p-shirokuma.hatenadiary.com
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長年ブログを書き続けている人間のひとりとして、実に「刺さる」エントリだった。
『さるさる日記』の頃から数えると、かれこれ20年近く書き続けている僕としては、自分の人生で、この時間に何か他のことができたのではないか、と考えることはよくある。
英語の勉強をしておけばよかった、とか、論文をちゃんと読んで、もっと勉強しておけばよかった、とか、もうちょっとお金を稼いでおけばよかった、とか。
せっかく、半日アルバイトをするだけで、それなりに稼げる仕事に就いたというのに。
真面目な話、家の一軒くらいは建てられたのではなかろうか。
なぜこんなに続いてきたのか、ということについては、以前、自分なりに考えてみたことがある。
続けようと思っていたというよりは、魚釣りが好きで、毎日仕事帰りの憂さ晴らしに出かけているうちに、いつのまにか月日が経ち、周りから「釣り好きのおじさん」として認知されてしまった、という感じだ。
「できる」人たちは、僕がずっと魚釣りをしている間に、釣り具メーカーを設立したり、漁船団を結成したりして、どんどん先に行ってしまった。
ブログをやるならやるで、なぜ、そういうふうにしなかったのか、と自分に問いかけてみることもあるのだが、結局のところ、ブログというのは、何かに依存しなければ生きていけないけれど、何かを信じる勇気がなかった僕にとっての、手ごろな依存先だったようにも思う。
人間というのは、自分の行動について、「もっとうまくできたはずだ」「もっとやるべきことがあったのに」と後悔しがちだ。
だが、実際のところ、さまざまな状況において、「最悪の選択肢をなんとか避けて、生き延びてきた」可能性のほうが高いような気がする。
選択されなかった未来は、けっして、正解のルートばかりではない。
いろいろありつつも、こうして40何年も生き延びてこられて、こうして書くことができる場所を確保しつづけられているのは、すごいことでもあるのだ。
ブログを書いている時間、パチンコをやっていたら、今頃破産していたはずだ。
僕の場合、ネットで人と接することによって、ネットで、そして社会での距離のとりかた、みたいなのを学んできたところもある。
僕はこうして書き続けていることを他人に話したことは身内も含めて、ほとんどない(以前、一度だけオフ会に参加したことがあるし、それは予想外に楽しかったのだけれど、がんばりすぎて、けっこう反動があった)。
自分のなかでは、20年前くらいの「アングラっぽいテキストサイト」のイメージを引きずっているし、こうして書いていることに「恥ずかしさ」も感じ続けている。本当に世の中の役に立っている医者は、目の前の患者に直接語るし、手を動かし続けているはずだ。
シロクマさんが挙げている3つのブログについては、半ば呆れつつも、つい読んでしまうことが多いのだが、たぶん、社会一般という大きな観点でみれば「ブログばっかり書いている暇なオッサン枠」に僕も彼らも仲良く入っているのだろう。
「ブログはいいよ!」って肯定できる人をみると、僕はいつも羨ましくなる。
僕は、自分が書いたものを「匿名ダイアリー」のように読んでほしい。それでも、結局は「読んでほしい」のだよな。厄介だ。
いつも同じ顔触れのブログ友人たちと仲良くやっている人たちをみると、「ちょっと羨ましい」というのと「てやんでえ、うちのお客さんは、良いものは良い、悪いものは悪いと言ってくれる人たちなんだよ!」とが入り混じってしまう。
20年もやっていて、リアル友達のひとりもできてないんだぞ。
僕の気持ちのうえでは、直接会ったり、しょっちゅうやりとりしているわけではないけど、近くに感じている人、というのはそれなりにいるのだとしても。
「群れない」おかげで、いろんな煩わしさから逃れられているところもある。
お金にしたり、仕事にしたりしようとすると、全く群れないわけにはいかないので、高等遊民の戯言みたいなところはあるけれど。
誰も読んでくれなくても書き続けられる、というほど、僕は自分の文章を愛せない。ノイズをまき散らして、申し訳ない。
誰かが「良い」と言ってくれると、「良かったんだな」と安心する。
「ダメだ」と嘲られると、その10倍くらい落ち込むのだが。
「共感」よりも「反発」や「嘲笑」を呼ぶことが集客の技術になったいまの個人ブログは、僕にはけっこうきつい。
それでも、最近よく思うのは、個人ブログというのがあまり読まれなくなったとしても、こうして続けているものには、続いているだけでも、少しは「意味」みたいなものがあるのではないか、ということだ。
うまく説明することは難しいが、僕は自分と自分のブログのことが大嫌いで、それでいて、大好きというか、見放せないのだ。
なんか今日はよく書けたな、と思った日は、ぐっすり眠れるような気がするし。
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