いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

我が家の「うたのおねえさん」三谷たくみさんの卒業

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そうか、『おかあさんといっしょ』は、うたのおねえさん、三谷たくみさんだけが卒業なのか……
横山だいすけさん、三谷たくみさんの「だいたくコンビ」(競馬ファン的には「ダイタクヘリオス!」とか言いたくなります)になって、8年。歴代のうたのおにいさん、おねえさんコンビのなかでも最長となり、だいすけおにいさんは今年33歳、たくみおねえさんは、今年30歳と、「そろそろ卒業かな……」ムードではあったんですよね。

どこが、誰がそんな「ムード」なの?
と思ったあなた!
いや、僕も自分が親として子供といっしょに『おかいつ』(『おかあさんといっしょ』の略)を観るようになるまでは、こんなに『おかいつ』好きな大人たちが世の中に存在するとは思ってもみませんでした。
ほんと、自分がそのゾーンに入ってみないと存在すら知らない大きなコミュニティって、けっこうあるのです。

『おかいつ』のキャストの交代は、金曜日に記者会見が行なわれる慣わしになっているようで、2月に入ってから、先週も「今日は卒業発表なかった……」などと『おかいつ』コミュニティでは多くの人が胸をなでおろしていました。


横山だいすけさんは11代目の「うたのおにいさん」、三谷たくみさんは20代目の「うたのおねえさん」なのですが、1993年就任の速水けんたろう茂森あゆみさん(『だんご三兄弟』コンビ!)以降の3組は、いずれも同時就任、同時卒業だったので、今回も(ともに在任期間が長くなったこともあり)同時卒業が有力視されていたのです。


おかあさんといっしょUNOFFICIAL FANCLUB[歴代兄姉一覧]


ところが、蓋を開けてみると、三谷さんの単独卒業、ということで。
冒頭の記事での、ふたりの会見でのやりとりは、8年間を過ごした絆みたいなものが感じられて、僕もじーんとしてしまいました。

 三谷と同年にうたのお兄さんに就任した横山だいすけは続投する。8年間苦楽を共にしたパートナーである横山から「2人とも歌が好きという思いでゼロから出発し、どうしたら子供たちに届く歌を歌えるかといろんなことを話し合いました。笑ったり、泣いたり、時には怒りながら意見をぶつけ合った8年間でした。僕も8年間やってこれたのは、たくみお姉さんが一緒に歩んできてくれたからだと思う。本当に感謝しています」とねぎらいの言葉をかけられた三谷は、感極まって大粒の涙を流していた。だが、横山が「僕は9年目なので、フレッシュな気持ちになれるか不安なところはありますが……」と言葉を詰まらせると、涙をぬぐい「できるよ!」と再び笑顔を浮かべエールを送った。


 ああ、たくみおねえさん、あの声で「できるよ!」って言ったんだな……

 
 たぶん、ふたりも「同時卒業」を想定していたのではないかと思われますが、今回は三谷さんからの申し出での卒業、ということになりました。
 もしかしたら、二人とも交代だと引き継ぎが難しいとか(逆に、どうしても前のパートナーと比較されてしまう、という問題点もありますが)、おにいさんはオーディションで適切な人材が見つからなかったとか、そういう事情があったのだろうか。


 この「うたのおねえさん、おにいさん」って、実はかなり苛酷な仕事だということが、以前、「元おねえさん」のはいだしょうこさんによって語られていました。


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「ダンスのおねえさん」のいとうまゆさんは、こんな話を。
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 倍率600倍で、就任前には3カ月で1000曲を覚えるという猛烈なレッスン。
 在任中は、月〜水曜日が収録で、木曜日が次週のリハーサル、金曜日が歌のレコーディングで、土日が地方での『ファミリーコンサート』。
 NHK契約社員で、そんなに高給というわけでもなく、スキャンダルは厳禁。
 ちなみに、急な病気で病院に行ったときでも、子供に声をかけられたら、苦しくても笑顔で優しく対応するように、と言われていたそうです。
 三谷さんも横山さんも「うたのおねえさん、おにいさんになるのが夢だった」というのを叶えたのですが、それでも、けっして簡単な仕事じゃないはず。
 いくら子供が好きでも、いろんな親や子供もいるだろうし。


 うちの2人の男の子は、長男が7歳、次男が1歳4か月で、長男はまさに「だいたく世代」なんですよね。
 最近は『おかあさんといっしょ』よりも『仮面ライダーゴースト』に夢中です。
 次男は、最近になって、『おかあさんといっしょ』をニコニコしながら観るようになりました。
 おそらく「あつこおねえさん世代」ということになるのでしょう。


 ああ、でも三谷さんのあの独特の声が聞けなくなるのは、お父さん的には寂しい。
 「アニメ声」なんて、就任当初はバッシングもあったみたいなのですが、歴代最長の8年間務めあげてきたことそのものが、たくみおねえさんへの最大の「評価」なのだと思います。

 僕は子供と『おかあさんといっしょ』を観て、三谷さんの声を聞くたびに、谷村有美さんのことを思い出していたのです。
 もう20年以上前、日本でガールズポップが流行っていたときに、インタビューで、谷村さんが自分の声について、こんなことを仰っていて。


「私はずっと自分の声が嫌いでした。子供の頃は、みんなに『ヘンな声』だって、からかわれたり、いじめられたりしたこともあって。でも、こうやって芸能の世界で歌うようになってみると、『クリスタルボイス』とか周りから言われて、武器になっているんですよね」


 三谷たくみさんも、自分の「声」について、同じような経験をしてきたのではないか、と僕は勝手に想像しているのです。
 そういう「コンプレックスだった部分を武器にして生きている人」って、なんだかすごく気になるし、応援したくなるんですよね。
 

 三谷さんの歌を子供たちが喜んで聴いている時間、ほんの短い時間でも、「ひといき」つけた親は、たくさんいると思います。
 もちろん、「だいたくコンビ」の歌が毎朝の楽しみだった子供たちも。
 我が家の「うたのおねえさん」三谷たくみさん、8年間、おつかれさまでした。