いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

子どもが出す「音」で隣人とトラブルになるのは、どちらが悪いのだろうか?

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上記のエントリを読んで(コメント欄も興味深い内容でした)。
この事例に関しては、一方からの話なので、状況を決めつけられないところはあるのですが、こういう「子どもがいる家庭での音の隣人トラブル」について、僕も知人から聞いたことがあるのです。


その知人が、駅の近くの比較的立地のいいマンションを借りて引っ越しをし、新生活をはじめた矢先のことでした。
ちなみに、知人は4人家族で、夫婦とふたりの子どもがいます。
当時、子どもは6歳と1歳。


新居で生活をはじめて1ヵ月くらいのとき、大家さんから電話がかかってきたそうです。
「すみません、お宅の物音がうるさいと、下の部屋の住人から苦情が来ているので、気をつけていただけますか」
ああ、子どもが騒いでいたからかな、申し訳ないな、と思い、子どもにも夜中に騒がない、大きな足音を立てないように、と注意していたのですが、1週間後に、また大家さんから電話が。
「あの……また下の階の方から、やっぱり音がうるさい、というクレームが……」
知人も一度そういうことがあったので気をつけて観察していたのですが、子どもたちは、この1週間とくに騒いだりしていないし、まだテレビも無い状況でした。1歳の子どもも最近は落ち着いていて、夜泣きもしていません。
「うちとしては、そんなに大きな音は立てていないと思うんですが……どんな音が迷惑だと仰られているのでしょうか……」
「先方としては、昼間に子どもが部屋を歩き回る足音がうるさい、ということなんですよ」
「でも、うちとしては、そんなに騒いでいるということはないつもりですし、昼間にとくにバタバタしている、ということも……」
「そうですねえ、ただ、こちらとしても、そういうクレームがあった、ということは、お伝えしておかなくてはならないものですから……」


結局、この二度目のクレームで、知人は引っ越すことを決め、早々にその部屋を出たそうです。
ちょっと古いマンションで、防音設備がいまひとつだった、ということはあるにせよ、そんなにうるさくしていたとも思えないし、子どもに「家の中では、昼間もずっと忍び足で歩きなさい」という生活は無理だと感じたので。
「昼間の生活音」に対して、ここまで過敏な隣人がいると、なんだか怖い、子どももいるし……と。


冒頭のエントリに対して、さまざまな意見が出ているようですが、僕はこの話を聞いていたので、書いている女性に同情しました。
そもそも、子どもって、泣くときは泣くよね。
生まれたあとの夜泣きの時期なんて、子どもにもよるのかもしれませんが、とくに理由がなくても泣きます。
どんなにあやしても、泣き続ける。
「どうにかしろ!」って言われても、「こっちもどうにかしてほしい」くらいなのに。


夜泣きを「うるさい」と感じる人がいる、というのもわかるんですよ。
防音がしっかりしていない集合住宅であれば、隣の家の赤ん坊の夜泣きは、けっこうストレスになりますよね。
僕の知人のような「昼間の生活音、というか子どもの足音」にまでクレームをつけられると、さすがにどうしようもない、とは思うけど。
ただ、人間の生活パターンにもいろいろあって、「夜に働いて、日中に部屋で眠る人」にとっては、日中の足音が気になる、ということもあるだろうし……


「音」への耐性って、けっこう個人差があります。
「少しでも物音がすると眠れない」という人もいれば、「テレビやラジオをつけて寝る」という人もいる。
どちらが正しい、というわけでもないのですが、どちらかが「自分に合わせてくれ」と強要したら、もう一方はかなりのストレスになるはずです。


「子どもが泣いたり騒いだりするのは、当たり前だろう」
それは当たり前なんだけれど、それによって迷惑をかけられるのが自分であることを受け入れるのとは違う。
ある意味、「隣人の生活音くらいは我慢しろ」という同調圧力が薄らいできたからこそ、というトラブルなのかもしれませんね。
ただ、ある一定の割合で、「隣人に対して理解を超えた敵意を向けてくる人」というのはいるようです。


クレームをつけたことによって、相手が引っ越してしまうというのは、まさに相手の思いどおりだったのではないでしょうか。
そう考えると、ちょっと悔しい気もしなくはないですし、物音に対してあまりにも閾値が低い人に対しては「昼間の足音くらい我慢してくれればいいのに」とは感じるんですよ、やっぱり。
でも、自分基準、あるいは「世間の平均はこのくらい」というのを押しつけても、相手がそれで納得してはくれないでしょう。
「引っ越し時に付け届けをしておけば」というコメントがありました。
知人は隣人には挨拶したそうですが、下の階はノーマークで、一度そういうクレームをつけられたあとは、なんだか関わり合いになるのが怖くなってしまった、とのことでした。


この問題、どう考えてみても、どちらが悪い、というよりは、お互いに相性が悪いとしか言いようがないので、物理的に距離を置く=引っ越す、が正解だという気がします。
こういう場合、相手を「説得」するよりも、引っ越してしまったほうが、リスクもコストも少ない。
相性の悪い隣人にあたらなければ不要なリスクやコストだと考えると、悔しくはあるけれど。
また引っ越すのはめんどうだけれど、どんなに相手が理不尽に思えても、殴られれば痛いし、刺されれば死にますから。
そこまでの「事件」が起こらなくても、ずっと自分が出す音を気にして生活するのはつらすぎる。
賃貸だったのが不幸中の幸い、と考えるしかないのだよなあ。


こういう話を読むたびに、一戸建てやマンションを「買う」というのは、けっこうリスクが高いのではないか、と考えずにはいられません。
子どもがいる家族と、そうでない人々の「住み分け」も進んでいくことになるのでしょう。
これからどんどん人口が減っていく日本は「部屋余り」の時代に突入していくわけですし。
そして、「私は我慢できない」が言いやすくなった社会というのは、それはそれで、お互いに生きづらいところもあるのかもしれませんね。


こちらは随時更新中の僕の夏休み旅行記です。有料ですが、よろしければ。
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