあ。
もう時間が経っているし、タイミングを逸しているので、「返金なり引換券なりにするべきではないか」というのは、客側として妥当だと思うけど、それはそれでまた、店側としては、現金目当ての虚偽申請との鑑別が難しかったりもしそうです。


ファストフード店での、こういう「商品の入れ忘れや間違い」っていうのは、僕の体感的には「高頻度ではないけれど、100回に1回くらいは(このへんはまさに「感覚」でしかありませんが)、起こっていること、だと思うのです。
店内で食べているときなら、気づいたときに「ナゲット入ってないですよ」って言うと「すみませんっ!」ってすぐに用意してくれて、後腐れも無いのですが、テイクアウトだとなかなか難しい。
「この商品がおかしかった」というのなら、現物を示せばいいのですが、「この商品が最初から入っていなかった」ことの証明は不可能です。
商品手渡し時に毎回証拠写真でも撮影すれば良いのかもしれませんけど。


そこで、入れた、入っていない、という押し問答にでもなれば、結果はどうあれ、不快な気分になることは確実で、それならもう「泣き寝入り」のほうがはるかにマシかもしれません。
そういうことも考えて、取りに行かずに、『まあ、あんなに客が並んでいてバタバタしていれば、こんなこともあるよな……」と諦めてしまうお客さんも少なくないと思うのです。
「190円だしな」って。
そりゃ、もうちょっと高額の商品であれば、きちんと問い質す人が多いでしょうけどね。
190円というのは、他人と争って不快になることを覚悟する金額としては、ちょっと安すぎる。


ところで、この一連のツイートへの周囲の人の反応のなかには「そういうときには、電話したら自宅まで持ってきてくれますよ!」とか、「向こうのミスなんだから、届けさせればいいのに」なんていうのが、いくつかあったんですよね。
客の立場としては「払った金額分の本来のサービスが提供されなかった=契約違反」なのだから、相手は謝罪をすべきだし、家まで持ってくるのが当然、なのでしょうか。



これを読んで、「ああ、僕もそう思います」と頷かずにはいられませんでした。


彼らが来るまで、外出もできないので、自宅で待機。
ピンポ〜ン、と家のチャイムが鳴り、ドアを開けると、うなだれた女子高生と、店のマネージャーらしき若い男性。
「このたびは、ほんっとーーーうに、すみませんでしたっ!」
差し出される、チキンナゲット5個入り(190円)1パックと、深々としたお辞儀。


……いやその、なんというか、このくらいで、そこまでしなくてもいいですよ、190円のために、というか、こんなことさせたのは誰だ?そうかオレか……うーむ……


これは、かえって気まずいというかめんどくさいというか。
僕自身もサービス業従事者ですので、わざとではない失敗(しかも、忙しいなかでのナゲット詰め忘れ、くらい)で、相手を追い詰めたいとも思いません。
そんなことしたら、夢見が悪くなりそうです。


しかし、「泣き寝入り」だと、なんだか「自分だけが損しちゃった」って感じがするんだよなあ、こういうのって。「たかが190円」なんだけど。
そして、「たかが190円」だからこそ、どの解決法も、コストの割にはベネフィット(利益)がなく、誰も幸せになれなくなってしまうのです。


ああ、まともな解決法も見いだせず、僕も一緒にモヤモヤしているだけの話になってしまいました。
結局こういうのは、「さっさと忘れてしまうのが、唯一にして最良の解決法」なのかもしれませんね。

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