本日、2015年11月22日の午前9時からの「題名のない音楽会」は、『ゲーム音楽史の音楽会』でした。
番組での演奏曲リスト
1『スーパーマリオブラザーズ』(1985年)
2『ファイナルファンタジーⅤ』より「マンボdeチョコボ」(1992年)
3『モンスターハンター』より「英雄の証」(2004年)
『パズル&ドラゴンズ』より「Departure」(2012年)
4『ファイナルファンタジー』より「メインテーマ」(1987年)
5『ゼルダの伝説』より「メインテーマ」(1986年)
『スペースインベーダー』以来、『ゲーム音楽』に触れてきている僕には、こうしてテレビゲームの音楽が、地上波の「音楽番組」で採りあげられることそのものが、やはりまだ感慨深いものではあるのですよね。
『ゲーム音楽』と「オーケストラ」といえば、すぎやまこういちさんの『ドラゴンクエスト』が採りあげられることが多いのですが、今回は、もうひとりのゲーム音楽の柱である植松伸夫さんがゲストでした。
植松さんの話をもっといろいろ聴きたかったのですが、30分は短いよなあ。
選曲も、「『モンハン』の新作のプロモーションか?」と思ったのですが、聴いてみると、やっぱり最近の曲というのは「オーケストラで演奏されていても、まったく違和感がない」ですよね。
最初に『ドラゴンクエスト』がCD化されたときには、「クラシックの名門オーケストラが、ゲーム音楽を演奏した!」ということそのものがニュースだったのですが、いま、この番組で演奏している、シエナ・ウインド・オーケストラのメンバーのほとんどは、『スーパーマリオ』とか『ファイナルファンタジー』で遊んだことがあって、「これこれ!」って思いながら演奏していたのではないかなあ。
いや、彼らにとっては、『スーパーマリオブラザーズ』は、「昔ものすごくヒットした(らしい)ゲーム」なのかな……
司会の五嶋龍さんも大のゲーム好きらしいです。「大好きなゲーム」ということで自ら選曲した『ゼルダの伝説』の演奏には、胸が熱くなりました。
番組のなかで、植松さんは、「たった3つの音で面白い音楽をつくる努力」の話をされていたんですよね。
植松伸夫「作り手としても、3つで音楽をつくるということ自体が『ゲーム』なわけです」
ハードの進化によって、現在は「普通の音楽」をゲーム中に流すことができるようになったのですが、正直、「昔に比べると、印象に残るゲーム音楽が少なくなったなあ」という気がします。
もっとも、僕も年をとって、昔ほどゲームばっかりやっているわけにはいかなくなった、という面もあるのでしょうけど。
ファミコンの音源は、「音階の演奏ができるモノフォニック(単音)のパートが3つと、ノイズのみが演奏できるパートが1つ、の計4パート/4ボイスという構成」なのだそうで、この「3音」で「普通の音楽」をやるのは至難のワザ。
それでも、植松さんやすぎやまこういちさんのような「ゲーム音楽家」たちは、その制約のなかで、たくさんの名曲をつくり出しました。
ゲーム好きの作曲家たちにとっては、「制約」が、かえって「やりがい」になっていたようでもありますし。
以前聞いた話では、すぎやまこういち先生は、植松さんの「3音だけってのは、やりにくいですよね」という問いに、「音楽なんて2音で充分。ドラクエは2音で作ってるよ。残りの1音は効果音に使ってる」と答えられたそうです。
植松さんは、NHK-FMの『ゲーム音楽三昧』に出演されたとき、「あの時代だったから、僕が音楽をつくらせてもらえたんだと思う。いまはゲーム音楽の世界にも音大出の人とかがどんどん入ってきているから」と仰っていました。
そういえば、あの『ファイナルファンタジー10』の名曲『ザナルカンドにて』は、「ある演奏家に頼まれてつくった曲のひとつだったけれど、あまりにもせつなすぎたので『お蔵入り』になっていたのを『10』のスタッフに聴かせたら、あの場面に使われた」とか、「『Eyes On Me』がゴールドディスクを受賞したとき、授賞式に呼ばれていたんだけど、ハワイで新作の仕事が押し迫っていて出席できなかった。すごい有名人たちを間近に見られる、一生に一度のチャンスだったのに!」というような話もありました。
『ビッグブリッヂの死闘』は、けっこうチャチャッとつくったような曲で、こんなに人気になったことに驚いたとか。
現代を生きている人にとっては、「ゲーム音楽」っていうのは、本当に身近な存在になってきたな、と感じる30分でした。
最初のワンフレーズだけで、「あっ、『スーパーマリオ』だ!」と世界中でみんなが答えられるほど認知されている「音楽」は、他には存在しないのではなかろうか。
そういえば、僕も『ドラゴンクエスト』の「序曲」とか、『スーパーマリオ』を学校のピアノで弾いたり、リコーダーで吹いたりしていたよなあ。
教科書に載っている曲には、まったく興味がわかなかったんだけれど。