先日、久しぶりに大掃除をしていたら、ニンテンドーDSの『スローンとマクヘールの謎の物語2』を見つけた。
僕はこのゲームの『1』にものすごくハマっていたのだが、なぜか『2』は買ったまま積んでしまい、結局、開封すらされていなかったのだ。
- 出版社/メーカー: レベルファイブ
- 発売日: 2009/05/21
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テレビゲームの大ヒット作品には、大きく分けて2種類ある。
ひとつは、『スーパーマリオ』や『ドラゴンクエスト』のように、シリーズ化されて、旧作も含めて、長い間遊ばれ続けているもの。
そしてもうひとつは、その時代に波長があったのか、新しいハードでの斬新な操作性が評価されたのか、大ヒットしたものの、何年かすれば、忘れられてしまったり、続編がつくられることもなかったものだ。
ファミコンでいえば、『忍者ハットリくん』とか、『バンゲリングベイ』とかは後者だろうと思う。
ハットリくん難しかったんだよなあ、『バンゲリングベイ』も、今となっては、「ハドソン!」しか覚えていない。というかあれ、別に「ハドソン!」じゃなくてもよかったのだ。
ニンテンドーDSというのは、今から考えると、一風変わったゲームが多かったように思う。
『ニンテンドッグス』とか、『脳を鍛える大人のDSトレーニング』とか、毎日こまめにやる系の生活密着型ソフトがたくさん出ていて、しかも、大ヒットした作品が多かった。
『スローンとマクヘールの謎の物語』がはじめて出たときには、『レイトン教授』シリーズの2番煎じっぽい印象だったのだけれど、地味な内容のわりには、かなり売れた記憶がある。
当時放映されたテレビCMが、けっこう効果的だったのかもしれない。
CMでは、『スローンとマクヘールの謎の物語』から、「ウミガメのスープ」という問題が紹介されていた。
どんな話なのか、佐藤雅彦さんが著書『毎月新聞』で紹介しているものを引用します。
「海亀のスープ」という名前の、とても面白い推理ゲームがある。マサチューセッツ工科大の学生が作ったと言われているこのゲームは、通常数人のグループでおこなわれる。「海亀のスープ」の話の真相を知っているひとりの人間が出題者となるのだが、まず出題者はほかの参加者全員に対して、この話の悲劇的な結末だけを伝える。
ここからゲームは開始する。なぜ、そのような悲劇的な結末をむかえたのか、参加者は推論して、出題者に次々と質問する。
この質問の方法、ここにこのゲームの最大の特長がある。それは、『質問は無限にしていい』ということだ。
その悲劇的な結末を、かいつまんで言うと、幸せに暮らしているある中年の夫婦がその年の結婚記念日に、海の見えるレストランで豪華な食事をはじめる。そして、最初に運ばれてきた海亀のスープをひとくち飲んだとたん、夫はテーブルの上にあったナイフを自分の心臓に突き刺し、死んでしまうのだ――。
なぜ海亀のスープをひとくち飲んだだけでその男が自殺をしてしまったのか。様々な憶測が飛びかい、様々な質問が出題者に向けられる。
出題者は、質問すべてに対して、イエス・ノーで答えなくてはならない。参加者達は、そのイエス・ノーの答えだけを頼りに、ストーリーの全貌を予測していく。解き明かすまでの、1回限りのゲームである。
さて、この夫が自殺してしまった理由、わかりますか?
これ、ニンテンドーDSで解いたとき「テレビCMで紹介する問題としては、あまりにも残酷なのでは……」と絶句してしまったので、よく覚えているのです。
もちろん、この問題文だけで「答え」がわからないのが当然です。
ゲームのなかでも、質問と「はい」「いいえ」のやりとりを通じて、「答え」が浮かび上がってくるようになっていますから。
以下はネタバレなので、いちおう隠しておきますね。
で、答えはこちら(『ウミガメのスープ』/ニコニコ大百科)を参照してください。
【解説】
男は船に乗っていた。
ある日、男の乗る船が遭難してしまった。
数人の男と共に救難ボートで難を逃れたが、漂流の憂き目に。
食料に瀕した一行は、体力のない者から死んでいく。
やがて、生き残っているものは、生きるために死体の肉を食べ始めるが
一人の男はコレを固辞。当然、その男はみるみる衰弱していく。
見かねた他のものが、「これは海がめのスープだから」と偽り
男にスープを飲ませ、救難まで生き延びさせた。
しかし、レストランで明らかに味の違う
この 「本物の海がめのスープ」に直面し
そのすべてを悟り、死に至る。
ちなみに、ニンテンドーDS版では男は家族と漂流したことになっており、「海亀のスープ」は、「衰弱して死んだ自分の息子(の肉)だった、という話になっていました。
(原作より、さらにいたたまれない感じになってますよねこれ……)
『スローンとマクヘールの謎の物語』は、20万本くらい売れて、予想外の大ヒットとなりました。
それならば、と『2』も作られたのですが、『2』は『1』の半分くらいしか売れず、『2』で終わりになったみたいです。
思い出してみると、この『スローンとマクヘールの謎の物語』って、スマートフォンで遊ぶのに、操作も1問あたりのプレイ時間もちょうどよさそうな気がするんですよね。
『レイトン教授』とか『推理の時間』とかも、スマートフォンでけっこうヒットしているし、僕はソーシャルゲームにあまり興味が持てないので、ぜひ出てほしい。
それを言うなら、『ニンテンドッグス』とか、『脳トレ』とか、けっこうニーズがありそうなのですが、課金しにくい、という判断なのでしょうか。『どうぶつの森』があれば、『ニンテンドッグス』は要らない、ということなのかな。
あらためて考えてみると、なぜ、あの時代に、あんなに『脳トレ』や『スローンとマクヘール』が売れたのだろう、という気もするんですよ。
そして、あんなにヒットしたはずなのに、続編がつくられつづけることもなく、時代のあだ花みたいになったしまった。
あれだけ売れたWii Fitは、いま、どうなっているのだろうか。ハード性能は関係なく、使われ続けていてもよさそうなものなのに。
そんなことを考えていたら、『脳トレ』の新作がSwitchで出る、というのを知りました。
果たして、今の時代に『脳トレ』は、売れるのか?
スマートフォン版があればいいのになあ、って思うんですけどね、『脳トレ』とかまさに。
でも、これだけいろんなものが出ているし、いろんなことができるはずのスマートフォンのゲームも、規模が大きくなり、制作費がかかるようになるにつれ、「同じようなガチャ課金型ソーシャルゲーム」ばかりが目立つようになっているのは、なんだか悲しい。
昔よりずっと、いろんな人が、いろんなものを作れる環境のはずなのに。
ネットの小説サイトも、「なろう小説の呪縛」から、なかなか抜け出せないものなあ。
「自由」というのは、かえってみんなを「稼げるほうへ向かわせ、画一化させる」ものなのかもしれませんね。
- 作者: 佐藤雅彦
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