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いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

マカヒキが出走する2016年の凱旋門賞前に、僕がみてきた日本馬の挑戦の歴史を振り返ってみます。

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いよいよ今夜、今年のダービー馬・マカヒキが参戦する第95回凱旋門賞のゲートが開きます。
日本競馬界、最大の悲願とも言うべき凱旋門賞制覇をダービー馬が成し遂げられるのか?
今年は日本で凱旋門賞の馬券も売られるということで、個人的には「マカヒキを応援したい!」という気持ちと、馬券的には、日本ではマカヒキが過剰人気になるだろうから、それ以外の馬のほうが「オイシイ」のでは……と心は千々に乱れます。
まあ、お金がかかると邪念が生じやすいので、マカヒキ単勝をほんの少しだけ買って観戦するつもりです。


さて、この凱旋門賞、長年「日本競馬の悲願」だと僕も思っていたのですが、冒頭のエントリを見ていただければわかるように、日本馬の参戦が増えたのは、1999年に2着になったエルコンドルパサー以降、なんですよね。
そして、凱旋門賞が海外競馬のなかで「特別なレース」として日本で認知されているのは、1991年にファミコンで発売された『ダービースタリオン』で、凱旋門賞が「唯一の、そして世界最高峰の海外レース」として採りあげられた影響が大きいのではないかと僕は思っています。
日本馬は、ヴィクトワールピサドバイワールドカップに勝ち、あとは凱旋門賞とアメリカのブリーダーズカップ・クラシックイギリスダービーケンタッキーダービーあたりが未踏の最高峰G1、ということになりますが、そのなかでも、凱旋門賞というのは、やはり格別の印象があるのです。
最近の勝ち馬をみていると、3歳馬が有利で、必ずしも名馬が好成績を残しているわけではないのですが、ラムタラダンシングブレーヴといった歴史的な名馬が「伝説」をつくったレースでもあります。

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この凱旋門賞というのは、ふだん行なわれるロンシャン競馬場というのがけっこう特殊な難コースで、けっこう馬の適性の有無が勝負を分けるんですよね。
かなりスタミナやパワーを要求されるコースでもあり、日本に来た凱旋門賞馬たちは、軒並み、ジャパンカップで日本のスピード競馬に適応できず敗れています。
逆に言えば、日本ではイマイチな馬でも、ロンシャン向き、という馬だって存在するはずで、数打てばそのうち当たる、のかもしれません。
ただ、これだけ「日本競馬の悲願」となってしまうと、競馬ファンとしては「なんとか凱旋門賞を日本の馬に勝ってほしい(ただし、それにふさわしい馬に)」という心境でもあるのです。
エルコンドルパサーのときは、久々の日本調教馬の凱旋門賞挑戦でもあり、逃げてしまったエルコンドルパサーが最後にモンジューに捕まって2着に敗れたときには「残念だけど、まあ、そのうち日本の馬が勝つだろうな」と思ったんですよね。


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2006年のディープインパクトのときには、日本からも多くの人が応援にかけつけ、単勝は圧倒的な一番人気に。
しかしながら、レースはディープの能力の高さは見せたものの、ふだんとは違って、早めに先頭に立つことになってしまい、僅差の3着入線。しかも、のちに禁止薬物の使用で失格、という残念な結末になりました。
ディープは「勝てた」のではないか、と今でも思うのですが、競馬というのは、そういうものでもあります。
そのレースは、一度しかない。


そして、僕が驚いたのが2010年。なんと、宝塚記念を人気薄で制したばかりのナカヤマフェスタが、直線、ワークフォースとの壮絶な叩き合い。


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これ、勝つよ、勝つんじゃないか!
ワークフォースもしぶといけど、脚色はナカヤマフェスタ!行け!

ただ、このとき、興奮しながらも、「凱旋門賞をはじめて勝つ日本馬が、ナカヤマフェスタで良いのか?」とも思っていたのです。
日本競馬の「悲願」は、それにふさわしい名馬が成し遂げるべきじゃないのか。
ディープインパクトなら、もちろん合格だけれど、ナカヤマフェスタ、微妙……
だから、正直なところ、ちょっと「これで良かったのかもしれないな」とも感じていたのです。
いやまあほんと、そんな贅沢言ってるから、なかなか勝てないんでしょうけど。


そして、僕にとってはいちばん忘れられない凱旋門賞である、2012年。

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これ、結果がわかっていても、何度みても、直線で抜け出したところで、「オルフェーヴルが勝った!」って思うのです。
リアルタイムでは、当直室で観ていたのですが、拳を握り締めて、椅子の上で飛び跳ねながらオルフェーヴルを応援していました。
行け、行け、行け、やった、勝った!勝った!
……ん、なんか来た、何? ソレミア? そんなのいたっけ? 
えっ、ここから差し返してくるの? 嘘、嘘だろ、ダビスタじゃねえんだぞ!
うわーーーーーーーっ、差された……なんで……何これ……


まさにソレミア、一世一代の大駆け。
ソレミアに欧州競馬の執念が乗り移ったかのようなレースでした。
いやほんと、ここでオルフェーヴルが勝ってくれれば、文句なし、だったんだけどなあ。


翌年、2013年はオルフェーヴル自身のコンディションが絶好とは言いがたかったこともあり、トレブに完敗。
キズナもかなり健闘したのですが、勝ち負け、までには至りませんでした。
2014年は、ハープスタージャスタウェイゴールドシップという違う個性の3頭が出走。
これだけいろんなタイプの強い馬が3頭もいれば、どれかハマるんじゃないか、と期待したのですが、ハープスターの6着が日本馬最先着。


昨年、2015年は、日本馬の出走がありませんでした。
今年、2016年は、昨年のダービー馬・ドゥラメンテの出走が期待されていたのですが、今年の宝塚記念で怪我をしてしまい、無念の引退。
日本からは、今年のダービー馬・マカヒキが、前哨戦のニエル賞を制して参戦します。
前走は僅差の勝利でしたが、ああいう競馬で、キッチリ差し切るのがマカヒキの勝負強さなんですよね。


今年の凱旋門賞はロンシャンではなく、シャンティイで行なわれるのですが、それがマカヒキにとってプラスなのかどうかは難しいところ。
鞍上はフランスのコースを知り尽くしたルメール騎手なので、その点は心配なさそうです。
ただ、シャンティイは内枠有利だそうなので、かなり外寄りの、16頭中の14番ゲートからの出走は、試練になりそう。
それに、あのドゥラメンテドバイシーマクラシックで下したポストボンドなど、相手もかなり強力です。
それでも、マカヒキが有力馬の一頭であることは間違いありませんし、斤量的に有利な3歳での挑戦というのも大きそうです。


もし、マカヒキが勝ったら、どんな気分になるのだろうなあ。
どうせだったら、ロンシャンの凱旋門賞で勝ってほしい、とも思うのだけれど。
(もちろん、ロンシャンの改修工事はマカヒキのせいではありません)


夢がかなう日というのは、夢が終わる日、でもあります。
まあ、そんなことは勝ってから心配しろ、って話なんですけどね。
これまで2着が4回、だものなあ。
エルコンドルパサーディープインパクトナカヤマフェスタオルフェーヴルが勝っていても、全然おかしくなかったはずなのに。
凱旋門賞の日本馬とノーベル文学賞村上春樹さん受賞、僕が生きているあいだに、見ることができるかな……


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凱旋門賞とは何か (宝島社新書)

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こちらは随時更新中の僕の夏休み旅行記です。
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