いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

「カップラーメンを作ったが、箸が無い」ときのサバイバル術


ああ、これはまさに悲報だ……などと思いつつ、僕はもう25年くらい前の、高校時代のことを思いだしていました。


現実的には、自宅でカップラーメンをつくったとしたら、箸の1本くらいはどこかにあるはずです(洗えば使える、というのも含めて)。コンビニでもらった箸の未使用分、みたいなのが転がっていることもあるでしょう。
「カップラーメンを作ったが、本当に箸(あるいはフォークや先割れスプーン)が無い」という状況に陥ることは、まず考えられません。
想像できるのは、登山をしていて、「箸を忘れた!」という事態くらいでしょうか。
カップラーメンの場合は、いざというときの最後の手段「手づかみ」が行いにくいこともあり、箸の不在は、実に深刻な状況なのです。
麺とスープを一緒にすする、という解決法はなくもないけれど、麺ばっかり残ったりしますし、麺を食べる喜びは、決定的に失われてしまいます。


ちなみに、僕がこの「カップ麺をつくったけれど、箸がない」という悲劇にみまわれたのは、高校時代のこと。高校の寮で夜、こっそりとカップラーメンをつくって食べようとしたときに、箸がないことに気付いたのです。
ちなみに、寮の規則では「お菓子やカップラーメンは持ち込み禁止」でしたので、「犯罪自慢エントリ」と思われるかもしれませんが、自慢じゃないので大目にみていただけるとありがたいです。


いくつかの選択肢を、そのとき僕は考えました。
(1)食堂に忍び込んで、箸を借りてくる
(2)友達の割り箸をもらう
(3)箸の代用となるようなものを探す
(4)あきらめる


まあ、さすがに(1)は難しいかな、と。
食堂には鍵がかかっているでしょうし、もし寮監に見つかったら、かなり過酷な罰が待っています。
(2)も、かなり遅い時間でもあり、そもそも、みんなが箸を持っているかどうかも不透明だったので、部屋から部屋へ箸を求めて渡り歩くのも、難しかったのです。
で、(4)なのですが、カップラーメンの場合、「あきらめる」としても、食べずに中身を洗面所に流したりすれば、寮監に見つかり、問題になることが目にみえています。
とはいえ、他に捨てる場所もない。トイレに流すのも、ちょっとしのびないし、トイレが詰まったりしてもねえ。
というわけで、(3)について検討してみました。
まず、いちばん最初に思いついたのが、エンピツ。
これなら、全寮制高校の寮の自分の部屋にも常備されているのですが……うーん、なんか鉛とか溶けて身体に悪そうだしなあ、そもそも太くて食べにくそうだし……スープがしみ込んで、使えなくもなりそうだよなあ。
でも、それ以外に「箸の代用物」になりそうなものって、案外思いつかないんですよね。


悩んでいるときに、僕の頭に、ある考えが浮かびました。
そうだ、この「フタ」を使おう!


カップラーメンのフタって、商品にもよるのでしょうが、普通の紙じゃなくて、けっこう硬めで濡れてもそう簡単には破れないような材質のものが使われているんですよね。
中に熱湯が入ったカップを密封するわけですから、それなりに強い。


というわけで、フタを洗って2つに千切り、くるくると丸めて2本の箸状の物体を作成し、なんとかカップ麺を食べることに成功したのでした。


まあ、カップ麺をつくる前には、箸の確認を忘れずに、というだけの話なんですけどね。
寮のお湯はお茶用で熱湯にならず、生煮えみたいなカップ麺しかできずにつらかったのも忘れられません。

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