いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

「面白い読書感想文」をめぐる冒険(2)

お題:秋の夜長は読書とブログ



面白い「読書感想文」をめぐる冒険(1)の続きです)


では、どう書けばいいのか?という話なんですが、いちばん大事なことは「面白い感想を書こう」なんて思わないことです。


まず、読んだ本のタイトルと著者を書きましょう。
そして、読んだ日付、読んで面白かったかどうか。それに、いちばん印象的だった場面をひとつ(あるいは「最も気になった一文を引用する」というのも良いかもしれません)。


それだけ、です。

「そんなのじゃ、誰も読んでくれないだろ」と思うかもしれません。
でもね、書評ブログなんて、基本的に誰も読んでくれないものなんですよ。
それに、このくらいシンプルなら、とりあえず書けるはず。
最初から完璧なものを書こうと思うと、まず挫折します。


それじゃ寂しい、と仰る方は「その本を買ったときのこと」を書いてみてはいかがでしょうか?
学校帰りに買ったのか、出張先だったのか、行きつけの書店だったのか、誰かと一緒のときだったのか?



書評ブログを書いている人って、「書店に行ったら、ちょっと気になった本を片っ端からカゴに入れていく」っていう感じじゃないですか(僕もそうです)。
だからこそ、たとえば「月に1冊だけ本を読むという人が、どういう過程で、なぜその本を読むことにしたのか?どういう気分で読み始めたのか?(仕事に悩んでいた、とか雨が降っていて他にすることもなくて、とか)」というのは、すごく興味深いな、と感じるのです。
それを読むのにどのくらい時間がかかったのか、とかも。
「本の内容」についてあれこれ書かなくても、そういう「読書の周辺のこと」だけでも、けっこう面白い「書評」になると思うんですよ。
そういう文章を積み重ねていくと、どんな本を読んでいるか、というだけでも、けっこう、あなたがどんな人かって、わかるのではないでしょうか。


「自分語り」を全否定する人もいますが、個人のブログというのは、どうやっても、多かれ少なかれ「自分語り」になってしまうものです。
それなら、背伸びして「上から目線で評論家ぶった書評を書く」よりも、「等身大の自分の言葉で書く」ほうが、楽しくないですか?


まず骨組みみたいなのをつくると、だいぶやりやすくなる。
「○○さんのこの本、昨日の夜読んだのですが、すごく面白かった」
最初の「骨組み」は、これで十分です。
これだけ文字にしてみると、「昨日の夜は何してたっけ?」「どこが面白かったかな?」「どのキャラクターが好き(嫌い)だった」など、肉付けしたいポイントが見えてきます。
「とにかく文章にして、それを自分の目で確認する」って、すごく大きな「前進」なんですよ。
頭のなかだけであれこれ考えてみても、なかなかうまくいかないのです。


「自分の頭で考えたこと」を書こうとするから、書きにくくなる。
むしろ、「その読書に関して、あなたに起こったこと」を書けばいい。
どういうプロセスで、その本を選んだのか。
家で読んだのか、通勤中に読んだのか。
読むのにかかった時間とか、途切れ途切れに読んだのか、一気読みしたのか。
身近な人に、読んでもらいたいと思うか、思うとしたら、それは誰か。


「事実」を羅列するだけでも、けっこう面白い「読書感想文」になるのです。
(学校の宿題の「読書感想文」にはオススメできませんが)
大事なのは、それを積み重ねていくこと。一度だけ長々と「感想」を書くよりも、1年間、読んだ書名を並べていくほうが、(少なくともあなた自身にとっては)価値がある場合も少なくない。
印象に残る本とか映画のことを思いだすと、「それに触れていた時期の自分のこと」を、あれこれ思いだすことができますし(それが「痛い記憶」だったりもするけれど)。


また長くなってきたので、続きはまた次回。
もう少しだけ、続きます。

アクセスカウンター