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いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

「面白いブログを書くための最良の方法」について

hagex.hatenadiary.jp

fktack.hatenablog.jp


どちらも大変面白いエントリで、なるほどなあ、と頷きながら読みました。
僕はブログ+個人サイトでかれこれ10年くらい書き続けているのですが、残念なことに、まったく文章がうまくなりません。正確に言うと「大炎上しないように、火をつけた先からバケツを持って走り回っているような文章を書けるようになったけれど、文章そのもののパワーや技術は進歩していない」のです。
ブログをやるメリットとして、「文章がうまくなる、書けるようになる」って言う人がいるけれど、それが目的なら、hagexさんが仰っているように「市民公開講座とかで文章術の教室に通う」ほうが、よっぽど近道です。

あとは、以下の2冊だけでもちゃんと読んで、意識しておくほうが、やみくもに書き散らかすより、よっぽど効率的だと思います。


d.hatena.ne.jp
d.hatena.ne.jp


いずれにしても、練習だけ、理論だけではなくて、「フィードバックを行いながらのトレーニング」が必要ではあるみたいです。


ブログを書く目的について、いろんなことを言う人がいるけれど、友達をつくりたいのであれば、地元で趣味のサークルにでも入ったほうが近道だと思うし、作家になりたいのであれば、文学賞に投稿したほうが(実力があれば)手っ取り早いだろうし、お金を稼ぎたければ、コンビニでアルバイトしたほうが、よっぽど確実かつ簡単に収入になるはずなんだけれど。
まあ、ブログのいちばんのメリットというのは「参入が簡単で(見かけ上の)リスクが低いわりには『何かやったような気分』になれる」ことなのかもしれません。
あとは、こういう行為そのものを「楽しめる」かどうか。
考えようによっては、前述したようないろんな要素を併せ持っているという「なんとなく何かが起こりそうな感じ」というのが、いちばん大きいのかな。


最初の話に戻りますが、ブログで「文章がうまい」人って、確かに存在しますよね。
d.hatena.ne.jp

ただ、このレベルになると、ある程度は「才能」なんじゃないかと思うのです。
ブログのなかにも、言い回しに凝る人って少なくなくて、ああ、筒井康隆チルドレンだな、とか、舞城王太郎フォロワーだな、と感じることはよくあるのですが、その大部分は「読んでいてかったるいし、何が言いたいのかよくわからない」ので「戻る」ボタンを連打されることになります。
そもそも、筒井さんや舞城さんは、独特の心地よいリズム感を持っているし、読む側も「さあ、この人が書いたものを読むぞ」と構えて待っていてくれる。
ブログって、大概、読む側はそんなに気合いが入ってはいないものです。


僕自身は、自分の10年間での変化があるとすれば、なるべくシンプルに書くようになった、ことだと思っています。
どうせそんなに上手い文章は書けないのだから、せめて、読む人にわかりやすく、伝わりやすいようにしたいな、ということで。


最近僕がよく考えているのは、面白いブログを書くための最良の方法って、自分自身が面白い体験をすることじゃないか、ということなんですよ。あるいは、面白いひと、になること。
「つまらないことを、面白く」書くには技術が必要だし、他者の隙をつく、というのは、簡単なようでなかなか難しい。人って、他者を攻撃しようとしているときが、いちばん無防備になりやすいから、長続きしにくいし。


僕は、「ああ、この人は、何かをすごく『面白い』と感じて、それを誰かに伝えたくてしょうがないんだな」というエントリが好きです。


zuisho.hatenadiary.jp


いいですよね、これ。
僕も『ワンピース歌舞伎』観たくなりました。
文章の手練れであるズイショさんが、『ワンピース歌舞伎』に魅せられて、あまり文章的な技巧にこだわらず、憑かれたようにキーボードを叩いている姿が、目に浮かぶようです(実際は、そう見えることまで計算して、冷静に書かれたものである可能性もありますけど)。


お金を稼げるかどうかはさておき、ブログを面白くする、ブログを楽しむためのいちばんのコツって、書いている人自身が面白いことを体験したり、人生を楽しむことではないか、と僕は思うのです。
これを自分の中にだけ収めておくのは、なんだかもったいない。
そこからあふれ出してくるものが、文章になる。


職業作家やプロブロガーは「文章でお金をもらえる存在」であり、うらやましいな、とは思う。
ただ、それは彼らにとっては、「書きたくないとき、書きたいことがないときでも、書かなければ食べていけない」というプレッシャーにもつながります。
「稼ぐこと」を意識しなければ、「書きたくないときには、書かない自由」を得ることができる。


面白いブログを書きたい、というのであれば、文章修業より、自分の人生を楽しむことを僕はおすすめします。
『ワンピース歌舞伎』は、そうそう観に行けるものじゃないかもしれないけれど(でも、「自分はそんな高いのは絶対に無理だ」なんて思い込んでいる人ほど、接したときの感動は大きいのではなかろうか)、ちょっと視点を変えてみれば、世の中には、面白いことって、けっこうたくさんあるんですよ。


昨日、本屋で若いカップルが、こんな会話をしていました。

男:ねえ、モーツアルトの本名って、知ってる?
女:ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト
男:えっ、なんで知ってるの?

僕もそこで、「なんでなんで?」って思ったんですよ。ごくふつうの20代前半くらいの女の子で、音大とかに通っているような感じでもなかったから。
一緒に歩いていた男性のほうも、ちょっとチャラめ、という感じの若者だったから。
うーん、これって「常識」なんだろうか、それとも、ああ見えて、音楽マニアとかクイズ研究会とか……そういえば『シュタインズゲート・ゼロ』にモーツアルトの話がけっこう出てきていたな。まさか、あのゲームをやったのかな……あるいは、漫画とかで採りあげられていたのか、映画『アマデウス』を最近観たのか……
まあ、「世の中の人は、案外いろんな自分の知らないことを知っている」で片づけられる話なのかもしれませんけどね。
ちなみに、女の子のほうは「なんで?」の質問を「ふふーん」と軽く流して、次の話題にいってしまいました。
惜しい、惜しすぎる!
僕ならそこをもっと深く尋ねたい!
(だから、女性に嫌われるんでしょうね。これを書きながら気づきました)


40数年も生きていると、人生って「めんどくさい」との飽くなき闘いだな、とつくづく思います。
そんななかで、たまにでも、きれいな貝殻みたいなものを見つけていきたい。


そもそも、人生を楽しめれば、ブログなんて書けなくても、たいした問題じゃありません。



fujipon.hatenablog.com