いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

「人と、人が生みだしたものとの距離」について

参考リンク(1):ネットで叩かれると辛いな(はてな匿名ダイアリー)


参考リンク(1)を昨日読んで、「そうだよね、辛いよね……」と思っていたのですが、ネットで叩かれる辛さ、みたいなのは、経験者じゃないと想像しがたいところがあります(なんか世界中が敵にまわったような感じがしたことが、僕にもありました)。


まあほんと、なんとかならんものかねえ、なんて考えていたときに、以下の文章を読んだわけです。


参考リンク(2):嫁へ行くつもりじゃなかった――私の新婚日記 (2) 愛がなくても結婚できます | マイナビニュース


岡田育さん、いつも面白いなあ、なんかこう、頭のなかにあっても、言葉にできないようなモヤモヤとしたものを、うまく切り取ってくるんだよなあ、なんて思いつつ読んだのですが、最後の追記を読んで、「参考リンク(1)」の話と繋がったような気がしたんですよ、僕には。

連載第1回がネット上で話題になったことを受け、親しい友人から「ネガティブな反響を見た旦那様が傷つきませんように」と心配された。300超ついたはてなブックマークのコメント欄を私より早くすべて読んでいたオットー氏は嬉々として、「傷つく? どうして? だってこれは君の文章で、俺には関係のないことじゃない!」……人生ソロ活動夫婦というのは、つまりはこんな距離感です。


連載第1回はこちら。
嫁へ行くつもりじゃなかった――私の新婚日記 (1) いつまで新婚でいるつもり? | マイナビニュース


で、これがそのブックマークコメントの数々。


これを読んで、嬉々としていられる岡田さんの夫って、すごいなあ、と。
いや、このリアクションが正しい、とは僕はまったく思っていなくて(間違っている、とも思わないけれど)、こういう「パートナーがなんらかの理由で逆境にいるとき」の対応って、けっこう難しいものですよね。
世の中には「あなたにとって大事な私がこんなに叩かれているんだから、あなたはこんな連中に対して、無条件に私の味方をして、憤ってみせるべき」っていう考えの人は多いし、「励まして」「慰めて」という人もいるはず。


で、男性側からすると「君が叩かれているのは、彼らを刺激するようなことを書いたからであって、それが不快ならば、口を慎むしかない」などと「正論めいたもの」を吐いて「あなたは私の気持ちがちっともわかってない!」なんて言われたりしがち。


僕がこの夫さんのリアクションで「へえ」と思ったのは、「だってこれは君の文章で、俺には関係のないこと」だというくだりでした。
「だってこれは君自身のこと」じゃなくて、「君の文章」だと。
僕が勝手に言葉を加えていいのなら、「だってこれは所詮君が書いた文章で、君のすべてというわけじゃないし、ましていわんや俺には関係ないし」って感じなんじゃないかな、と。


僕たちは、ネットにハマるあまり、「人と、人が生みだしたものとの距離」を、見失いがちなのかもしれません。
物書きという人々は、「とにかく人に読んでもらってナンボ」ってところもありますからね。
ネットで叩かれ、ブックマークがたくさんつくことにより、話題になり、全体的に読まれる数が増え、好意的に読んでくれる人の数も増える。
プロであれば、仕事やアフィリエイト収入につながります。


逆に言えば、僕とか参考リンク(1)の人は「何の見返りもないのに叩かれて……」という割に合わない感が強くなるのかもしれません。


僕はいつも、ネットの文章を読む人が10人いてくれたら、「1人はファン、8人が惰性、1人がアンチ」だと思っています。
そんなもんですよ、うん。
で、自分自身が叩かれるより、自分を擁護してくれた人が叩かれるほうが、つらいです。
「だめだよ、こんな危険なところに入ってきては」って制止したくなります。


10年以上やっていると、「一度アップロードしてしまった文章は、どうなろうが、もう知らん」という気分なんですよ、基本的に。
あとはもう、好きに解釈してくれればいいよ、と。
だから、「反応に対する反応」も極力しないようにしています。
メールも最初の数行だけ読んでみて、読むと落ち込みそうだったら、読まずに閉じますし、ブックマークコメントも読みません(言及リンクは、いちおう辿ります。書く側も大変なのはわかるので)。


とか言いながらも、やっぱりこれは我慢できない!ってことも多々あるんですけどね。


ネットでの「耐性」を上げる方法って、「自分自身と自分が書いたものとを、うまく切り分けていくこと」じゃないかと、最近は思うようになりました。


「それは僕が書いたものだけれども、僕の全てではありません」
無責任な話ではありますが、まあ、自分が書いた文章に込められる「責任」なんて、たかが知れたものでもありますし。


本当に、人間関係って難しいもので、我が家で同じことが起こり、僕が夫さんと同じ態度をとったら、「他人事だと思って!」って怒られそうなものですけどね。
ありがたいことに、妻はネットをメールとAmazonとソリティアくらいにしか使わないので、世の中うまくできているなあ、とも思います。

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