競馬で勝つことの難しさについて、浅田次郎さんが書いていたことを思い出します。
うろ覚えで申し訳ないのだが、浅田さんはこう言っていました。
競馬での収支というと、みんな買った馬券と配当金だけを比べて「いくら勝った!」とか言ってしまいがちだけれど、競馬場に行くまでの電車賃とか競馬新聞や情報誌にかけたお金もコストに含めて考えるべきだ。
いや実際、競馬って賭けた時点で胴元である日本中央競馬会に賭け金の20〜30%は持っていかれているわけです。
賭けた時点で、ほぼ「負け確定」みたいなものです。
まあ、そんなことはみんな百も承知で、人生に起伏が欲しくて賭けている、というのも事実なのですが(僕にもそういうところがあるし)、世の中そんなに甘くはない、ってことですよね。
堀江貴文さんや林修先生も競馬にハマって、馬券で食べていこうと思ったことがあったそうですが、彼らのような天才でさえ、実現できなかったのだから。
なかには、卍さんのように統計学的手法を駆使してプラス収支を実現した人もいるんですけどね。
なぜこんな話をはじめたかというと、最近、さまざまなサイトのPV報告や収支報告を目にして、それを手放しで称賛する人を眺めていると、「コスト意識」が希薄なのではないか、と感じたからなんですよ。
ここでも何度か書いているのですが、「有用な情報を必要な人に」提供して稼いでいるサイト(これらは、管理人のキャラクターが表に出てくることはほとんどありません)は別ですが、多くの「ライフスタイルネズミ講サイト」は、「私が使っている、こんな素晴らしい商品」を薦めてきます。僕だって「この本面白かった!」とか薦めているわけで、他人事ではありませんけど。
あるいは「こんなに素晴らしい自分みたいになるためのセミナー」に勧誘してくる。
でもさ、本当に、「そんな人」になりたいの? 商品の宣伝と釣りタイトルばかりのブログが「参考になる」の?
今月はこんなに儲かった!ってアピールしている人、あるいは、その仲間に入れてください!って言っている人は、よく考えてみてほしいのです。
『仲間』のサイトから、結局一度も使わなかったお役立ちグッズや読まなかった、あるいは面白くなかった本などを「あの人が薦めていたから」という理由で買っていませんか?
面白くもないエントリに「参考になりました!」ってブックマークするために、睡眠時間を削っていませんか?
それって、間違いなく、「コスト」なんですよ。
そういう「ムダな買い物」、そして、「そのおつきあいのためや自分のサイトを更新するためにかけた時間」をコストと考えた場合、本当に「儲かっている」のか?
アフィリエイトをやっている人の中には品質やその商品の内容よりも「紹介料が高いもの」を優先する人が少なくありません。
もちろんそれは違法ではないけれど、「儲けるためには、違法でなければ何をしても許される」という人たちを目の当たりにすると、僕は怖くなってしまいます。
「妬んでいるだけだろ!」って言う、お金儲けブロガーの皆様も多いと思うんですよ。
もちろん、僕だって、稼いでいる金額をみて、「うらやましい」と感じることはあります。
でも、ちょっと考えてみてほしい。
あなたは、あなたが信頼している、あるいは真似しようとしているブログの管理者から何かを得ているつもりでも、実際は「搾取」されているだけではありませんか?
アドセンスやアフィリエイトで1000円稼ぐために、ムダなお金を2000円使わされていませんか?
断言してもいいですが、今さら他のサイトの真似をしても、収支がプラスにできる人はごくごくひとにぎりでしかなくて、「信者ビジネス」に取り込まれるだけです。
競馬でいれば「卍」さんのように、誰も思いつかない、あるいは思いついてもやらないようなめんどくさい方法を最初に確立した人だけが先行者利益を得られるのです。
それも、すぐに追いつかれてしまうのだけれど。
アフィリエイトを実際にやっている人は、割合的にはごくわずかだと思うのですが、金融関係の商品って、成約報酬がかなり高いんです。
某社はFX新規口座開設で紹介料が1件あたり15000円、某ローン会社は12000円などなど……
金融じゃありませんが、水素水サーバー10000円、なんていうのもあります。
しかも「セルフパック」っていう、「アフィリエイトをやっている本人が商品を買うことによって報酬が発生するシステム」まであります。
でもこの「セルフパック」って、結局のところ、「ミイラ取りがミイラにされている」だけじゃない?
ほとんどの人は、アフィリエイトからまとまった報酬なんて得られないのですが、アフィリエイトのサイトを覗いているうちに、つい、目先のお金につられて、自分が「顧客」になってしまう。
そんなに紹介料を出せるということは、契約した人は、それ以上の利益を契約先にもたらしているわけです。
FXとか、ヘタに嵌ったら、人生アウトですよ。
kabumatome.doorblog.jp
hagex.hatenadiary.jp
このイケダハヤトさんの話を読みました。
「イケダハヤト叩き」に余念がない人も多いのですが、この紹介そのものは法的にはまさにグレーゾーンというか、たぶん違法ではないと思われます。
イケダハヤトさんは目立っているだけのことで、同じようなことをやっている人は大勢いますし。
だいたい、この前者のブログの「スポンサーリンク」も、僕が見たときには『ウェルスナビ』でした。
イケダさんは「氷山の一角」でしかない。
ネットって、個人個人と直接接しているわけではないだけに、モラルの低下というか「買う人の自己責任だから」という建前で、相手の人生を悪い方向に引っ張っていく可能性が高い商品やサービスを平然と売っている人が少なくありません。
あなたが「人生の師匠」だと思っている人は、たぶん、あなたのことを「カモ」だと思っている。
もちろん、こういうのは対面での商売でも少なからずあるんですけどね。
率直に言うと、ほとんどの人は、こういうのを読んでも「片腹痛い」レベルだと思います。
そんなの騙される人がバカなんだろ、って。
いまの御時世で利回り年10%なんて、かなりハイリスクな金融商品でしょう。
ただ、銀行とかで資産運用の相談をしても、けっこうアバウトな「銀行側が儲かる投資」を薦めてくることも多いんですよね。
もしそういうのをやりたい人は、自分で死ぬほど勉強して、自己責任でやるしかない。
あるいは、ちゃんとした、信頼できる人脈(これもアバウトな表現ですが)を頼るか。
世の中って、ラクして稼ごうとしていると、かえって隙をつくってしまいがちなのかな、と思うんですよ。
いまの「お金稼ぎブログ」って、「貧困ビジネス」化しているように僕には見えるのです。
お金に困っていたり、情報に疎い人から、胴元が「こうすれば儲かりますよ」って言いながら搾取し、最終的には「自己責任です」と突き放す。
「自分は儲かってる!」と自慢している人も、その人がブログのためにかけているコストを詳細に検証してみると、まず赤字なはずです。
ごく一部の「胴元」を除いては。
ぜひ、この本を読んでみていただきたいのです。
私の知る限り、怪しい儲け話に乗らない優秀な経営者は、一見すると物腰の柔らかい、お人好しなタイプが多い。『闇金ウシジマくん』でも騙されてひどい目に遭うのは、だいたいお人好しとは言いがたい感じのキャラクターばかりだ。
むろんお人好しであれば詐欺には引っかからない、というわけではない。騙してくる側は、狡猾だ。あらゆる手を使って攻めてくる。だから、騙されるときは騙される。
とはいえ、騙されないために必要な心構えを、私なりに一応説いておこう。
まず、警戒心を持ち、嗅覚を研ぎ澄ますこと。この人は危ない、仲良くしたらヤバいというのは、立ち居振る舞いから何となくわかる。
どんなに見た目が良くて、たしかな情報を持って来たとしても、立ち居振る舞いに漂う「匂い」が変なヤツには、決して近寄らないようにしよう。
ウシジマの言葉が、的確に言い表している。
「信用できる奴は自分から信じろなんて言わねえよ」
堀江さんは、「フリーエージェント」について、『闇金ウシジマくん』の作者の真鍋昌平さんのコメントも添えて、こんなふうに述べています。
レオナルド・ディカプリオ主演の『ウルフ・オブ・ウォールストリート』でも描かれたように、クズ株など実体のない商材を売りつけて、巨万の財産を築く詐欺師まがいのセールスマンは、各国に続出している。
ワールドクラスのフリーエージェントだ。彼らは堂々と、合法的なビジネスを行い、なかには一般企業と変わらない、まともな形態で事業を進めている例もある。
(中略)
真鍋さんは、取材で会ったフリーエージェントたちを、こう評していた。
「あの人たちは実際に会うと、見た目はシュッとしていて、しゃべりがとても上手。だけど何を質問しても、気づいたら向こうの話にすり替わって、質問したことが何だったのか、わからなくなってくる。彼らはコミュニケーションを取るよりも、自分をどう成功しているようにプロデュースするかが重要。だから話している内容に意味はない。行動もストーリーじみているというか、すべてがお話じみている」
フリーエージェントの空虚な正体を、見事に見抜いた論評だ。
ちなみに『闇金ウシジマくん』の「フリーエージェントくん」編は、単行本では30巻から32巻にあたります。
ネットビジネスで一攫千金!なんていうのが頭の片隅をよぎったことがある人は、ぜひ、この3冊だけでも読んでみていただきたい。
要するに、ネットで(リアルでも、ですけど)「自分が何をやってきて、何ができるのか」ではなくて、「自分がいくら稼いでいるか」「どんなにすごい人間なのか」と自慢ばかりしている人は、信用すると危ない、ということです。
どうせなら、自分が本当になりたい人を「師匠」にすべきだよ、「俺はすごいから真似しろ!」って言ってる人じゃなくてさ。
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