いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

加齢とともに「人の幸福や幸運への苛立ち」がひどくなってきている


anond.hatelabo.jp


2024年8月5日、日経平均株価はマイナス4451円と「歴史的大暴落」でした。
news.yahoo.co.jp

昨日はとくに下げ幅が大きく、僕もめちゃくちゃな損失を食らったのですが、JTとか三井住友ファイナンシャルグループなどの「安定高配当企業」だと思っていた銘柄がストップ安になっているのを見ると、「ああ、こんな優良高配当(とされている)企業でも、こういうことがありえるんだな……」となぜか感動してしまいました。

ちなみに、日経平均株価終値の最高値は、2024年7月11日の42224円なので、1ヶ月も経たないうちに、1000円以上の下落がみられたことになります(今日、8月6日はだいぶ戻して上げているみたいですが)。

冒頭のエントリは「釣り」とか「煽り」の類かもしれませんが、僕自身も自分が株取引をするようになるまでは、株価が上がろうが下がろうが興味はありませんでしたし、株価が上がって浮かれている人たちには反感を抱いていました。
今は、自分でも取引をやっているので、上がると嬉しいし、下がると悲しいのですが、実感として、競馬のG1レースやパチンコで3万負けるときの悲しみや悔しさと、株の暴落で車1台分くらい1日で吹っ飛ぶときのショックを比較すると、なぜか前者の方が、大きいような気がするんですよね。今回の暴落に関しては、今年に入ってから、株価ちょっと上がりすぎじゃないか?と懸念していたので、「ああ、やっぱりそうなるか……」という感触もあるのです。

僕自身は、お金の損得よりも、自分の予想の当たり外れのほうに、こだわりが強い傾向がある。馬鹿馬鹿しい話ではあるのですが、株は自分の力ではどうしようもないところが大きいので(それは競馬とかパチンコでもそうなんですが)、達観できている部分もある。金額が大きすぎて、現金ではなく数字の上下だと、実感しがたい。むしろ、「大損した高揚感」みたいなものもあって、こういうのは良くない、ギャンブル依存症だな、と不安です。


率直にいうと、こういう大暴落相場で、これまで僕自身が「インデックス投資を盲信していて、他人のエントリに『複利も知らないの?』とかドヤ顔でコメントしてしまう人たちが沈黙してしまっていることに、僕は「ざまあ」という気持ちを抑えきれないのです。
知らないわけないだろうがボケェ!(失礼しました)


fujipon.hatenablog.com


あらためて考えてみれば、身内や知人以外の他の人がどれだけ儲けようが、損しようが、僕の人生にはほとんど関係ないのです。
大損した人ばかりになれば、社会は殺伐とするし、治安が悪くなるリスクはあるんだけどさ。

日本の「失われた20年(30年)」と呼ばれる経済の停滞について、日本そのものの経済の停滞はもちろんきついものがあるけれど、これまで「日本よリも貧しい」と思い込んでいた他の国の経済が発展し、日本との差がどんどん縮まり、あるいは追い越されていることが日本人を意気消沈させている、という見解もあるのです。


人は、他人と自分を比べずにはいられない。

株価云々とか投資戦略なんてものは、負け組である僕が語ることではありません。


ただ、最近、歳を重ねてきて実感しているのは、僕は、加齢とともに「人の幸福や幸運への苛立ちがひどくなってきている」ということなのです。
大変情けない話ではあるのですが、他人が「うまくいく」「すごい幸運を誇る」ことに、耐えられない。そういう話には動画に「低評価」をつけ、ブログでは「戻る」ボタンを連打してしまう。
若い頃は、そうでもなかったんですよ。もちろん、妬み嫉みはあったけれど、好感を持っている人の幸運には、素直に拍手し、自分も幸せな気分になれた。
でも、最近は「なんでコイツばっかり!」みたいな苛立ちが抑えきれなくなりがちで、そういうコンテンツには近寄らないようにして自衛しています。

人生に疲れているのか、もともとそういう人間なのか。

破産レベルじゃないから、こうして「一緒に地獄に堕ちる」ことが苦にならないのかもしれませんが、自分が1万円儲けて、誰かが100万円儲けた話を聞かされるよりは、みんなで10万円損したほうが、僕の「不幸度」は低いような気がします。


どうしてこうなってしまったのか。

ドラえもん』で、大人になったのび太としずかちゃんが結婚する前夜、しずかちゃんのお父さんが、のび太について、こう言っていたのを思い出します。

「あの青年は人の幸せを願い、人の不幸を悲しむことができる人だ。それが一番人間にとって大事なことなんだからね」


post.tv-asahi.co.jp


子供の頃にこれを読み、アニメを見たときには、正直「ふーん」って感じだったんですよ。そんなの当たり前のことじゃないの?綺麗事では?って。

でも、今、この年齢になってみると、しずかちゃんのお父さんの言葉の重さを感じずにはいられません。
人の不幸ばかり願う大人になってしまった、そして、それがどんどんひどくなってきている僕には、あまりにも刺さりすぎる。


実際のところ、株とか持っていない人にとっては、商品の値上げで業績アップ、株価上昇しろ!とか、課金ガチャどんどんやれ!みたいな株主のスタンスって、「くたばれお前ら」って感じではなかろうか。
円高だって、輸入品が安くなる、という面では生活上プラスになる人がたくさんいるわけで。

株は余裕資金でやったほうがいいよ、でも、余裕資金なんてどこにあるんだ、っていう話なんですけど。


他人の幸せを願うのは難しいので、せめて、他人に苛立ちをぶつけないように心がけ、距離を置いて余生を過ごしたいと思います。
長く生きるというのも、いろいろと難儀なことよのう。


fujipon.hatenadiary.com
fujipon.hatenadiary.com

アクセスカウンター