最初にこの件に対する僕の考えを書いておきます。
人間というのはそんなに完璧なものじゃないから、不倫をすることだってあるのはわかるのです。
それは僕にとっては大変不快なことなので、ものわかりの良いふりをするつもりはないけれど、少なくともこの人の場合には、他者(宮崎健介議員)の不倫に対して、議員不適格、だと公言していたのだから、自分が同じことをしたら、同じことを言われるのは当然だし、離党だけじゃなくて、議員もやめるべきでしょう。
ただし、議員を辞めてしまえば、あとは当事者や家族、直接の関係者以外が口をさしはさむような問題ではない。
ちなみに、佐々木俊尚さんの「党派性」については、以前、佐々木さんの著書の中にこんな文章があったので、佐々木さんが民進党の議員だった山尾さんを「政治家として擁護」されていたことに「民進党びいきだから」というのは無いと思われます。
この新書の「まえがき」を読んで、僕は「えっ?」と絶句してしまったんですよ。
本書はまず「リベラル」という政治勢力がいま完全に崩壊しようとしているところから、話をはじめたい。
この勢力は長い間にわたって、新聞やテレビ、雑誌で強い発言力を持ち、自民党政権に対するアンチテーゼとして、日本社会に強い影響を与えてきた。
この勢力はたとえば、原発に反対し、自衛隊の海外派遣に反対し、日本国憲法九条を護持し、「国民を戦場に送ろうとしている」と自民党政権の集団的自衛権行使や特定秘密保護法案に反対している。文化人で言えば、作家の大江健三郎氏や瀬戸内寂聴氏、音楽家の坂本龍一氏、学者では「九条の会」事務局長で東大教授の小森陽一氏、神戸女学院大学名誉教授の内田樹氏、経済学者の浜矩子氏。政治勢力としては福島瑞穂氏と社民党、生活の党と山本太郎となかまたち。元経産省官僚の古賀茂明氏。一緒にくくられることに抵抗のある人もいるだろうが、メディアの上で「リベラル勢力」という呼び方で視界に入ってくるのはそういう人たちだ。
しかしこの「リベラル勢力」は、いま完全にほころびている。
最大の問題は、彼らが知的な人たちに見えて、実は根本の部分に政治哲学を持っていないことだ。端的にいえば、日本の「リベラル」と呼ばれる政治勢力はリベラリズムとはほとんど何の関係もない、彼らの拠って立つのは、ただ「反権力」という立ち位置のみである。
思想ではなく、立ち位置。
いきなり、実名連発での「お前たちはもう、死んでいる」宣言!
佐々木さんとしては、「スキャンダル暴きばかりで、政策が停滞している政局にうんざり」しているということで、山尾さん自身に対する評価はされていないのですよね。
この件に関して、山尾さんを「優秀な政治家だから、不倫のことには目をつぶって、政治家を続けさせるべきだ」と言っている人に、小林よしのりさんとか猪野亨さんのような「山尾さんよりちょっと年上の男性論客」が目立つような気がします。
「山尾さんは勉強熱心で立派な政治家」「有能だから元SPEEDの人とは違う」
ああ、山尾さんっていうのは、たぶん、ものすごく魅力的な人で、実際に会った人とか、「デキるけど、自分のことは立ててくれる女性が好きな年上男性」には好かれるタイプなんだろうな。でも、このおじさんたち、篭絡されてるだけなのでは……
小林よしのりさんは、今井絵理子議員と親しかったら、今井さんを擁護するんじゃなかろうか。
山尾さんが実際に成し遂げた仕事って、「待機児童問題」が最初にあがってくると思うのですが、その対策に頑張っていたはずの人が「子供がいない隙に不倫三昧」で、相手の男は「妻を言いくるめて実家に帰していた」のだから、「男性の育児参加をアピールしていた議員が妻の妊娠中に不倫」と似たようなものでしょう。本当に「優秀な政治家」なら、なぜ、自分がやってきた仕事に水を差すようなことをするのか。
頭は良いし、見かけも良いし、感じも良い人なのかもしれないけれど、「賢くて政治力はあるけれど、他人に厳しくて自分に甘い人」「モラルが根本的に破綻している人」は、「無能で何もできない人」よりも、タチが悪い。
自分を良く見せるためや己の「野心」のためだけに努力しているだけの人のようにも感じます。
「年上キラー」の才能を活かして、オッサンにうまく取り入ってかわいがられつつも、やることやってる、そういう人が僕は大嫌いなんですよ。
そもそも、相手の男も男だろ、と。どちらが主導してそういう関係になったのかは知らないけどさ。
その一方で、山尾さんをみていると、僕の周囲にいた(男女限らず)エネルギーが有り余っていて、仕事をガンガンやるだけじゃ物足りなくて、それを異性関係とかで放電しないと気が済まない人たち、のことを思い出しもするのです。
日々生きていくだけのエネルギーをギリギリ捻出して生きているだけの僕にとっては、彼らの生きざまは、なんだかまぶしく、妬ましくもある。
いやほんと、モラル云々はさておき、不倫とかやる元気があったら、『ドラクエ11』を生きているうちにクリアしたいです。
最近よく考えるのは、夫婦とか家族とかは、お金が全くなくて、お互いに迷惑をかけあっていると当然破綻するのだけれど、逆に、お金や資産がたくさんあって、別に協力しあう必要がなければ、それはそれで維持するのが難しいのではないか、ということなんですよね。
ハリウッドスターとか、かなりの確率で離婚しますよね(ソースは無いです。すみません、これは僕の印象で書いてます)。
人って、ひとりで生きていったほうがメリットが大きい状況なら、どんどん「個人で好きに生きる」方向に進んでいく生き物ではないか、と考えてしまいます。
今の世の中って、「まず、自分が幸せにならなきゃいけない」っていうのが「正義」じゃないですか、文明国と呼ばれているところでは。
でも、「自分が幸せになるのが一番」だとするのなら、それは「家族全体の幸せ」と合致しない、あるいは、家族の幸せをぶち壊してしまう、ということも十分ありうるわけです。
「私の幸せが最優先なのだから、私の好きなようにやる」という新しい価値観と、「家族や周りの人たちのために、ある程度は我慢するべきだ」という古めの価値観が、いま、社会で強烈にせめぎ合ってきているのです。
これまでの世の中では、愛人を囲ったりして「放電」するのは、「社会的に成功した、エネルギーがありまっている男」が大部分でした。
ところが、今は女性にも、そういう人がみられるようになってきた。
男もやるなら女もやって良いじゃないか、と考えるべきなのか、もともと男だってやるべきじゃないことのはずなのに、可能になれば女もやりはじめるということは、これは「人間の根源的な欲求である」ということなのか。
そして、それが根源的な欲求で、「これが私の幸せであり、私には幸せになる権利があるはずだ」と主張されたら、どうすればよいのか。
もちろん、それなりの慰謝料なりは発生してくるんでしょうけど、「それは払うから、自分の好きなようにやりたい」と言われたら、「子どもの幸せのために、我慢しろ」と言えるのか。
momonestyle.com
topisyu.hatenablog.com
このひとつめのブログに、こんな記述があって、僕はそれがずっと引っかかっていたのです。
私、基本的にオス体質なのです。仕事が大好き過ぎて、ハンターのごとく狙ってガッツリと仕事に没頭してしまう人です。
オスとオス同士が家にいる状態ですから、当然のごとく夫婦関係は上手くいきませんよね・・。
夫よりも妻の収入が高くなってしまったことで、夫の仕事に対するプライドを無意識に傷つけてしまっていたかもしれません。
僕は生物学的には「オス」なんですけど、この人が「オス体質」という言葉で、「説明できたような気分になっている」のを感じて、ものすごく不快でした。
「オス」が「仕事第一で、家庭を顧みない」ことに対しては、「それはおかしい」と言われるのが当たり前の世の中で、生物学的なメスであれば、「オス体質のメスなんです」って言えば、許されるのか?
そういうのって、「家庭内モラハラ」を「オス体質」って、言い換えているだけじゃないのか?
それって、オスに失礼なんじゃない?
まあ、人って、環境や状況が変われば、人格も変わることが多いんですけどね……
自分が強い立場になったとたんに「私はオス体質だから」と、「収入が低いパートナーはやる気がなくなって、ダメ人間になっていく」なんて「私生活に影響が及ぶくらい、みんなが見ているような超有名ブログ(自称)」に書かれたら、そりゃたまらんだろう、と。
うーむ、こうして考えてみると、僕は山尾議員問題に関しては、山尾議員の政治家としての資質云々よりも、「同世代の男として、家族を持つ人間として、こういうことが自分の家庭にも起こるのではないか、という恐怖を感じている」のではないか、と思えてきました。
こういうのって、たぶん、お互い様、なんでしょうけどね。
あと、政治って何なのだろう?とは考えました。
もし自分の手術をしてもらう医者だったら、どんなに私生活が無茶苦茶で愛人を100人囲っていても、「腕が良い医者」を選びます。
でも、「政治」って、どんな仕事なのか、どういうことをやるのが「良い政治家」なのか、よくわからない。
幅広い知識や、みんなをまとめ、引っ張っていく力は必要なのでしょうけど、間違った方向に猛スピードで引っ張っていくような人だっているし、創造的ではなくても、調整役として重宝される人もいる。有能だけれど有害、よりは、無能で無害のほうが、マシではないのか。
僕は、山尾さんって、「他人にやってはいけないと公言したことを、自分だけはやっても良いと判断していた」という点で、「優秀でも、モラルに欠ける人」だと思うので、「有能な人」であっても、悪いほうに向かった場合のリスクが高いので、「良い政治家」だとは思えないし、日本に必要だとも考えません。
政治家って難しいところがあって、たとえば、戦争中とかだと、「どんなに私生活や人柄に問題があっても、目標を遂行するために最適な手段をとれる人」が求められたりもするんですけどね。
正直に言うと、自分のパートナーにこんなことやられたら、たまんないなあ、と思うし、僕はこの件で山尾さんが大嫌いになりました。
大嫌いな人を「政治家として有能だから」と擁護できるほど、器の大きな人間じゃない(有能だとも思ってないし)。
「政治家として有能であれば、不倫で批判されるのはおかしい」とは言うけどさ、それって、「ちゃんと仕事をしているんだから、不倫くらい大目に見ろよ」って言い換えられない?
ああ、僕はほんと、ダメな人間だな、偉そうなことばかり書いていて、考えが古いのかもしれないな、と顔をしかめながら、これを打っています。公開するのか、これ?(結局、公開してますね。こういう、時間かけて書いたから、もったいないから公開しちゃおう、みたいなのが危険なんだよな)
lineblog.me
これを読んで、ちょっとホッとしました。
そういえば、やまもとさんの奥様も、医者なのだそうです(余談です。すみません)。
「デキるパートナーがどこかへ行ってしまうのではないか、という潜在的な恐怖」なんていうのも、あるのかもしれませんね(たぶんない人にはない)。
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