いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

「ファミコンディスクシステム」を30年前にリアルタイムで体験した僕の証言

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そうか、ファミコンディスクシステムが発売されたときに、まだ生まれていなかった人が、もう任天堂で働いているんだなあ……
ちなみに、ディスクシステムの発売日は、1986年2月21日。
もう30年経っているわけですから、そりゃそうだよなあ。


冒頭の記事(任天堂公式なんですね、そりゃ新品のファミコンディスクシステムが残っているはずだ!)を見て、ディスクの起動音に、「ファーミーコーンが うーれるまーえーは トランプ売っていた〜」という歌詞(?)を重ねつつ、懐かしさに浸っておりました(この歌詞、みうらじゅんさんがどこかに書いていた記憶があります)。


この『ゼルダの伝説』のオープニングには「さすがディスクシステム!」って、すごく感動した記憶があるんですよね。
オープニングテーマの最初の「ほわわわーーーん」っていう音色は、ディスクシステムのPWM音源によるもので、これまでのファミコンの内蔵音源(PSG)との違いに「ディスクシステムってスゴいな!」と感動したものです。
「ゴーン」っていう鐘の音にも、「次世代」を感じていたなあ。
このファミコンディスクのPWM音源の音色は、のちにファミコンディスクが衰退し、ディスク版のゲームが続々とROMカセットに移植された際に、カセット版では再現されておらず、「なんか違うよなあ……」と物足りない気持ちになったのを覚えています。


ゼルダの伝説』で、まさしく「鳴り物入り」ではじまった、ファミコンディスクシステム
発売当初はどこも売り切れで、入手困難だったのですが、当時の技術の進歩というのはものすごかった。
発売時には「ディスクは両面でカセットの3倍の容量!」と宣伝されていたディスクシステムなのですが、その容量は112キロバイト
ちなみに『スーパーマリオブラザーズ』(初代)は40キロバイトで、『ドラゴンクエスト』(第1作)は64キロバイトでした。『ドラゴンクエスト』で使われているデータ量は、今の携帯電話の待ち受け画面のデータ量と同じくらい、なんて言われることがあります。
そして、1986年2月にディスクシステムが発売された、わずが4ヵ月後の同年6月に発売された、ファミコン版『魔界村』は、「1メガビットROMカセット使用」を売り文句にしていました。
これがまためんどくさいところなのですが、この1メガは「ビット」で、8ビット=1バイトなんですね。
バイトで換算すると、『魔界村』は128キロバイト
なんと、「大容量」が売りだったはずのディスクシステムは、発売後わずか4ヵ月で、その容量の優位性を失ってしまったのでした。
魔界村』はあまりに難しかったため、「本当は3面までしかカセットに入っていないのではないか」と僕は内心疑っていたのですけど(実際は最終面まで入っているようです。『ゲームセンターCX』で観ました!)
カセットではパスワードだったのが、ディスクにセーブできるというメリットも、1987年4月に『森田将棋』で搭載された「バッテリーバックアップ」によって失われてしまいます。
ちなみに「ふっかつのじゅもん」から解放された『ドラゴンクエスト3』の発売は、1988年2月。


容量もセーブ機能も「追い越した」はずのカセットにあっさり抜き返され、『ゼルダの伝説』で間違ってダンジョンに入ってしまうと8秒くらいロードに時間がかかり、また出るのに8秒、という読み込み時間のハンディキャップもあったディスクシステムは、「安さ」と「500円で書き換えができること」で、なんとか命脈を保っていくことになりました。
ファミコンディスクシステムって、懐かしいし、名機だったような記憶があるのですが、あらためて当時のことを思い返すと、ロボットや光線銃(ただし光線銃は海外では大ヒット)やバーチャルボーイのような「大コケ」ではないものの、鳴り物入りで登場した割には、出オチみたいな軌跡を描いてしまったハードではあったのです。
ある意味『ゼルダの伝説』が最初にしてピークだったのかもしれません。


ファミコンディスクシステムで記憶に残るゲームは?
って聞かれたら、『ゼルダの伝説』『リンクの冒険』『メトロイド』『悪魔城ドラキュラ』『バレーボール』『プロレス』『新・鬼ヶ島』『ファミコン探偵倶楽部』『ザナック』『探偵 神宮寺三郎 新宿中央公園殺人事件』(いまでは、「タバコすう」とかいうコマンドは「ナシ」なんだろうなあ)といったところですが、指折り数えてみると、両手だけでおさまってしまうくらいで、後期はスポーツゲームかアドベンチャーばかりになってしまいます。


僕のディスクシステムのいちばんの思い出は、『悪魔城ドラキュラ』。
苦心の末にようやくラスボスを倒すまであと一撃、というところまで来たところで、「せっかくだから、エンディングをカセットテープに録音しよう!」とドタドタと急いでラジカセを取りに行って、ケーブルをつなごうとしたのです。
そのとき、「ブーン」という音がして、か、固まった……?
僕が苦心惨憺の末にたどりついたエンディング直前でフリーズした……だけではなく、『ドラキュラ』のディスクも壊れてしまったのか、その後は読み込めなくなってしまいました。
いや、たしかにそのとき、ディスクの読み込みが不安定になってはいたのだけれど、よりによって、このタイミングかよ……と。
あれは本当につらかった。ディスクの『悪魔城ドラキュラ』音楽も世界観も素晴らしかったのだけれど。

「時代の徒花」みたいな感じもするディスクシステムなのですが、だからこそ、忘れがたい存在でもありますね。
「500円で書き換えて新しいゲームで遊べる」なんて、当時としてはまさに「破格」だったのだけどなあ。


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これはカセット版の動画。やっぱりオープニングの音楽が、ちょっと違う……


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