面白いなあ、今度僕も息子がどんな反応を示すか、試してみよう、と思いながら読みました。
でも、この「一度遊んだら、もういいや」っていうのは「今の子どもだから」じゃないのかもしれません。
僕も最近ゲームをやるとき、RPGとかでも「寄り道」とか「オマケ要素」とかに、「こんなにボリュームがあって嬉しい!」というよりは、「ただでさえ時間ないのにめんどくさいな」という気持ちが先に立ってしまうのです。
どうせネットで検索すれば、答えも書いてあるし、とか、つい考えてしまいます。
自分の人生の残り時間と、遊びたいゲームの数を比べてみると、かなり駆け足で遊んでもたぶん、遊びきれなくて積み遺してしまう「ゲーム遺品」だらけになるのだろうな、とも思うし。
僕は小中学生だった頃、「コンティニューをしないゲーマー」だったのです。
「コンティニューは卑怯だ」「ワンコインでクリアできてこそ、真のゲームクリア」「そもそも、コンティニューを使えばあっさりクリアできるのだから、高いお金を出して買ったゲームがもったいない!」という信念を持っていたのです。
若いというか、幼いというか……
当時はまだ、「1本のゲーム」を手に入れるのが大変で、長く遊べるのが正義、という時代でもありました。
年を重ねてみると、なんであの頃は、シャープのマイコンとかベータのビデオデッキとかに執着していたんだろう。
タイムマシンがあるのなら、当時の自分に、PC8801mk2SRにしとけよ、とか、さっさとVHSにしておけよ、とか言ってあげたいような、でも、そうすると自分が自分でなくなってしまうような。
その「ノーコンティニュー主義」も、僕自身が実力派ゲーマーであればまだカッコ良かったのかもしれませんが、ゲームがヘタクソだったにもかかわらず、志だけは立派だったので、『魔界村』とか、せいぜい3面までしか行けなかったんですよね。そうやって、ずっと最初の面だけをプレイしているうちに、イヤになって投げ出してしまう。
それなら、コンティニューでもなんでもやって、クリアしようとしたほうが、結果的には長持ちしたはずなのに。
無敵とかになると、それはそれでつまらないんですけどね(『コンプティーク』が完売した、あの「『ゼビウス』無敵技」は、やってみたらあまりにも無敵で、なんだかとても寂しかった)。
大人になって、『ゲームセンターCX』で、有野課長のプレイを観ていると、コンティニューし放題でも、そう簡単にクリアできなかったんだよなあ……と思い知らされます。
僕のゲームテクニック有野課長と遜色なかったのですが、課長のような「粘り」が無かった。
というか、あの粘りがなければ、単に「ゲームがあんまり上手くない人」なわけで。
いつごろから、「コンティニューしてでも、先を見ておいたほうがいい」と思うようになったのだろう?
明確な「転機」があったわけじゃないのに、いつのまにか、そうなっていたんだよなあ。
そもそも、今の子どもたちには「やりたいこと、やらなければならないことが多すぎる」のではないか、とも思うのです。
家庭用テレビゲームは、最新作でなければ格安で良作が買えるし、無料で遊べるスマホゲームもある。僕が子どもの頃は、夜更かししたら本を読むかラジオの深夜放送を聴くかくらいしか、できることはなかったけれど、今はゲームもネットもビデオ観賞も、好きな時間に、自分でコントロールしてやることができる。
「暇だなあ」なんて思うことがあるのだろうか?なんて考えてしまうんですよね。
僕自身は、この20年くらい、気持ちの上では「暇だなあ」と感じたことがないのです。他者からみれば、「暇そうにみえる行動」をとっていたことは少なからずあったかもしれませんが、僕の内心では「やらなければならないこと」が破裂しそうだった。
それはもう、だから今の子どもはかわいそう、ではなくて、そういう時代を、それなりに生きている、としか言いようがないのですけど。
スマートフォンに追われて生活するのはつらい、と思うことはあるけれど、一度体験してしまうと、無しで生きていくのは、もっとつらいだろし。
『Books&Apps』に書かせていただいています。
今回は森絵都さんの『みかづき』の感想です。
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ちなみに、有野課長は『ファイナルファイト』のエンディングを見ることができませんでした(もう少しだったんですけどね)。