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12月16日にiPhone(iPad)版の『スーパーマリオ ラン』が鳴りもの入りで発売されましたが、評価はかなり両極端に分かれているみたいです。
App Storeのレビューをみても、☆5つと☆1つが多いんですよね。
で、僕もとにかく遊んでみました。
……うん、これは確かに『マリオ』だし、「片手で遊べる」。
マリオらしい繊細なジャンプの感覚や、スクリーンをタッチするだけなのに、さまざまなアクションができる。キャラクターも音楽も「マリオらしく」仕上がっている。
とりあえず、課金してWORLD3くらいまで遊んでみました。
金曜の夜に飲みに行って生ビール2杯飲んだと思えば、あるいは、映画をレイトショーで1本観たと考えれば、これだけのものが1200円で買えるというのはたいしたものです。
……が、それと同時に、僕はこれから『スーパーマリオ ラン』をプレイしないのではないかなあ、という予感がしています。
スマートフォンが一般的になって、もうだいぶ経ちます(5年くらい?)。
最初の頃は、とにかくいろんなものをダウンロードしたくて、ゲームもたくさん入れていたんですよね。
スマートフォンアプリでは昔懐かしの名作ゲーム『マッピー』とか『R-TYPE』とかが、かなり安い値段、缶ジュース1本分とかでダウンロードできたので。
しかしながら、何度か遊んでいると、スマートフォンでアクションゲームを操作するのは、ものすごくやりづらい、ということがわかってきました。
アクションゲームに限らず、RPGでも、『ドラゴンクエスト』『ファイナルファンタジー』シリーズの多くがスマートフォンアプリになって、高くても1800円とかで売られているのですが、『パズル&ドラゴンズ』や『モンスターストライク』の売り上げには、はるかに及びません。
いまのスマートフォンは、機能的には、初代プレイステーションのゲームくらいは完全移植できそうなのですが、タッチパネルだけだと、どうしても操作性に難があるのです。
そして、「スマートフォンでゲームをやる状況」というのは、ちょっとした待ち時間、通勤電車の中、寝る前の時間というような「スキマ時間」が多いので、あまり時間がかかったり、集中力を要するゲームは、向いていないんですよね。
中高生あたりは、スマートフォンを携帯ゲーム機がわりに使っているのかもしれないけれど、家に据え置きゲーム機があり、携帯ゲーム機もあるのなら、とりあえず『スーパーマリオ ラン』をやる時間があるのなら、停滞している『ファイナルファンタジー15』を先に進めたい、って思ってしまいます。
『スーパーマリオ ラン』は、任天堂らしく、丁寧に作られているし、やり込み要素もあるみたいなんですよ(僕はそこまで到達していませんが)。
開発費やゲーム機のソフトの価格を考えれば、「追加課金なしの1200円」という価格設定は、きわめて良心的だと思います。
ただ、それはもう、売る側の立場からみて、ではあるんですよね。
じゃあ、このゲームをいつ遊ぶのか?と想像してみると、僕の場合は、出張先のビジネスホテルの部屋で、なんとなく他にやることがなくなってしまったとき」あるいは「トイレの中」くらいしか思いつかないのです。
そもそも、僕はもう、『スーパーマリオ』に飽きてしまっていたのではないか?
遊んでみて、ようやくそのことを思い出しました。
『マリオ』のキャラクターが最大の魅力ではあるのだけれど、『マリオ』であるがゆえに、ハードルが上がってしまっているところはある。
そして、任天堂はできるかぎりのことをやっているとは思うけれど、スマートフォンというデバイス(機器)でのアクションゲームにはハード面での難しさが立ちはだかります。
任天堂本社がつくったわけではないけれど、『ポケモンGO』は、「スマートフォンの可能性を新しく拡げるゲーム」でした。
『マリオラン』は、任天堂がつくっただけに、「マリオらしさ」をぶち壊すわけにはいかないし、だからといって、マリオらしくしようとすればするほど、スマートフォンというデバイスとの相性の悪さが露見してしまうし……という葛藤が伝わってくるんですよね。
それでも、よくこれだけのゲームに仕上げてきたなあ、とは思うのです。
同じようなゲームのなかでは、最もよくできているグループに入る1本でしょう。
そもそも、スマートフォンのアクションゲームには「操作することそのものがストレス」なものが、少なからずあるので。
個人的には「良いゲームだし、売り上げランキングでソーシャルゲームばかりが上位にランクインしている現状を打破して、追加課金不要のゲームアプリ市場を死守してほしい」と願っています。
僕が早々に購入したのには、「支援」という意味もありました。
『スーパーマリオ ラン』でもダメなら、売り切り(一度買ってしまえば、最後まで遊べる)のゲームアプリ市場は、もう終わりかもしれません。
あるいは、昔のゲームがタッチパネルで操作性台無しの「移植」をされるだけの焦土になってしまうか。
正直、「1200円は高い」というのを聞くと、「気持ちはわかるけど、追加課金なしの有料ゲームアプリ市場はキツいだろうなあ」と考え込まずにはいられないのです。
以前、こんな文章を書きました。
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ゲーム業界、ゲーマー全体からみると、「お金があって、ゲームに使ってもいいと考えている人たちが多めに払うようにして、ゲーム制作を支える」「その世界では、子供やお金のないゲーマーも時間をかけたり、テクニックを磨くことで頂点を目指せるようなバランスにする」というシステムは、けっこう合理的なのかもしれません。
ソーシャルゲームには「お金を使える人も、使えない人も、それなりに遊べる」世界を生み出せる可能性がありました。
しかしながら、「ソーシャルゲームでお金を稼ぐための方法」が効率的に追求された結果、どうなったかというと、「同じようなガチャシステムの課金ゲーム」ばかりになってしまったんですよね。
その中で、『パズドラ』はある意味「異端」であったがゆえに、トップセールスを続けているのです。
以下に示すDeNAの経営に関する数字の推移などをみてもわかるように、このソーシャルゲームのシステムには、もうそろそろ限界がきているようです(下記のリンクはDeNAの業績を示したグラフです)。
それでも、いまや、ソーシャルゲームのほうが、コンシューマー向けの「売り切りゲーム」よりもずっと大きな市場なんですけどね。
でもこれって、バブル時代に本業そっちのけで不動産投資で稼ごうとした会社が、バブル崩壊後にその投資の失敗で、本業を巻き添えにして潰れていったのと同じことになるのでは……
ソーシャルゲームがある程度の需要を維持できるのか、「ケータイ小説」のように、巨大な花火をぶち上げた末に煙のように消えてしまうのか。
僕個人としては、スキマ時間もKindleとTwitterがあれば、もう十分なんですよね。
たぶんみんな、「スマートフォンで自分に必要なもの」がわかってしまった。
それでも、『ポケモンGO』のような「スマートフォンだからこそできる、外に出かける楽しさ」を生んだゲームもあるので、完全な袋小路だとは言えませんし、これからも、「新しいスマートフォン向けのゲーム」のための試行錯誤は続いていくことになるのでしょう。
『スーパーマリオ ラン』は、あまりにも期待が大きすぎて、損をしているような気がします。
ファミコンの『スーパーマリオ』だって、「好みじゃない」という人は少なからずいました。
「高い」と思う人は買わなければいいだけのことで、「それだけの価値がある」という人が買えばいい。
無料で「お試しプレイ」ができるのだし。
これで商売にならないようなら、大手ゲームメーカーが、スマートフォン向けに本気で有料売り切りのゲームアプリをつくるのは、難しくなるでしょうね。
ただ、「マリオは、あんまり今のスマホに向いてないな」とはつくづく思います。
『どうぶつの森』なら、絶対うまくいきそうな気がするんだけれど。
でもさ、最近、世の中にゲームの数が多すぎるよね。
なんかもう、「やり込み」とかしなくていいや、そんなことしてたらすぐ人生終わってしまいそう。
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