いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

さて、あなたならどのカウンセラーを選びますか?

『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。』(カレン・フェラン著/神崎朗子訳・大和書房)という本のなかに、こんな話が出てきます。

<最後のバカげたシナリオ——コンサルタント選び>
 うちは結婚して10年、小さな子どもがふたりいる。最近、夫とはケンカばかり。お金のこと、家事の分担、ちっともラブラブじゃないことなど、何でもすぐに言い合いになってしまう。昨夜もまた言い争ったあと、私はこらえきれずに泣き出してしまい、とうとう、自分たちの抱えている問題について話し合うことになった。
 ふたりともまだお互いに愛情を持っていること、そして子どもたちのためにもうまくやっていきたいと思っていることはわかったけれど、やはり外部の助けが必要だ。そこで、結婚カウンセリングを試すことにした。見つかったのは次の5名のカウンセラーである。


・カウンセラーAは、結婚生活のあらゆる悩みを解決する、成功まちがいなしの5ステップのプログラムを用意。そのプログラムに従って指導を行う。第1ステップはウェブサイトに掲載されているため、家ですぐに始められる。


・カウンセラーBは、幼い子どものいる家庭の夫婦不和が専門。これまでに数多くの夫婦を扱ってきたため、問題の原因をぴたりと言い当てるという。相談者には解決方法をまとめたマニュアルが配布される。コンサルティングセッションが2回あるので、質問がある場合には、その際に尋ねることができる。


・カウンセラーCは、独自のアセスメントを用意しており、夫婦で診断を受ける。その結果にもとづき、結婚生活に関する問題のための標準的な解決ツールを使って、その夫婦に適した方法を考案する。


・カウンセラーDは有名で、著者が何冊もヒットしている。カウンセリング料は高く、予約もいっぱいで、すぐにはカウンセリングを受けられない。そのため、とりあえず独自のソフトウェアプログラムを購入するように勧められた。ステップ式のプログラムに従えば、結婚カウンセリングのあらゆる項目が網羅されるという。


・カウンセラーEは、まず夫婦に会って問題について話し合い、そこから解決に導きたいという。


 さて、あなたならどのカウンセラーを選ぶだろうか?


 ちなみに、この本には「正解」は書かれていません。
 これを読んで、僕は「自分ならどれを選ぶだろうか?」と考えてみたんですよ。
 この本の内容からすると、「型」にはめるのではなく、当事者に直接インタビューして、臨機応変に解決法を探るべきだ、ということで、「カウンセラーE」を正解にしたいのではないか、と思いました。
 でも、実際に自分がこのような状況に陥った場合、そういう選択をするだろうか?

 日本人はアメリカ人ほどカウンセリングを受ける習慣がありませんから、おそらく、「カウンセラーには頼らない」というのがもっとも一般的な回答だとは思います。
 今回はその選択肢は除外して、このA〜Eのうちの誰かを選ぶとしたら、僕だったら、「D」を選んでしまいそうな気がするんですよ。
 なぜなら、「有名だから」。
 医療の世界で仕事をしていると、「有名」であるということが、必ずしも現場での能力と比例するわけではないということもわかるのですが、それでも、自分にとってわからない世界のことだと、相手の知名度みたいなものって、選択の基準になるんですよね。


 「カウンセラーE」みたいな人って、「まずは診察してみないと、身体のことはわかりません」というタイプで、誠実ではあるのだけれど、それを相手に理解してもらうのは、なかなか難しい。
 それに、こういうタイプの人って、当たり外れがけっこう激しいし。
 ただ、「どれが正しいかわからないから、カウンセラーなんて必要ない」っていうのもまた、思い込みみたいなところがあって、ある種の問題って、専門家が介在してくれたほうが、確実に早く片付くのは事実です。


 というわけで、僕もなんだかスッキリしなかったこの問題、あなたなら、どのカウンセラーを選びますか?


参考リンク:【読書感想】『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。』(琥珀色の戯言)d.hatena.ne.jp



申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。

申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。

申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。

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