いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

クリスマス・イヴも語る者がいなければ

我が家は僕が今日ずっと仕事ということもあり、昨日の祝日にクリスマス・パーティを済ませてしまいました。
なので、気分的には、もうクリスマスは終わってしまっているのだけれども。


昨日、妻と、お互いの子どもの頃のクリスマス・イヴについて話していました。


もう30年以上前のクリスマスの話。
当時ずっと、僕の家では、クリスマスイブは家族でケーキを食べ、翌朝起きると枕元にプレゼントが置いてあったものでした。


子供心に、やっぱり親が置いてるんだろうなあ、と思いつつも、もしかしたら…
などという気持ちが捨てきれない年頃。
毎年、今年こそはサンタの正体を見てやろうと思いつつも、小学校低学年の子供には徹夜などかなわず、やっぱり起きると枕元にプレゼント、というパターンの繰り返し。


これは、そんなある年に起こった出来事です。

枕元のクリスマスプレゼントは、そのとき欲しいとアピールしているものが置いてあることになってるのですが(その時点ですでに怪しいんだけど)、その年一番ほしかったのが、LSIゲームの『クレイジークライマー』(いま調べてみたら、『クレイジークライミング』というのがLSI版の正式名称だったようです)。


ちなみにこれがその『クレイジークライミング』。


これは、主人公「クライマー」が、窓から落とされる植木鉢や鳥の糞などを避けつつ、高層ビルをただひたすらに登っていくというゲームでした。
ビルの屋上にたどりつくとステージクリア。
その年、大人気のゲームだったのですが、クリスマスの夜、目を覚ますと恒例のプレゼントの箱が。


開けてみると中は憧れのクレイジークライマー!!


おお、よくやったサンタクロース(親)!
と喜び勇んでさっそくゲーム開始……しようとしたのですが、レバーを動かしても全然操作できず。


なんとこれが、不良品だったんです。
半泣きで親のところに「壊れてるよ~」と言いに行くと、なんと押入れの中から保証書が。
「サンタさんからのプレゼントなのに、なんで保証書持ってるの?」と聞くと、「サンタさんから預かったんだよ」の一点張り。
でも、わざわざ保証書を預けていくサンタクロースなんているわけないことは、子供にもわかりました。


というわけで、ゲームは無事とりかえてもらえたんだけど、サンタクロースはいなかったことをあらためて思い知らされたクリスマスになってしまったのです。


もっとも、その後もクリスマスになると、「これほしーなー。サンタさんくれないかなあ……」と、さりげなく親にアピールしていたんですけどね。とりあえず、お互いにとって、「信じていることにしている」ほうが幸福だと思っていたから。


結局その駆け引きは、「ファミコン」を欲しがっていたら、「カセットビジョン」が枕元に置かれた年まで続くことになりました。
そのときは、「ファミコンカセットビジョンの区別もつかないサンタクロース」に落胆したものです。
考えてみれば、当時の親にとっては、「テレビゲームなんてどれでも似たようなもの」だったんだよなあ。


妻は「子どもの頃から、家でクリスマスなんて、やったことない。ケーキは、親戚のお姉さんがヤマザキパンに勤めているときに、義理で買っていた時期が何年かあったくらい」とのこと。
本人は別に不満でもなく、「そういうものだと思っていた」。
ちなみに、クリスマスプレゼントのみならず、誕生日プレゼントも、あまりもらったことがなかったそうです。


妻の実家は、そういうイベントごとに対して、まったく無頓着なわけではなくて、お正月にはちゃんと家族が集まってお屠蘇を飲み(僕は結婚してはじめてお正月にお屠蘇を飲みました……)、おせちを食べて過ごしますし、いまでも家族の仲は、うらやましくなるくらい良いんですよね。
別に家が神社とか、そういうわけでもないのだけれども。


クリスマス・イヴといっても、その過ごしかたについては、千差万別。
いまのところ我が家では、僕のたっての希望もあり、ケーキとプレゼントに関しては、僕の実家方式を採用しているのです。
息子が「今年はサンタさん、来るかなあ?」なんて、心配しているのを見ると、僕はなんだか、嬉しくて仕方がなくて。


ユーミンの『恋人がサンタクロース』直撃世代であり、大学に入学したときには「ずっと貯めたアルバイト代でシティホテルを予約し、彼女を初めての夜を!」(バブル晩期のクリスマス・イヴのホテルは予約が大変で、料金も驚くほど高かったそうです(伝聞))、なんて同級生がいたのを思い出します。
あの頃は、クリスマスに恋人と過ごさない=負け組、って思わされていました。


そういえば、就職してからは、よくイヴ当直をあてられて、なんだか悶々としていたものだよなあ。
別に家にいてもやることもないのだけれど「なんで僕はクリスマス・イヴに仕事……」なんて。
でもまあ、「クリスマス・イヴ」の夜にだって、心筋梗塞や脳出血を発症する人はいるし、『明石家サンタ』の途中に「大便が出ない」と受診してくるお年寄りもいる。


平穏無事にこうしてイヴを過ごせることそのものが、最大のプレゼントなのかもしれません。


ああ、でも今年のイヴの夜のことを考えると、やや不謹慎ながら、このツイートを思いださずにはいられない……

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