いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

僕が体験してきた『アートディンク』の個性派ゲームたち(Switch版『ネオアトラス1469』発売記念)


game.watch.impress.co.jp



一昨日、2018年4月19日に、『ネオアトラス1469』のSwitch版が発売されました。
僕は前作の『THE ATLAS』は、だいぶ昔に、かなりやりこんだ記憶があるのですが、『1469』は、PS Vitaにダウンロードしたものの、「積みゲー」と化しているんですよね。面白い、つまらないを語れるほどやりこなまいまま、時間だけが過ぎ、Vitaもあまり起動しなくなり……Switch版は、ぜひやってみようと思います。とはいえ、最近ゲーム積みすぎの状況で。
『THE ATLAS』って、いつの間にか時間が経っていて、やめどきが難しいゲームだったんですよね。
アートディンクのゲームって、けっこう好き嫌いが別れると思います。
いかにもコンピュータゲーム(パソコンゲーム)的な、多くのデータをプレイヤーがうまく処理していくような作品が主なのですが、『アクアノートの休日』のように、「これはゲームなのだろうか?」と思うようなものもあって。
ひとつ言えるのは、アートディンクって、パソコンやゲーム機のなかに「世界」をつくろうとしてきたメーカーなのではないか、ということです。
というわけで、今回は、僕が個人的に好きな、あるいは印象に残っているアートディンク作品を紹介してみます。



(1)A列車で行こう (1985)
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大統領官邸から別荘までの大陸横断鉄道を、大統領列車の移動も含めて、1年間に建設するというゲーム。昼間のみ線路建設が可能なA列車を用いて線路を建設していく。闇雲に建設していくだけではたちまち経営破綻するため、いかに利益を生み出す路線を建設できるかが重要であり、パズルゲーム的なシステムが含まれていた


 これが初代『A列車』。いまからもう、30年以上前にPC8801シリーズやFM7といった当時のマイコンで発売されました。今みると、ほんと、素っ気ないゲーム画面なんですよね。いや、当時からそうだったか。
 ちなみに、最新作ではこうなっていて、この30年間のハードウェアとソフト開発力の進化に思いを致さずにはいられません。


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 ただ、正直なところ、最近の『A列車』は、めんどくさがりやの僕には、あまり向いていないのですよね……



(2)栄冠は君に (1990)
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夏の全国高校野球大会をテーマにしたシミュレーションゲームである。日本全国に存在する全ての高等学校が再現されており、その中から任意の一校を選び甲子園での優勝を目指す。ただし、学校名などは「一応」架空のものに置き換えられている。


※動画はPCエンジン版です。


全国の全ての甲子園に参加している学校が再現されていて、選手たちを鍛え、適材適所に配置して優勝を目指すというシミュレーションゲーム
ファミスタパワプロのように「試合をプレイすること」ではなくて、「強いチームをつくりあげて、あとは『ベストプレープロ野球』のように、試合を見守るだけ」というのが斬新でもあり、もどかしくもありました。
ちなみに、僕の出身校は当時野球部がなかったので、収録されていません。いやまあ、収録されていたとしても、使ったかどうか微妙なくらいの母校愛ではありましたが。



(3)ファーサイドムーン 地球防衛軍II (1990)
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自軍はThe Earth Self Defense Force (ESDF) 地球防衛軍です。
月の裏側に設置された6つのベースで戦闘機を開発し、敵軍(UE)の6つのベースを
破壊するのが目的です。
月の裏側をクリアすると、火星、木星、と進軍していき、最終面は土星です。


 アートディンクの作品のひとつの柱である、「ゲーム内プログラミング」をテーマにした作品。
 まず地球防衛軍の機体を設計して、その機体を動かす思考ルーチンをプログラムし、あとは、そのプログラムに沿って動く機体を見守ることになります。
 いやほんと、これ、好きな人はものすごく好きだと思うんだけど、僕にはちょっと難しかった。
 あえてこれを挙げたのは、僕の愛機だったX68000版で、「コンピュータウイルスが混入されたまま出荷されてしまい、社会面のニュースにもなってしまったゲーム」として、記憶に残っているからです。
 当時、絶好調だったX68000が失速し、ゲームがあまり出なくなったのは、この事件がきっかけだったのではないか、と当時はまことしやかに噂されていたんですよね。
 いま、あらためて発売日をみてみると、けっこう早い時期に出ているので、あんまり関係はなさそうなんですが。思い込みっていうのは恐ろしい。



(4)関ヶ原 (1991)
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本作は、慶長5年9月15日(1600年10月21日)に起きた関ヶ原の戦いを題材としており、東軍を率いる徳川家康か西軍を率いる石田三成を選択し、合戦の勝利がプレイヤーの目的となる。それ以外に作中に登場する武将も有力な者のみとなっている。本作は合戦およびその前の外交工作・情報工作に特化しており、光栄(後のコーエー)の「信長の野望シリーズ」など他作品に見られる領国経営など内政要素は本作にはない。また各武将のグラフィックは肖像画をもとにしたものが使われている。
リアルタイムでゲームは進行し、プレイヤー側同様コンピュータ担当の敵方も工作などを仕掛けてくる。そのためゲームスピードの設定が難易度に直結している。プレイヤー側がコマンド選択中は時間経過が一時中断し、コマンドを出すと再び時間経過が始まる。
二部構成となっており、第一部「権謀術数編」は合戦の1ヶ月前から始まる。第一部でのプレイ内容が第二部「関が原の戦い編」に引き継がれ、集めた兵力を駆使して合戦勝利を目指すこととなる。第一部を飛ばして第二部から始めることもでき、その場合は合戦前夜から始まり、ほぼ史実通りの陣容を率いることとなる。


 僕はこのアートディンクの『関ヶ原』が大好きだったのです。
 しかしながら、当時はPC9801とFM-TOWNSでしか発売されていなかったので、PC98を所有していた友人の家に入り浸って、なんとかクリアしようとがんばりました。
 でも、ほんっとーーーーうに難しんだよこれ。
 なんとか石田三成を勝たせようと、第1部の外交工作を一生懸命やってみるのですが、なかなかうまくいかず、粘り続けて、かなり西軍有利な状態で合戦に持っていっても、徳川軍強すぎで、兵力はこっちが上回っているはずなのに惨敗。敵兵はみんな関羽張飛で、こっちはみんな曹豹じゃないのか?どうなってるんだよこのゲームバランス!と怒りながらも、やっぱりクリアしてみたかったんですよこれを。でも、結局ダメで。
 それなら、家康でやったら勝てるのではないか、と、勝ち馬に乗る作戦をとってみたのですが、今度は西軍強すぎ!何なのこれ……
 有力武将を懸命に操作して、その場の戦況を改善しようとしているうちに、他部署はいつのまにか壊滅してるし……
 もう、このゲームで合戦に勝つことは、僕のライフワークと言っても過言ではありません。仕事をリタイアしたら、絶対にクリアしてやる……



(5)天下御免 (1994)
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 プレイヤーは10種ある問屋(染物問屋、材木問屋など)から1つを選ぶ。ライバルの問屋と競争し、御店(おたな)を大きくし、シェアを可能な限り独占することが目標だが、特に設定されたゴールはない。スタート時に20代の主人公が死去するとゲームは終了となる。舞台は元禄時代の江戸。自分の御店以外には港(船頭に商品買い付けの指示を出せる)、お寺(富くじの購入や突発的なイベントなどが起こる)などごく限られた場所にしか移動できない。
 プレイヤーはその限られた場所で商売をし、当時の世相、文化を反映したイベントをこなすことになる。たとえば、幕府の役人に賄賂を届けて便宜を図ってもらったり、盗賊に備えたり、ライバルを暗殺したりするため用心棒を雇う(用心棒として赤穂事件に拘わる事になる堀部安兵衛を雇うと、討入り前に去るイベントがある)、問屋仲間との会合、定期的にやってくる岡っ引きに袖の下を渡す、抜け荷(密貿易)で西洋のものを仕入れて大儲けする、遊郭に通って遊女と親しくなる、親しくなった遊女を妾として囲ったり妻にしたりする、などである。犯罪が露見すると遠島になったり、処刑されたりする。死に際に一言周囲の言葉を聞くことができる(行動によっては「妾の出る幕じゃない」など、つまらないセリフで送られることになる)。

 
 これもまた斬新なゲームでした。
 広告をみたときには、『ドラゴンクエスト4』のトルネコの章を複雑にしたというか、KOEIの『大航海時代』みたいな「商売ゲーム」なのだろうと思っていたのですが、実際は、商売の要素というよりも、どうやって人とつながりをつくっていくか、ということを重視したゲームなんですよ。
 その過ごした人生によって、エンディングが変わっていくというのは、『プリンセスメーカー』の影響もあったのではなかろうか。
 自由度が高くて、というか、できることが多すぎて、プレイする側としてはちょっとめんどくさい感じではあったのですが、「ものすごく面白そうなゲーム」ではあったんですよ。
 いまの技術でリメイクしたら、もっと楽しくなりそうな気がします。
「悪徳商人を極める」って、楽しそうだよなあ。



(6)トキオ 東京都第24区 (1995)
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都市運営シミュレーションゲーム。プレイヤーはシリンダー型スペースコロニーである架空の東京都の第24番目の特別区「トキオ区」の区長をまかされ、公共施設の建設、条例、スペースシャトルの配備など都市運営を行う。
アートディンクお家芸とも言える都市運営系シミュレーションゲーム。設定が架空のコロニーであったりと、ややコミカルなイメージがあるが、操作系統や設定しなければならない項目は非常に多く、万世帯にも及ぶ住人一人一人に電話で意見を聞くことができたり(パターンも当時としては極めて多い上にPC-98版は媒体がフロッピーディスクでありながらフルボイスを実現している)、


 これもアートディンク「らしい」ゲームでした。
 ちょっと煩雑なところはあったのですが、単なる都市運営シミュレーションではなくて、架空の宇宙コロニーという設定のため、ちょっと変わった雰囲気だったのです。直接住民に電話をして、「区民の声」を聞けるのですが、本当に喋るんですよ。当時のパソコンゲームとしては、けっこう画期的でした。いや、そこにわざわざその技術を使うのか?というのもまた、アートディンクらしい。



(7)アクアノートの休日 (1995)
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潜水艇による海洋探索シミュレーションゲーム。しかし本作は探索の目的そのものは無く、プレイヤーの思うままに海中散歩を楽しむことをメインに置いている、いわゆる環境ゲーム。広大な海中の各エリアそれぞれで生物の生息地域が設定され、深海生物なども見ることができる。発見した生物は図鑑に記録することができ、遭遇率の低いレアな生物をトレードや全生物コンプリートなどの楽しみかたもできる。シリーズの2作目では微生物も追加された。


 何が面白いの?というのと、面白くしようとしていないのが良いのだ、というのと。
 アートディンクの作品のなかで、『A列車』シリーズと並んで、もっとも知られていると思うのですが、本当に不思議なゲーム(と言うべきなのだろうか……)でした。
 当時のプレイステーションには、それまでのゲームのフォーマットから積極的に外れていこう、という作品が多かったんですよね。
 僕にとっては、微妙に3D酔いするゲームだったので、気持ちわるい……とか言いながら潜っていました。これも、今ならさらにリアルなものをつくれそうなのですが、リアルだったら面白い、ってものでもないのでしょうね。



 結果的に1990年代の作品ばかりになってしまいましたが、僕の記憶に残っているアートディンク作品について書いてみました。
 『関ヶ原』とは、いつか必ず決着をつけようと思っています。


A列車で行こう3D NEO - 3DS

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関ヶ原

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AQUANAUT'S HOLIDAY ~隠された記録~ - PS3

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