いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

『はてなダイアリー』が静かに幕を閉じた翌日に


2019年2月28日、『はてなダイアリー』が、16年の歴史を終えた。

βテストから『はてなダイアリー』を書き続け、2016年に『はてなブログ』に移行したあとも、はてなユーザーである僕にとっては、感慨深いというか、人生の何分の1かが終わってしまったような気分にさえなる。
とはいえ、16年前も、「今よりはちょっと若いオッサン」でしかなかったわけで、青春の一ページ云々、という気分にはならなかったのだけれど。

というか、昨日は早めに寝てしまっていて、日付が替わってから、『はてなダイアリー』終焉の日だったことを知った、というのが正直なところだ。

これだけの大きな節目の日だったにもかかわらず、ネットが寂寥感にあふれていないのは、ひとえに、『はてな』が、『はてなダイアリー』の記事を自動的に『はてなブログ』に移行する、という措置を講じてくれたためだと思う。

もし、そうでなければ、消えてしまうであろう、多くの『はてなダイアリー遺産』への惜別の声が挙がっていたはずだから。

2月から3月にかけて、というのはそういう時期なのか、こんなニュースもある。

japan.cnet.com

ちなみに、Yahoo!ブログは自分で移行しないと、コンテンツは消えてしまうようだ。
もっとも、これは「薄情」なわけではなくて、『はてな』以外のブログサービスでは、こういう対応が大部分で、『はてな』が神対応なだけなのだが。

ただし、「消さないのは無条件で良いこと」なのかは、なんとも言えないところもある。


fujipon.hatenablog.com


 『はてなダイアリー』の最終日に、いくつか、それに関する記事が出ていた。

news.nicovideo.jp
www.j-cast.com


「これからは、『ブログ』というものが流行るらしい」
「『ブログ』では、うまくやればお金が稼げるらしい」

 そんなユーザーたちのポジティブな未来予想とともに2003年にはじまった『はてなダイアリー』だったのだが、そこは僕にとっては、自分の存在意義を認めてくれる一方で、強く否定されることもある場だった。
 今も昔も、ブックマークコメントでの批判、誹謗中傷ったのだが、『はてなダイアリー』の最初の頃は、ひとつのエントリに対して、名指しで反論エントリが書かれたり、コメント欄でバトルが行われたりしていたものだ。
 「ブログはトラックバックを送ってこられるもの」でもあった。

 いまは、同じ「ブログ」というものでも、だいぶ変わってしまったような気がする。
 ある種の「めんどくさい人や争い」は減って、以前ほど、胃がキリキリすることはなくなった。


fujipon.hatenadiary.com
fujipon.hatenadiary.com


 この二番目のほうを読むと、2013年の『はてなダイアリー10周年』の記事で、

 TwitterFacebookなどのSNSが栄えて、ブログはもう時代遅れなのではないか、と言われています。
 ブログをアクティブに書いている人も、減ってきているのは間違いないし、10年前のように、新しい、面白いブログを「発見」する喜びを感じる機会も少なくなりました。

 と書いているから、それから6年間、『はてなブログ』と並行して、『はてなダイアリー』が運用されてきたのは、奇跡的なことのようにも思われる。

 他のブログサービスが終わっていくなかで、『はてな』は、相変わらずの『ブログ愛』をみせてくれている。
 初期のころよりも、ユーザーどうしの関係は「薄く」なったけれど、それでも『はてな』には、「はてな村」なんて呼ばれる「仲間意識」と「同族嫌悪」が残り続けているように感じるし。
 

news.nicovideo.jp

初期のはてなダイアリーに対し、ほかのユーザーたちと同じ場を共有しているという意識を抱いていたのは私だけではないはずだ(それゆえ、ときにはその閉鎖性を揶揄して「はてな村」などと言われることもあったが……)。


 思えば、『はてなダイアリー』というのは、インターネット上で、最後に残された、「ユーザーの所属意識が強い、大きなネットサービス」であったように思う。
 昔、パソコン通信の時代は、関わった人に対して、趣味嗜好の違いはあれ、「こういう場にいるというだけで、同好の士」というような意識があったのだが、そういう「狭いインターネット」の流れを汲んだ、最後の場だったのではなかろうか。
 『はてなブログ』にも、そういう傾向は残っているものの、『はてなブロガー』全体の仲間意識は、ほとんどなくなっている。
 外からみたら、『はてな的』な共通点みたいなものは、少なくないのかもしれないけれど。


 とりあえず、『はてなダイアリー』には感謝せずにはいられないし、「コンテンツが消えずに『はてなブログ』に受け継がれること」が、今後、ユーザーにどう評価されていくのか、見守っていきたいと思う。


 個人的には、これだけSNSが主流になってきたからこそ、一般人にとっての「ブログ」が面白い存在になるのでは、と期待してもいるのだ。
 他人に読まれなくても、自分自身にとっての「記録」という意義も、見直されてくるのではなかろうか。


fujipon.hatenablog.com

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