読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

「広告の品」だけを買って、店を出ていってしまう人たちを相手に、商売をするということ。

anond.hatelabo.jp


本当に「つまらなくなってきている」かどうかは、僕自身には何とも言えません。
正直、「つまんないな」と思うことはあるのだけれど、ずっとそんな感じでブツブツ言いながら、結局、(「はてなダイアリー」から通算すれば)10年以上やってきているし、それだけ続いているということは、心底「つまらない」と思ってもいないのだろうな、と。

私は2007年くらいからはてなを使いはじめた。
当時はブックマークをして、みんなの書いたコメントを見るだけで結構楽しかったし、勉強になっていた。
質の高いブログもたくさんあった。とにかく知的水準は高かったし、こんな世界もあるのかと思ったものだった。
でも最近は、そのようなブログは減っていき、明らかに炎上マーケティングを狙っているブログ、男と女、右翼と左翼、田舎と都会、金持ちと貧乏など、様々な対立を煽るブログが増えている気がする。
こういうブログは、とにかく、疲れてしまうし、おもしろくない。
技術系の記事も次第に減っている気がする。かわりに増えたのは、ライフハッカーリクルートといった会社が提供する、半分広告のような記事だ。


これはたしかに、そういう現実はあるような気がします。
では、「発信側」としては、昔と今と、どう変わってきたのか。
今回は、いま、こうして書いている僕の側からの「実感」みたいなのを、とりとめもなく書いてみたいと思うのです。


僕が「テキストサイト」みたいなものをはじめたのは、2001年ですから、いまから14年前です。
当時は、個人サイトというのも現在ほど多くはなかったし、SNSも発達していませんでした。
「インターネット雑誌」の紹介記事で、「面白いサイト」を探す、などということが普通に行われていたのです。
当時の個人サイトというのは、属人的というか、「この人が書いているものを読むために、サイトをブックマークする」というのが一般的でした。
今日は更新されてないかな……と、お気に入りのサイトを「巡回」するのが日々の習慣でした。
『かとゆー家断絶』『ゴルゴ31』『かーずSP』という「ニュースサイト御三家」の全盛期でもあり、これらのニュースサイトの巡回先になれるかどうかが、個人サイトにとっての生命線だったのです。


今でも記憶にあるのは、これ。
参考リンク(1):オトコの深層心理を浮き彫りにする、戦慄の心理ゲーム!(活字中毒R。)

いまのインターネット基準では信じられない話だと思いますが、当時は、これが「ニュースサイト御三家」に紹介されて、一日で10万人くらいの人が読んでくれたのです。
あのときは、リロードするたびにカウンターの数字が数百くらいずつ上がっていって、すごく驚いた記憶があります。
大手サイトは「相互リンク」「言及文化」などでお互いにお客さんを回し合っており、新参者には、なかなか入り込むスペースがありませんでした。
そもそも、『さるさる日記』『エンピツ』などの時代には、「知らない人の目にとまる」機会がなかなかありませんでしたし。
ランキングとかに入れば読んでもらえるのだけれど、誰も知らないサイトが、ランキングに入るわけもない。


その後「はてなアンテナ」などのRSSリーダーが普及していきましたが、それでも、個人サイトは、属人的というか「あの人が書いているものを読む」というのが僕の感覚でした。


その後、「はてなブックマーク」などのソーシャルブックマークシステムが使われるようになり、現在では、TwitterfacebookなどのSNSが一般的なものになっています。


読む側の感覚というのは、そんなに変わっていないと思うんですよ。
面白そうなもの、話題になっているものを読むだけのことです。


でも、書く側からすると、これはけっこう、大きな変化なんですよね。
個人サイト(ブログ)は、昔のように、属人的なものではなくなった。
芸能人などのファンサイトはさておき、個人のブログは「エントリ単位」で読まれるようになったのです。
RSSリーダー時代は「面白い記事を書いているブログは、アンテナに登録して、しばらく更新を追いかけてみる」ことが多かったのだけれど、今は「はてなブックマーク」やSNSで話題になっている記事をその都度読んでいるだけでお腹いっぱい、という人が多いのではないでしょうか。
ネットに流れている情報があまりにも多くなったため、そういう「エントリ単位」での読み方が主流になった。
こちら側(発信側)からすると「常連さん相手に商売をする」ことが、難しくなったのです。
みんな「広告の品」だけを買って、店を出ていってしまう。


発信する側として僕が『はてなブログ』で実感しているのは、「はてなブログは、人が来るときには信じられないくらい大勢来るけれど、ちょっと更新を休むと(あるいは、話題になるようなエントリが書けなくなると)、潮が引くように閑散としてしまう、ということです。
それは、僕がとくに検索対策とかをしていない、というのもあるのでしょうけど。
昔の個人サイト、あるいはブログ運営の感覚からいうと、多くの人に読まれるような記事をひとつ書けば、最低2〜3日、場合によっては、1週間くらい、その恩恵を受けられていたんですよね。
でも、今はせいぜい、当日と翌日くらいまでです。
1日数万人もの人がみてくれても、その翌々日くらいには、1日1000人を切るようなこともあります。
消費されるスピードは、どんどん早くなっていき、後には、何も残らない(正確には「はてなブログ」の場合は、「読者登録」してくれた人というのが、お得意さまになってくれているのですが、これも「読みたくて登録してくれた人」から「義理」「登録返し狙い」まで、たくさんの登録理由があります)。


とはいえ、一度たくさんの人に読まれる経験をして、ちょっとお金を稼いでしまうと、「あの大ヒットエントリをもう一度!」という誘惑に耐えるのは難しい。
そこで、同じような内容の二番煎じや、煽り、炎上商法に手を染めてしまう。
実際、煽りや炎上商法、あるいは互助会でもやらないと、よほど才能がある人でなければ、連日のように何百ものブックマークを集めることは難しい。
でも、そういうやり方は、長続きしない。
すぐに飽きられるし、自分を消耗させてしまいます。
はてなブログ」でも、「炎上上等系」の人気ブログがいくつも登場してきましたが、大部分は、数か月くらいで下火になってしまっています。
炎上芸は飽きられるし、モチベーションがお金であるならば、精神的な負担に見合うほどの稼ぎは、まず得られませんから。


アンディ・ウォーホルは「人は誰でもその生涯で15分だけは有名になれる」と言いましたが、誰でも、いわゆる「バズる」エントリの種を1つや2つは持っているはずです。
読む側としては、その「1つや2つ」を読んで、次の人のところに行けばいい。
僕だって、基本的にはそうしています。


書く側からすれば、最初に読んでもらうまでのハードルは高く、一度火がついても、短期間で燃料を投下しつづけなければすぐに忘れられてしまい、コストや受けるダメージを考えると、メリットは少ない。そして、属人的な「承認欲求」も満たしづらい、というのが、現在の個人ブログなんですよね。
人気者であり続けようとするほど「自転車操業」になり、内容は薄くなってしまう。


もちろん、ブックマークとかPVとかにこだわらずに、自分のペースで書き続けている人はいるし、僕自身はそういう「人」のブログを読み続けています。
個人的には「はてながつまらなくなった」人にオススメしてみたいのは「自分でブログを書いてみる」ことです。
「発信側」になったほうが見えやすい世界っていうのもあるので。
そして、自分から「面白いはてな」を探しにいくこと。
「ホットエントリ」の常連になる頃には、大概のブログは、ピークを過ぎているのです。


「エントリのバラ売り」が極まった一方で、最近はその反動なのか「そのブログを書いている人に興味を持つこと」が、少し見直されつつあるような気もするんですけどね。
はてなブログ」には、トラックバックはなくても、「読者になる」ボタンがありますし。


「そんなに安いわけじゃないけど、なんとなく雰囲気が好きだし、家から近いから、ここで買い物をしよう。ここでしか売っていないものもあるし」


たぶん、そのあたりが、個人ブログの「居場所」なのだと僕は思っています。