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いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

「本棚の10冊で自分を表現する」2015年秋

今週のお題「人生に影響を与えた1冊」


yamayoshi.hatenablog.com


面白そうだったので、僕もやってみることにしました。
折り返し点を過ぎてしまった、僕の人生を振り返りつつ。
「読書の秋」でもありますし。



小学校のときに、マイコンとの出会いがなければ、僕の人生は全く変わったものになっていたのではないかと思います。そのくらいハマっていたのですが、そのわりには「自分で何かをつくる」っていうほうにはいかなかったんだよなあ。
キーボードで「右」を入力すると、画面上のキャラクターが右に動く、それがすごく感動的だったんですよ、うん。
いまは、うちの6歳の長男が、平気で『Hay Day』とかで遊んでますけど。
昔は「こんなオッサンなのに、タイピングが速い!」って、若者たちに一目置かれて喜んでいたのですが、今の若手はみんな速い、速すぎる……
でも、ハードの進化と、ソフトの進化をみていくだけでも、毎号『ログイン』の広告ページを見ているだけでも楽しい時代でした。
思えば、子供の頃に読んでいた本って、『ログイン』の安田均さんの書評の影響を、ものすごく受けていましたし。



アドベンチャーゲームブック!
これが出たとき、近所の本屋には置かれておらず、街の大きな書店でようやく見つけたときには、ものすごく嬉しかったのをいまでも覚えています。
僕が「文章を書く」のをはじめたきっかけも、「アドベンチャーゲームブック(っていうほど立派なものじゃありませんが)を自分でつくったこと」でした。
ただ、僕はあまり真面目なプレイヤーではなく、サイコロとかメモとかは使わずに「とりあえず、この戦闘は勝ったことにして○○ページに行こうっと!」というような「みなし主義プレイヤー」だったことを告白しておきます。
というか、あれ、真面目にやってた人って、そんなにたくさんいたのだろうか。



三国志 (1) (吉川英治歴史時代文庫 33)

三国志 (1) (吉川英治歴史時代文庫 33)


もともとはNHKの『人形劇・三国志』にハマり、あの人形劇の諸葛亮孔明みたいな声の人になれたらいいなあ、と思っていたんですよね。
……もちに森本レオさんが女性スキャンダルで話題になったときには、椅子からずり落ちましたが。
子供向けの三国志をいくつか読んだのですが「かくして劉備玄徳は蜀の国の皇帝となりました、めでたし、めでたし」みたいな終わり方のヌルい本ばかりで、「大人向け」「決定版」とされる吉川英治版に挑戦したのでした。
たしか、中学校に入ってすぐの頃だったと記憶しています。
中学校に入って転校した先の学校は、市内の3つの小学校から生徒が合流するマンモス校で、入学直後はみんなそれぞれ出身小学校で固まっちゃうんですよね。それで、「○○小学校出身者は集まれ〜」みたいなグループが3つできて、転校生の僕はひとりっきり。
まとまったクラスのなかに1人転校生が入ってくると、それなりにみんな構ってくれたりもするのものですが、そんな状況で、僕は三国志でいえば孟獲みたいなものでした。周りはみんな僕を異物としてスルーしていく。
あのつらかった時期だったからこそ、古い言葉がふんだんに使われていて読むのが大変だった吉川三国志を、軌道に乗るまで読めたような気がします。
慣れたらほんと、面白くて夜も眠れないくらいだったんですけどね。
ちなみに、三国志を「曹操孔明の二大英雄の書」だと吉川英治が書いていたのがすごく印象的でした。
その後僕は三国志関連の本を読み漁り、孔明は政治家としては超一流だったが、武将としてはいまひとつ、という評価であることや、風向きを変えたのは『三国志演義』のフィクションだというのを知りました。
あと、孟獲って、孔明に負けたあと蜀で重用され、本人の研鑽もあって、御史中丞まで務めたそうですよ。



旅のラゴス (新潮文庫)

旅のラゴス (新潮文庫)

僕は高校くらいまで、歴史関連の本かノンフィクションかSFか西村京太郎のトラベルミステリーくらいしか読まない偏った読書経歴しか持っていなかったのですが、高校の学園祭の古本市で、半ば同級生への義理で買った、筒井康隆さんの『48億の妄想』に打ちのめされて、筒井さんにはどっぷりハマってしまいました。
筒井さんは、いまだに僕にとっての「神さま」です。
長年、もし生まれ変わって、好きな人にしてやると言われたら、筒井康隆になりたいなあ、って思ってた。
しかも、『48億の妄想』って、僕が読んだ時点で、世に出てからもう20年とか経っているんですよね。
ほんともう、圧倒されるばかりです。
……って、『旅のラゴス』の話ですが、これは以前別のところでしたので、そちらを参照してください。
筒井作品としては、ちょっと毛色が違うのだけれど、ほんと「自分の生きかた」というのものを考えさせられる一冊でした。



銀河英雄伝説 1 黎明編 (創元SF文庫)

銀河英雄伝説 1 黎明編 (創元SF文庫)

銀河英雄伝説1 黎明篇

銀河英雄伝説1 黎明篇


これも、前から読んでくださっている方(が、もしいらっしゃれば)にとっては、「お前の『銀英伝』話は聞き飽きた!」って言われそう。
でも、安保関連法案とかで、「民主主義とは何か」という話になるとき、僕の頭に浮かんでくるのは、ヤン提督だったり、ヨブ・トリューニヒトだったりするわけで。
昔は誕生日を迎えるたびに「なんで何も悪いことをしていないのに、年を取らなきゃいけないんだ!」って、ヤン提督に倣っていたものでした。



ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

ノルウェイの森 下 (講談社文庫)

ノルウェイの森 下 (講談社文庫)


僕にとっての村上春樹デビュー作。
高校のとき、「これはエロい」ということで話題になったのですが、たしかに、「大学に入ったら、こんな毎晩とっかえひっかえナンパとかで女の子と仲良くできるのか!」と、僕たちのモチベーションをアップしてくれた一冊でした。
実は、僕は本読みとしては、ずっと「恋愛小説が苦手」だったんですよね。
世界を動かした偉人の伝記とかに比べて、誰かと誰かがくっついたとか離れたとか、スケールが小さい!時間のムダ!などと思っていた……というのはウソで、なんというか、僕自身あまり人を好きになれない、というコンプレックスを抱えていたのです。
恋愛とか、縁がない人生なんだろうな、と。
まあ、これを読んで、そういうものが雲散霧消した、というわけではないのですが、「とりあえず恋愛小説も読めるようになった」きっかけでもあります。
個人的には、村上春樹作品でいちばん好きなのは『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』で、いちばんの傑作だと思っているのは『ねじまき鳥クロニクル』なのですが。



幽玄漫玉日記1巻 (ビームコミックス文庫)

幽玄漫玉日記1巻 (ビームコミックス文庫)

桜玉吉さん、大好きなんですよ。
『週刊ファミコン通信』で『しあわせのかたち』を玉吉さんが連載していて、「べるのむらまきこ」とかいう強引なキャラクターが出てきたり、『ドラゴンクエスト2』の回では、ラスボスが「諸事情により」障子の陰にずっと隠れていたり。
まさか、その後「鬱漫画界の巨匠」として君臨することになるとは……
でも、僕はとりあえず「玉吉さんが生きているあいだは、僕もなるべく生きていたいものだ」とは思っているんですよね、なんとなく。
玉吉さんといえば、「桜玉吉のかたち」という本のなかで、玉吉さんを知る人たちがみんな「玉吉さんは『中庸の人』だ」と言っていたのが印象的でした。
仕事も遊びもなんでもバランスよくこなせる男だった、と。
これを読んで以来、「ものすごくバランスがとれているというのは、ものすごくバランスが崩れているということなのかもしれないな」というようなことを考えるようになりました。



トンデモ本の世界

トンデモ本の世界

「と学会」というと、いまのネットでの「ツッコミ文化全盛」のなかでは、「もう過去のもの」とか「お腹いっぱいな感じ」もするのですが、この本が出た当時(1995年)には、たいそう話題となったものです。
 そもそも、僕たちはそこはかとなく『ノストラダムスの大預言』とか、どうなるんだろうな……30歳にもならないうちに死んじゃうのかな……とか思っていた世代なわけで。
 それなら、勉強とか貯金とかしても、意味ないんじゃないか?
 そんな僕たちに冷静なツッコミを入れ、「大手メディアがお金にならないから伝えない真実」みたいなものを教えてくれたのがこの本です。
 世の中には、こんなことに手間隙かけて生きている、面白い大人たちがいるんだな、と、ちょっと嬉しくなりました。
 ある意味「面白く読めるリテラシーの礎」みたいなものをつくった人たちなのではなかろうか。



銀の夢―オグリキャップに賭けた人々 (講談社文庫)

銀の夢―オグリキャップに賭けた人々 (講談社文庫)

ダービースタリオン』から競馬にハマりまくった僕は、競馬関連本をものすごくたくさん読みました。
競馬の世界にはいろんなドラマがあったのですが、僕がリアルタイムで体験した馬のことを描いた本のなかでは、これがまさに「白眉」でした。
ファン目線でドラマチックに擬人化した馬の話をするのではなく、生産者、調教師、騎手など、さまざまな角度から「オグリキャップ」という馬と、彼が起こした現象のことが書かれています。
オグリキャップ種牡馬としては残念な結果に終わってしまい、僕もしばらくは「やっぱり血統が良い馬じゃないと、種牡馬としてはダメなのかねえ」なんてガッカリしていたのですが、最近あらためて、これだけひとつの時代のたくさんの人にインパクトを与え、ずっと「伝説」が語り継がれるということは、血統が残っていく以上の「偉業」なのではないかと思うようになりました。



アラビアの夜の種族〈1〉 (角川文庫)

アラビアの夜の種族〈1〉 (角川文庫)

物語の力+ダンジョンRPG
ゲームの世界を、神話にまで高めてしまった傑作小説。
「どんな本が好きですか?」と問われたときに、「本当はこれを薦めたいのだけれど、相手を選ぶかな……」と、迷ってしまう一冊です。
でも、『ダンジョン飯』がこんなに売れている今ならば、もう、どんどんオススメしても良いのではなかろうか。


これだけ思いつくままに挙げてみたのですが、けっこうありきたりな感じのラインナップで、「海外小説」「ミステリ」は一冊も無いのか……
なんか頭悪そうなんですが、実際に頭悪いので勘弁してください。