いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

「嫌われる技術」で、お金を稼いでいる人たち


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「野球がうまくなるには、どうすればいいですか?」
「そんなの練習するしかないよ、とにかく、練習、練習!」


ああ、カネやん(金田正一さん)お久しぶりです(金田さん風評被害で申し訳ありません)。
このタイトルをみて、「ああ、早い時期から稼げるようになるためのノウハウみたいなものが書かれているんだろうな、と思いきや、書かれているのは「自分はこれだけいろんなものを犠牲にしてブログに打ち込んだから成功した!」「お金を稼ぎたかったら、覚悟してストイックにブログに向き合え!」


タイトルに「アソビくるう人生をきみに。」って書いてあるのが、たまらなくシュールだ……


……こういう、内容がない、役に立たないものを小馬鹿にする、というのも簡単なお仕事なわけで、自戒せなばならないと思います。


僕が長年ブログをやって考えるようになったのは、「ブログは、『結果が出るのが速い』ということ」なんですよね。
だから、パチンコのようなギャンブルと同じで、依存性が強いのかもしれない。
稼げる稼げない以前に、やっていて「面白い」というのはあるのです。


学生とか会社員とか専門職とか、いろんな状況にいる人がネットに接していると思うのですが、一般的に「仕事」や「研究」というのは、勉強や準備や根回しをして、試作や実験やプレゼンテーションをして、さらにそれを論文にしたり発売したりして世の中の評価を待つ、というサイクルの繰り返しです。
学問の世界でいえば、論文1本書くのには、年単位(もっと速い場合も遅いこともありますが)かかってしまいます。
いま、ちょっとがんばっても、すぐに結果に反映されるわけではないし、給料が上がるわけでもない。
ここでやっているこれは、本当に正しいやり方なのだろうか?うまくいくのだろうか?という不安と試行錯誤の連続です。
世の中っていうのは、そういうことの積み重ねでもあるわけで。


僕もすっかり親しんでいるブログ、とくに個人ブログの世界って、とにかく「すぐに結果を発表できて、すぐに反応の有無がわかる」ものがほとんどです。
数時間で書いた1つのエントリで、何万円も稼げたりすると、「これはいい!」って思ってしまうんですよね。
ところが、短時間で稼げるものには競合相手も多いし、消費されるサイクルも速い。
有名人ブログであれば、ファンが定期的に訪問してくれるでしょうが、そうでもなければ、ひとつ「バズった(話題になり、多くの人に読まれた)」からといって、書いている人の固定ファンになってくれるわけではありません。
いやほんと、ブログ黎明期に比べたら、稼げる(であろう)金額は大きくなったけれど、ひとつのエントリの「賞味期限」は驚くほど短くなったし、なかなか「固定読者」を集めるのは難しくなりました。
ひとつのエントリで10万人くらいが読んでくれた日があっても、1週間経てば数千にもどる、なんてことは珍しくもありません。
いまの「ちゃんとした情報ではない、個人が自分を切り売りするブログ」って、まさに「自転車操業」なんですよ。
次から次に「燃料」を投下して燃やし続けて、炎上を繰り返していかないと、稼ぎ続けるのは難しい。
それって、ものすごくキツいよね、ネタもなくなるだろうし、精神的にもさ。
「出会い系」とか「あやしげな健康食品」とか「報酬が高いから」とか「FX」とかって積極的に宣伝している人も多いけど、本当にそれで心が痛まないのだろうか。
引っかかるヤツが馬鹿だ、って思ってる?
それ、読む人には見透かされてるんだけど。


基本的に、時間をかけて材料を集めて丁寧に検証した仕事や取るのに苦労する資格は「長持ち」するし、ブログの「炎上エントリ」みたいなのは、すぐに消費し尽くされてしまいます。
だから、もう炎上商法なんて、やめようよ。


……という結論にしようかと思ったのですが、正直なところ、いまのネットをみていると、稼ごうとするのなら、そんな「きれいごと」では渡っていけないのかな、と考え込まずにはいられないのです。


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いまのネットで話題になるのは、真面目なコンテンツよりも、ゴシップや「炎上を生み出すもの」のほうが圧倒的に多いんですよね。


以前見かけたこんな記事。
星野源、現場でスタッフからの悪評噴出…「態度悪い」「自己愛がすごい』- 記事詳細|Infoseekニュース


僕だって星野源さんの現場での態度とか知りませんよ、そんなに興味もないし。
でも、「何これ」って思うところが多いんですよ。

「エンディングも『星野さんのPVか?』と思えるくらいに星野さんがカッコよく映っていましたしね」と関係者が話していた。

え? 僕が観ているのとは別バージョンのエンディングが存在するの?
たしかに「星野さんの曲のPV」ではあるかもしれませんが、どうみても新垣結衣さんが真ん中で主役として踊っているようにしか見えないんだけど……


こういうのって、担当者が本当にそう思って書いたのだろうか?と疑問になってくるのです。
むしろ、「このタイミングで、星野源を褒めたり持ち上げるより、バッシングしたほうが、話題になり、PV(ページビュー)を稼げる」と考えて、こんな記事を書いたのではないか。


案の定、この記事は叩かれながらも『2ちゃんねる』にスレッドが立ち「話題」になっています。
「悪名もまた名なり」
いまのネットは、かなり有名なメディアでさえ、そういう方向に舵をきっているようにみえます。
「ノーバン始球式」には、さすがにもう騙されないけれど。


「炎上商法ブログはすぐに消える」というのがこれまでの僕の考え方だったのですが、最近はむしろ、「自分から炎上を誘発させられる技術」や「炎に焼かれながらほくそ笑むくらいの強靭なメンタル」、そして、「そういう不毛にみえる行為をずっと続けられるマメさ」こそが、いまのネットで「短期間で結果を出す」ために求められているスキルなのではないか、と思うようになりました。
(もちろん、時間をかけて有益な情報を売り、顧客に感謝されるブログも多々あります。そういうのは、運営者の顔が出てくることはほとんどありませんが)


要するに、冒頭のエントリのような「中身がない根性論」「カネの話ばかり」「言ってるわりには4ヶ月で19万円なんてたいしたことない」とツッコミを入れられ、炎上するような記事を意図的に書けるようなスキルこそ、現在のネットで「稼ぐ」ために必要とされているものだということです。
いやまあ、こんなに叩かれるのは、「ラク」じゃないとも思うんだけど。
そして、わざとやっているかどうかも、他人の内心だから証明しようはないんだけど。


でもさ、最後に言っておくと、ネットでこんなふうに「煽り」や「バッシング」「炎上目的」ばかりが目立つようになってしまうのは、そこに「読者のニーズ」があるから、なんですよね。


冒頭の人のエントリをざっと読んでいると、こんなのもありました。
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これは「良記事」かどうか断言はできないけれど、考えさせられるし、これが「刺さる」人はいると思うんですよ。
でも、僕が見た時点では、はてなブックマークは「9」だった。
冒頭の記事は、すでに「200オーバー」で、キツいコメントが多く並んでいます。
「炎上」でよく話題になるイケダハヤトさんも、けっこう面白い記事はあるんですよ、それが話題にならないだけで。


彼らの「暗黒面」を引き出しているのは、「読む側がそれを求めているから」なのかもしれません。
そして、これからも「つまらないエントリ」「くだらないエントリ」「叩けるエントリ」は、死なない。
なくなったら、たぶん僕も困る。


ただ、「時間をかけて蓄積すること」がバカバカしくなってしまった世界の未来は、ちょっと心配ではあります。
もちろん、それをやっている人は、なかなか可視化されないだけで、ネットにもたくさんいるのだけれど。


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りこんのこども

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