ああ、ようやく連載再開なのか、というか、連載中止から、もう2年も経ってしまっていたのか……
昨年夏に、スクウェア・エニックスとSNKプレイモアの和解が成立したというのをみて、これで再開されるのかな、と思いきや、音沙汰のないまま半年以上が経っていました。
これはもう、人気マンガだったとはいえ、一度「ケチがついた」作品なので、このままお蔵入り、ということになるのだろうか、あるいは、押切先生のモチベーションが失われてしまったのではないか、と半ば諦めていたのです。
それが、今年の7月から連載再開が決定。
止まっていた時計の針が、また動き出した!
この『ハイスコアガール』、ゲーム漬けの中高生時代をおくっていた僕にとっては、まさに、「自分の黒春時代を肯定してくれる作品」だったのです。
これだけ愛着を感じていた作品が「大人の事情」みたいな感じで排除されてしまったことが、僕はすごく悲しかったのです。
たしかに、編集部の側にも「愛があるからいいだろ」「宣伝にもなっているし、害を与えているわけでもないんだから」という「甘さ」があったのは事実なんですよね。
そして、世の中の多くの作品が、そういう「著作権を持っている人が気を悪くして本気で訴えてきたら存在を脅かされる」という砂上の楼閣であることを浮き彫りにもしました。
いろんな駆け引きがあったのだとは思われるけれども、とにかく、連載再開、単行本(Kindle版も)発売再開となりそうで、よかった。
僕が駆け込みで買った単行本も、「お宝」にならなくて、よかった。
ただ、あのトラブルで連載中止になったときの『ハイスコアガール』は、アニメ化が決まり、これまでの「好事家に熱狂的に愛されている」状況から、よりいっそう広い範囲の人にアプローチしていく時期ではあったんですよね。
その、まさに「旬」だった時期に、2年間のブランクを強いられたことは、正直、痛いと思うし、連載再開されても、あのまま続いていたときほどの熱狂を得られるかどうかはわかりません。
僕もいろんなコンテンツをみてきたけれど、こういうものには「タイミング」というのがある。
この2年間、僕は『ハイスコアガール』を待っていたけれど、その一方で、「ちょっと冷めてしまったところ」も確実にあるのです。
今回の件で失われてしまったものから目を逸らして、「良かった!」で済ませてしまうのには、スッキリしないところもあります。
いや、読むんだけど、これからも。
映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』みたいに、長生きして、「続き」を知ってしまったがために、味わう寂しさ、みたいなものが、待っているかもしれないけれど。
この本には、『ゲーメスト』の元編集長・石井ぜんじさんと、『ハイスコアガール』の押切蓮介さんとの対談が収録されています(「インド人を右に」の話も面白い!)。
『ゲーメスト』の愛読者だったという押切さんが、こう仰っていたのが、なんだかすごく印象的でした。
押切:僕もまだまだ、ゲームを楽しませてもらおうと思っています。ゲームはもう生活の一部になっていますよ。この前、経済的に今後の人生プランを考える、みたいな機会があったんですよ。でもその時に「あなたは今後の人生で何がしたいですか?」ってプランナー的な人に言われた時に「ただ……ゲームをしたいです」って(笑)。
石井:(笑)。
押切:改めて、そうか、俺はゲームがしたいだけなんだって思ったんですよね。ゲームをするために生きているんだなって実感したんですよ。
そうか、オッサンになっても、「ゲームをするために生きている」でも良いんだ。それも、アリなんだ。
とりあえず、僕の人生は、まだコンティニューできるみたい。
おかえりなさい、『ハイスコアガール』。
ハイスコアガール(1) (ビッグガンガンコミックススーパー)
- 作者: 押切蓮介
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