今週のお題「読書の秋」
先日、この本で、いろんな人が「十歳までに読んだ本」のことを語っているのを読みました。
そして、僕自身も、子どもの頃に読んでいた本のことを、あれこれ思い出してみたのです。
子どもの頃は「文学作品」とかにはあまり興味がわきませんでした。
偉人伝はけっこう読みましたが、父親が尊敬していたという野口英世の伝記にはなんだか綺麗すぎて心惹かれず、大学時代に渡辺淳一さんの『遠き落日』を読んで、「これだ!」と妙に納得したことは覚えています。
「ケイブンシャの大百科」シリーズは、好きすぎて、旅行に出かけるときもバッグ一杯に詰め込んで歩いていて、親も呆れていたのではないかと思います。このシリーズで、『マイコン大百科』を読まなければ、人生だいぶ変わっていたのではなかろうか。
とはいえ、マイコン(ゲーム)好きで、数学、物理学は苦手、という人間の人生は、それはそれで紆余曲折があったわけですが。
ただ、これを読んだのは、十歳を過ぎていたような記憶もあるんですよね。
確実に十歳までに読んでいて、今でもよく覚えている本は、「学研まんが ひみつシリーズ」です。
僕はこれが大好きで、近くにある書店に寄ってもらうために、外食のときはいつも当時は珍しかった回転ずしをリクエストして、かっぱ巻きと卵焼きといなりずしの3種類だけをローテーションで食べていました。今から考えると「魚が苦手だったのに、書店に行くために回転ずしにばかり行く長男」に、親は呆れていたのではなかろうか。
ひみつシリーズ - Wikipedia
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この画像の赤くてピカピカした背表紙に白字でタイトルが書いてある「学研まんが ひみつシリーズ」です。
『宇宙のひみつ』『海のひみつ』といったメジャーどころから、『コロ助の科学質問箱』というキャラクターもの(「コロ助」は、藤子・F・不二夫先生の『21エモン』に出てくる人気キャラ)や『宇宙人・怪獣・ゆうれい・超能力者 いる・いないのひみつ』といった、『と学会』の先駆けのような巻まで、かたっぱしから読みふけった記憶があります。
そのなかでも、忘れられないのが、「空中に浮かんでいるのに、水がどんどん出てくる蛇口」なんですよ。
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どの巻だったかは失念してしまったのですが、『ひみつシリーズ』のなかで、この「空中蛇口」の種明かしをしていたのです。
これは、蛇口から下に流れている水流の真ん中に透明な支柱と水を下から上に組み上げる装置が入っているのですが、落ちる水で隠されて、その仕掛けは見えないようになっているんですね。
水は高いところから低いところに流れるもの、という先入観を逆手にとって、「ありえない奇跡」をつくりだしているのです。
僕はこの写真をみたとき、「どうなっているんだろう?」と延々と考えたんですよ。でも、全然わからなかった。
ところが、説明されてみると、あまりにもシンプルな仕掛けで、拍子抜けしてしまいました。
それと同時に「世の中の魔法や奇跡と呼ばれるようなものは、トリックであることが多い」と知ったのです。
結局、それから40年近く、いろんなものを「あの空中蛇口みたいなものではないのか」と思いながら生きているような気がします。
疑り深くなった、という悪い意味だけではなくて、見た目や先入観だけで判断してはいけない、という戒めになっているのです。
あとは、『幸福な王子』を読んだときに、あのアンハッピーエンドっぷりに衝撃を受けたことも忘れられません。
あれを「本当の幸福」だと信じられるのが、宗教というものなのか。
秋の夜長、子どもの頃に読んだ本を、もう一度手にとってみると、今の自分のルーツを考えるきっかけになるかもしれませんね。
ちなみに、うちの長男は、このシリーズが大好きです。
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