いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

観てよかった、と思っている「漫画・アニメ原作の実写邦画10作品」


anond.hatelabo.jp
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 「漫画・アニメ原作実写邦画」に関しては、「地雷」という評価をされることが多い印象があるんですよね。
 その一方で、冒頭ふたつめのエントリで紹介されているように、けっこうヒットしている作品が多いのも確かです。
 『デビルマン』や『ガッチャマン』や『進撃の巨人』の悪口を言うのは簡単なのですが、せっかくなので、ふたつめのエントリで年間興行収入が紹介されている2006年以降で、僕が観てよかった、と思っている「漫画・アニメ原作の実写邦画10作品」を御紹介したいと思います。


(1)DEATH NOTE 前編・後編

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 原作に比べると、月とLの頭脳戦の要素が削られていて、おどろおどろしいキャラクター映画みたいになっている感じはするのですが、この映画の成功が日本での「漫画・アニメの実写映画化のターニングポイント」になったのではないかと思います。
 これ以来ずっと、藤原竜也さんは「日本映画のクズ役」、松山ケンイチさんは「変わった人役」の第一人者として君臨しつづけているわけですし。
 原作の実写化、というよりは、原作のキャラクターを人間の役者がどう演じるか、が注目されるようになった映画ですよね。



(2)ヤッターマン(2009年)

ヤッターマン “てんこ盛りDVD”

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 ああ、これはまさに「『ヤッターマン』を観て育った人たちが20億円かけてノリノリでつくった『大人の学芸会』だ……」ほら、お正月の「かくし芸」で、人気ドラマや映画を芸能人たちが真似してやってたじゃないですか、あれを『ヤッターマン』でやってしまった感じ。
 この映画版の『ヤッターマン』、シナリオに意外性は無いし、原作の「ほんのり香るエロス」ではなく「下品なオヤジギャグ」ばっかりだし、いちばん冗長で飽きるのがクライマックスという体たらくなのですが(あれは滝口さんじゃなかったら、観るのやめて帰ろうかと思うくらい)、つまらないかと言われると、「けっこう面白い、いや、かなり面白い」のですよ。
この『ヤッターマン』が僕のような「原作フリーク」にも楽しめるのは、やっぱり、根底に「原作への愛情と敬意」があるからなんじゃないかと思います。劇中曲も最低限のイメージは保っていますし、懐かしいメロディ満載です。



(3)君に届け(2010年)

君に届け スタンダード・エディション [DVD]

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この「青春ラブストーリー」をイヤミなものにしていないのは、なんといっても、多部未華子さんの存在だと思います。
こういう映画のヒロインって、「ケッ、このかわいいアイドルに『不細工な役』をやらせても、リアリティ皆無!」という場合が多いのですが、多部さんの場合は、まさに「絶妙のバランス」なんですよ。
うん、これなら「貞子」ってみんなに避けられるのもわかる、でも、ちょっと見せかたを変えれば、三浦春馬が好きになるのも、わからなくはない。
いろんな若手女優さんがいますけど、どこの役ができる人は、もしかしたら、多部未華子さんだけかもしれません。



(4)GANTZ(2011年)

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 前編はけっこう面白かったのですが、後編は原作が当時は未完だったということもあり、「えっ、これで終わり?」的な結末になってしまいました。
 でもまあ、そういう支離滅裂さも含めて、原作にあまりこだわりがなければ、けっこう面白いのではないかと。
 ただし、これをいま観るのであれば、2016年公開のアニメ版『GANTZ:O』のほうが圧倒的に良い、と言われたら、返す言葉がありませんが。

GANTZ:O Blu-ray 通常版

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(5)モテキ(2012年)

モテキ Blu-ray豪華版(2枚組)

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うーん、この映画の長澤まさみさん、いいよなあ。いろんな意味で、ちょっとだらしない感じが。
 麻生久美子さんは、ひたすらかわいそうなんだけど。
 しかし、もっとこう4人の女性入り乱れるような展開の映画だと思っていたのだが、長澤さんが軸で、麻生さんがぼちぼち、という感じ。仲さんと真木さんの出番は少ないです。
 まあ、2時間だと、そうなっちゃうんだろうなあ。
 使われている音楽がアラフォー男の僕にはやたらとツボで、橘いずみが出てきたときには、思わず「この曲かっ!」と叫んでしまいました。
 いやあ、20代前半の僕は、本当に真剣に聴いていた曲なのに、いま、こうやって聴くと「若気の至り、だったなあ……」としか思えないのは何故なのだろう?



(6)テルマエ・ロマエ(2012年)

テルマエ・ロマエ 通常盤 [DVD]

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あのマンガが映画化されると最初に耳にしたときは、「これはもう、ローマ人コスプレ集団による学芸会映画確定だな」と思ったのですが、キャスティングを知って、なんだか納得。
「そうか、日本には、阿部寛がいた!」
先日、職場でも『テルマエ・ロマエ』の話題になったのですけど、そこでも、「ルシウス=阿部寛」は「まさに適役!」と大好評でした。
それにしても、映画の撮影中には、阿部寛さんや市村正親さんが「誰がいちばん濃い顔か勝負」をしていたというのですから、撮影現場もけっこうノリノリだったのでしょうね。
そういう雰囲気の良さが伝わってくるような映画でした。
しかし、阿部寛さんの顔の濃さがそんなに目立たないくらいの、ローマ人の濃さっていうのもすごいですよね。



(7)るろうに剣心(2012年)

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実写化されたのを目の当たりにしてみると、どうして今まで、『るろうに剣心』って、実写映画化されなかったんだろう?
逆にそれが疑問になってしまうくらい、「良い実写映画化」だったと思います。
そうだよね、たしかに『剣心』って、これまで培われてきた時代劇や明治維新もののフォーマットを活かせるし、巨大ロボットとかも出てこないのだから、『デビルマン』よりも、よっぽど「実写化しやすい」はずなのに。
ただ、この作品の場合、時代劇を漫画にしたものをまた実写化した、という感じなのかもしれませんね。
ちなみに続編はなんだかちょっとすっきりしませんでした。



(8)HK/変態仮面(2013年)

HK/変態仮面 [DVD]

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それはわたしの……おいなりさんだっ!!

成敗っ!!

 いやもう、この決めゼリフが映画館で観られただけでも、けっこう満足。
 変態仮面の怪しい身体の動きも、原作に忠実です(というか、原作は絵なんですが、絵をみてイメージしたものにきわめて近い動きだと感じました)。
 
 ストーリは強引極まりないし、敵も何がなんだかわからない+中盤はけっこう間延びするところもあります。
 あまりの評判のよさに、期待値が上がり過ぎてしまって、かえって裏切られた気分になる人もいるかもしれません。
 だから、できるだけ気楽に観てほしい。
 しかし、主人公は来年(2018年)のNHK大河ドラマの主役で、ヒロインは幸福の科学に出家か……



(9)海街diary(2015年)

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 綾瀬はるか長澤まさみ夏帆広瀬すずの4人が、主役の4姉妹を演じるということで、人気女優をエサに集客を狙った作品かと思いきや、人情の機微と鎌倉の風景がものすごく丁寧に描かれている大変良い映画だったのです。
 最初は、綾瀬さんと長澤さんを眺めつつ、「なんてスタイルの良い姉妹なんだ!」と、半ば茶化すような気分だったのですが、見ているうちに、見かけ云々だけじゃなくて、役者としての力量を踏まえての起用だったんだな」と納得してしまいました。



(10)バクマン。(2015年)

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アイドル声優の卵とかより、『週刊少年ジャンプに連載を持っているマンガ家」のほうが、圧倒的にステータスが高いような気がするのは、僕も「ジャンプ信者」だったからなのでしょうか。
 あと、またまた登場、「いかにもリリー・フランキーがやりそうな役」にキャスティングされている、リリーさん!
 あっ、『ラッキーマン』の絵!と思っていたら、エンドロールをみて嬉しくなりました(この作品のエンドロールは、本当に見ていて楽しいのです)。
 劇中のマンガを小畑健さんが描いていて、そのおかげで、「この作品なら人気が出てもおかしくない」という説得力があるんですよね。
 とにかく「細部のアイテム」へのこだわりがしっかりしている作品だな、と。



【いちおうの総括】
これはちゃんと言っておきたいのですが、この10作品はあくまでも、2006年以降で、僕が実際に観た映画のなかで、印象に残ったもの(かつ、それなりに楽しめたもの)をピックアップしたものなので、「これがベスト!」なんて言うつもりは毛頭ありません。
「漫画・アニメ原作の邦画は本当にダメなのか?」という問いを実際の作品で自分なりに検討してみたかったのです。
結論からいうと、「漫画・アニメを実写映画化した邦画には、『けっこう楽しめる』作品はあるのですが、(評論家ウケするような)歴史的な名作、というものは無さそうなんですよね。
もっとも、この期間にそんなに歴史的な名作があるのかよ、と言われると、それはそれで悩ましいところではあるんですが。
漫画・アニメからの実写化を成功させるには、まず第一にキャスティングなのかな、と、この10作品を並べてみて感じました。
みんなが知っているキャラクターを役者さんに演じさせようとすると、どうしても「かくし芸大会」になってしまうので(僕はそういうのも嫌いじゃないんですが)、もともとそのキャラクターに似ているところがある役者さんを起用するか、あるいは、原作は原作として、あえて似せようとするのではなく、主演している役者さんの魅力を引き出すほうが成功への近道なのかもしれません。
そもそも、漫画のキャラクターは、人間離れしているからこそ、実写映画化不可能だからこそ、価値があることも多いわけで。
成功している作品は、ラブコメとか『海街diary』のような人間ドラマとか、もともと実写映画寄りの漫画が多い、とも言えますね。
ただし、そういう作品は、「大作」にはなりにくいし、集客力も限定されがちです。
あらためて考えてみると大ヒットした『海猿』って、映像化可能で、実写で栄えるという絶妙なバランスだったのかもしれませんね。


おまけ:箸休めに「漫画・アニメ原作の実写映画(暗黒面)」を置いておきます。
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