いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

ブックオフを利用してるんだが、もうブックオフは限界かもしれない


toyokeizai.net

この記事が最近、けっこう話題になっていました。
こちらはこの記事へのブックマークコメント。
b.hatena.ne.jp
ああ、嫌われてるなブックオフ、という感じです。


ブックオフの現状」について考察した、こんなエントリもありました。
naruoe.hatenablog.com
naruoe.hatenablog.com

この「ブックオフに欲しい本がない理由」も「ブックオフの買い取り価格について」も納得できる話なんですよね。
僕はそんなに熱心なブックオフの顧客じゃなくて、気が向いたら入ってみるくらいの付き合いです。
ブックオフのシステムに嫌悪感を示している作家や本好きが多いというのも知っています。
僕が住んでいるような人口10万〜20万人くらいの地方都市には、そもそも「古本屋」という選択肢がありませんし、実際に「本を安く買える数少ない手段のひとつ」であった時代もけっこう長くあったんですよね。


ネット書店全盛の時代とはいっても、クレジットカードを自分で使えない学生やKindleって何?という高齢者、ネット通販に抵抗がある人というのは、けっして少なくありません。
ブックオフにしても、「右肩下がり」ではあるけれど、全然売れなくなってしまっているわけでもない。
ブックオフは(とくに都会では)昔ながらの古本屋を駆逐してきた憎い存在なのかもしれないけれど、今となっては、そして、地方都市に住む人間にとっては、「紙の本を安く買える数少ない選択肢のひとつ」ではあるのです。


最近、引っ越しのため、蔵書をかなりブックオフに売りました。
「著者に還元されないサイクル」に参加することに、申し訳ない、という気持ちはあるのですが、現実問題として、合計1000冊くらいの「本を捨てる」のは、けっこう大変な作業です。
これでも、最近は電子書籍を買うことが多いので、蔵書が増えるペースは落ちているんですけどね。
本当は捨てずにずっと置いておけるような書庫があればベストなのでしょうが、家族4人でのマンション生活にそんなスペースがあるはずもなく、本の整理をするのも一苦労。書き込みはないけれど、本に貼っている付箋をチェックするだけでもくたびれます。
いっそのこと全部ゴミとして出そうかとも思うのですが、このくらいの量になると、一度にゴミの日に出す、というのも憚られます。
どうせ捨てるのだったら、少しでもお金になったら助かるなあ、とは思うのですよね。
ということで、久々にブックオフに本を売りに行きました。


以前、10年前くらいに出張買い取りでブックオフに本を売ったときは、確か、800冊で1万8000円くらいの値がついたと思います。そのときも引っ越し前で、買い取り価格云々というよりは、「まずはこれを引き取ってくれればいいや」という感じではあったのです。
1万8000円というのは「それなりの金額だけれど、これを買うのにかかったお金、100万は軽く越えているよなあ」と、少し悲しくはなりました。
ただ、いろんなコストを考えると、そのくらいじゃないとブックオフも利益が出ない、というのも理解はできたのです。


今回、10年ぶりくらいに、店舗への持ち込みで、ブックオフの買い取りを利用してみました。
ネット書店の買い取りは、ちょっとめんどくさそう、ということで、選択肢にはありませんでした。
高く買い取ってほしいのは山々ですが、宅配便の業者が来るのを待って、整理して送って、査定してもらって連絡を受け、返事をする、というプロセスよりは、自分で段ボールに入れて、ブックオフの店舗に持ち込むと一度の手間で済む、と思ったので。


結果的には、車に入り切らなかったこともあり、何度かに分けて売りに行ったのですが、久々にブックオフで本を売ってみて、ちょっと意外だったんですよね。
新書やマンガに関していえば「十把一絡げ」という値付けは相変わらずなのですが、単行本に関しては、かなり柔軟な買い取り価格になっていました。


「本をブックオフに売ること」に抵抗がある作家や読書家が少なくないというのは承知していますので、レシートの一部だけ公開してみます(作品名がわかるものもありそうですが……)。
綺麗な写真じゃなくてすみません。


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ちなみに、僕が本を売る基準は「とりあえず読んでしまって、感想をブログに書いたもの」と決めていて、ものすごく好きだった本でも、感想を書き終わると売ることにしています。そうしないと、売りたくない本ばかりになってしまって、生活する場所がなくなってしまうので。
ですから、「好きじゃない本だから売った」というわけではありません。


5円しか値がつかない単行本もあれば、500円で売れるものもある。
もちろん、もともとの本の価格が違うのですが、それにしても、100倍の差があるわけではありません。
こうしてそれなりの数の本を売ってみると、現在のブックオフの買い取り価格は、単行本に関しては「十把一絡げ」ではなくなっている、ということがわかりますし、値付けの傾向みたいなものもなんとなくわかってきます。
(ちなみに、このレシートは売った本の一部、というか売りにいったなかの一回分です)


うかがえる傾向としては、
(1)新しい本ほど高く買い取る傾向がある
(2)ベストセラーは安い
(3)文芸書も安い
(4)サブカル系やノンフィクションは比較的高め(なぜかスポーツノンフィクションは安め)
(5)研究書はものすごく安く買い叩かれはしないが、高値もつかない
(6)ビジネス書は新しいものは高めだが、少し古くなると暴落する
(7)エッセイ集(コミックエッセイ含む)は、だいたい定価の10〜20%くらいで安定している
(8)買い取り価格は、本の「面白さ」への評価というより、「需要と市場への流通量の兼ね合い」で決まっている


といったところでしょうか。
今回、(このレシートのときとは別に)ゲームソフトもかなり売ったのですが、プレイステーションの『MOON』(未開封)に3000円とかいう値段がついているのを見たときには、「こんなに高いのなら、売る場所を間違えたか……」とちょっと思いました。
そして、ブックオフも、けっこう市場調査をしているのだな、と感じたのです。
僕のイメージでは、「どんな本でも状態(綺麗さ)だけをみて、十把一絡げに安く買い叩く」のがブックオフのビジネスモデルだと思っていたのだけれど、(少なくとも僕が今回行った店は)そうじゃない。
だからといって、すべての買い取り価格に納得しているわけじゃないというか、これ面白いし、状態も悪くないのに5円?みたいな本もたくさんあったのですけどね。


inazumanews2.com

ネットにはこんな記事もありました。
ヤフオクで売れば、もっとお金になるのに」っていう意見に対して、43氏がこんな書き込みをしています。

ヤフオクとかで売る人は5冊セットとして
80回も住所書いたり梱包したりして送るの?
1万が3万になるならそりゃかなりの違いだけどすごい労力だな


世の中、「ラクでお金も儲かる」ようには、なかなかできていないみたいです。
僕としては、そこまでやるめんどくささを考えると、ブックオフに持ち込んだほうが良いんだよなあ。
それに、オークションで売るとなると、クレーム対応が生じてくる可能性があって、それを考えるとブックオフでその場で査定+お金のやりとりまでしてしまったほうが、後腐れがない。


体験談的なものをあまりにも書きすぎてしまったのですが、もう少しだけ続きます。


売る側からすると、「ブックオフに売る本」が減ってきている原因というのは、以下が考えられます。
(1)新刊書が売れなくなってきており、読者の元にある紙の本の母数が減ってきている
(2)電子書籍で買うことが増えてきた。とくに「たくさん本を買う人」=「ブックオフに一度に多量の本を売る可能性がある本好きの人」は、スペースの問題などもあり、電子書籍を選択する割合が高いのではないか。
(3)ブックオフ以外にも「本を売る選択肢」が増えてきている(ネット書店など)
(4)作家や「世間」への「ブックオフへの反感」が浸透してきている(本好きの人ほど、ブックオフを嫌っているような印象)
 まあ、こんなところでしょうか。


そして、買う側からすると、「ブックオフで本を買わない理由」は、こんな感じです。
(1)欲しい本が置いていない
(2)そんなに安く感じない
(3)店の雰囲気が嫌い


(3)に関して、「臭い」とか最初の記事のブックマークコメントに書かれているのですが、僕はあれって図書館と同じようなにおいなので、そんなに抵抗ないんですよね。中古本をたくさん置いていたら、ああいうふうになるのだろうな、と思うだけです。
(僕自身が、本の綺麗さにはあまりこだわらないからかもしれません)
(1)(2)が、いまのブックオフの大きな課題だと思うのですが、これは、なかなか解決することが難しそうです。
 一昔前のブックオフの魅力というのは、「誰かが一度買った本」であるがゆえに、新刊書ではあまり目に入ってこないような「こんな本が世の中に存在するのか!そして、これを買った人がいるのか!」という存在を見つけることができるかもしれない、という面白さでした。
 この本がこんなに安く売られているなんて、という意外性も少しはあったんですよね。
 ところが、最近は「市場調査」をある程度は行なっているみたいだし、「せどり」が「オークションで高く売れそうな本」を片っ端から抜いていきます。
 結果的に、販売価格は「適正化」されているのだけれど、「宝探しの楽しみ」が、失われてしまったように思われます。
 以前の「カオスな感じ」「雑然とした活気」が失われて、なんだか「ふつう」になってしまった。
 いかにも「ブックオフで売っていそうな本」ばかりが並んでいるのです。
 ただ、それはブックオフが企業として大きくなり、「ちゃんとするようになった」ことの反動でもあり、後戻りは難しそうなんですよね。
 

 20年前くらいにはたくさんあった郊外型の中規模新刊書店が激減してしまい、ブックオフの影響もあって古本屋も少なくなりました(まあ、もともと地方には少なかったんですが)。
 現在、新刊書はショッピングモールの紀伊國屋などの大型書店かネット書店か、中古書はブックオフしかない、という地域はかなりあると思います。
 これまでの歴史を考えれば、ブックオフもかつて自らが古本屋を潰してきたように、時代の流れによって、自らも潰される番がやってきた、だけのことかもしれません。
 それでも、紙の本に触れられる一番大きな書店がブックオフという地域が少なくないことを考えると、そう簡単に潰れてもらっても困るよなあ、と僕は考えています(もちろんすぐには潰れないでしょうけど)。
 そもそも、ネット書店が送料無料とか宅配買い取りとかネット査定とか、さまざまなサービスを打ち出してきたのは「ブックオフに対抗するため」ですから、消費者としても、選択肢は多いほうが便利であり、有利でもあるのです。
 Kindleがあれば十分なのかもしれませんが(僕もそう思うことは多い)、使い始めるまでの敷居というのは、すでに使っている人が思っているほど低くはありません。
 Amazonだって、ショーケースとしての書店が壊滅してしまったら、困るのではないでしょうか。


 最後に「じゃあ、ブックオフはどうすればいいの?」っていう解決策みたいなものを書いて終わろうと思っていたのですが、一日中考えてみたものの「業態として厳しい」という結論しか僕には出せなかった、ということを付記しておきます。
 これまでの本やCD、ゲームソフトの中古販売だけでは難しい、という判断を経営陣もしているからこそ、さまざまな商品を試行錯誤しながら扱おうとしているのでしょうし。


 考えられるとすれば、街の中心部の大型新刊書店やネット書店が届きにくい小中高生や高齢者向けに特化し、地方を重視して小型化していく、とか(……って、ブックオフがこれまで潰してきた「古本屋化」するってことですよね)、「実店舗を持つメリットを活かしたオンライン中古書店化」していく、とかなんだよなあ……でも、前者は若者人口の現象とネットを使い慣れた人の高齢化でじり貧になるのが目に見えているし、後者はいまさらAmazonには勝てそうもないし……


fujipon.hatenadiary.com

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