『めちゃイケ』最終回を観た。
1996年開始ということは、ちょうど僕が大学を卒業し、仕事をはじめた年なのだよなあ。
はじまる前の年、1995年は、阪神淡路大震災と地下鉄サリン事件が起こった年だ。
そう考えると、『めちゃイケ』も僕も、よくここまでやってきたものだ、とけっこう感慨深い。
まあでも、それと同時に、番組を観ながら、『めちゃイケ』は、ちょっと長く続きすぎたのかもしれないな、とも思っていたのだ。
そう言いながらも、僕自身は、毎回ではないけれど、みんなが「マンネリだ」「飽きた」と言うなかで、ずっとこの番組を観ていた。この番組の雰囲気が、けっこう好きだったので。
最後のスピーチで、岡村隆史さんが「お茶の間の皆さんに感謝です」と言っていたのをみて、良くも悪くも、『めちゃイケ』が終わってしまうのは、時代の流れなんだな、と感じたのだ。
いまの日本は、すっかり、個人の時代になってしまっていて、みんなパソコンやスマートフォンで、自分が好きなコンテンツを観ている
もう、「お茶の間」は、絶滅危惧種なのだ。
でも、岡村さんや片岡飛鳥さんは、「ほめられたりけなされたりしながらも」お茶の間向けの番組をつくろうとして、それが時代に合わなくなって、結果的に迷走してしまったのではないかと思う。
最終回だからといって、総集編にはしない、全部新撮!
すごいなあ、最後までがんばるなあ、と感心したのだけれど、結局のところ、メンバーが「感動のスピーチ」をして、ビートたけしさんや明石家さんまさんという「大物ゲスト」が盛り上げる、というのは、「『笑っていいとも』と同じ」なんだよなあ。
正直、もっといろんなものをぶっ壊すようなことをやるのではないか、と、ちょっと期待していたところもある。
逆に、そういう「何か新しいものを期待させてしまうところ」が、『めちゃイケ』の難しさなのかもしれないよね。
『ぐるナイ』とか、マンネリの極みのような「ゴチバトル」で長年もっていて、あっちはみんな「飽きた」とか言わないのにね。
この最終回で、いちばん印象的だったのは、「あなたにとって『めちゃイケ』とは何ですか?」という質問に対して、光浦靖子さんが「『めちゃイケ』は宗教」と答えていたことだった。
もちろん、光浦さんは悪い意味で言ったわけではない。
でも、僕は最近、というか、岡村さんの休養以降の『めちゃイケ』は、メンバーや制作側のこの番組への思い入れの強さが仇になってしまったような気がしてならない。
演者の側は「『めちゃイケ』という看板番組をやっている」と肩に力が入っていて、「俺達のチームワークでがんばろう!」と励まし合っているのだけれど、テレビのこちら側からみると、「なんだかこの人たち、内輪で盛り上がっているけど、ちょっとついていけないな、なんか、こっちは置いていかれているような……」と感じていた。
極楽山本が最終回で「復帰」するのは別にいいよ。でも、三ちゃんは、なぜ許されなかったのだろうか(本人が「出ない」と言ったのかもしれないけれど)。
外からバッシングされればされるほど、いろんなことが、どんどん内向きになっていったし、最後まで、『めちゃイケ』は、「自分たちが見せたいもの」を見せることにこだわっていた。それはそれで「らしい最後」ではあったと思うけれど。
そう考えてみると、岡村さんが言っているほど「お茶の間」のほうにも、向いていなかったのかもしれない。
ただ、それが悪いことだったかというと、視聴者のニーズに迎合しようとするだけのバラエティ番組というのもつまらないに決まっているのだ。
ものすごくひらたく言ってしまうと、番組開始の頃20代だったメンバーの感性が、年齢とともに、時代が求めるものとズレてしまったのではないか。
最近の10代、20代は、10分とか15分で完結するネット動画に慣れている世代なので、1時間も観なければならず、CMもとばせないバラエティ番組という仕組みそのものが、かったるいのではなかろうか。
僕には、『めちゃイケ』はこうして終わっていくのに、なぜ『イッテQ』は好調を続けているのか?」という疑問もあるんだよなあ。
個人的には、長年観てきた番組だけに、寂しいとは思う。
でも、「終わるのが遅すぎたのかな」とも感じている。
とくにこの数年、「もう終わる」と言われながらも続いていた期間は、「『めちゃイケ』やフジテレビを批判するとアクセスを集められる」というネット関連の人たちのターゲットにされていたし。
初期メンバーは22年もやってきたし、新メンバーは8年も「要らない」とか言われ続けてキツい思いをしてきたんだから、もうそろそろ、「『めちゃイケ』という宗教」から、自由にしてあげても良いんじゃないかな。ギャグマンガ家は、ストーリーマンガ家よりも(作品や人気の)寿命が短い、と言われているように、バラエティで22年間って、ほんとうにすごい。長い間、本当に、よく辛抱したものだと思う。こちら側も、向う側も。
岡村さんは、ここ数年、ネットで新しい「バラエティ」を摸索しているし(その一方で、深夜ラジオのパーソナリティであることにもこだわり続けている人でもある)、岡村さんのキャラクターって、ネットと親和性が高いんじゃないかとも感じるので、これが「転機」になる可能性もあるんじゃないかな。
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