いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

ふたりのジャイアンの「約束」

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僕にとっての「ジャイアン」は、たてかべ和也さんの声です。
ヤッターマン』名物の三悪も、ついに欠けてしまったな、ドクロベエ様も逝ってしまったし……
「不器用な、大きな人」の役が多かった、たてかべさん。


『TV Bros・2005/4/2~4/15号』(東京ニュース通信社)の記事「ゆくドラ くるドラ」より。
(2005年に『ドラえもん』の声優が一新されることが決まったときの、ジャイアン役だった、たてかべ和也さんと、スネ夫役だった肝付兼太さんの対談記事の一部です。)

聞き手:26年も5人一緒にやり続けてきた愛着のある役を降りるわけですけど、キャストを変わると伝えられたときは、どう思いましたか?


たてかべ:そういう時期に来てるんだな、と割と淡々と受け止めましたね。


肝付:まあ、いつまでも僕らができるわけはないんだし、映画25周年はいい節目かなと思いましたね。


たてかべ:本音を言えば寂しいですけどね。


聞き手:先日、ついに新しいメンバーが発表されました。その時どう思いましたか?新メンバーのことは知っていたのですか。


たてかべ:肝心のジャイアンは…。


肝付:年齢聞いてびっくりしたねえ。


たてかべ:僕より体格はジャイアンですけどね(笑)。でもこんなに若いんだから、思い切ってなんでもやってみればいい。ただね、僕は新しいジャイアンとお酒を飲みに行こうと思ってたんです。でも14歳じゃいけない(笑)。それだけが残念。


肝付:関智一君は前にスネ夫の幼少の頃をやったことがあるんで、ピッタリと思いましたね。


聞き手:新メンバーにひと言お願いします。


たてかべ:自分たちなりの『ドラえもん』を作っていけばいいんで。『ドラえもん』の心を次につなげていく気持ちだけ持っていれば、それでいいと思います。


肝付:僕らの声が耳に残っているでしょうけど、初めて自分がやるんだという気持ちで演じればいいんじゃないかな。


たてかべさんの訃報に、「現ジャイアン」の木村昴さんは、Twitterでこんなお悔やみの言葉を述べておられます。

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木村さんは、「また、一緒にお酒、飲んでください」と書いているけれど、ふたりの「ジャイアン飲み会」は、実現されたのだろうか?
ネットで、検索してみたのです。

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ああ、よかった。
このふたりの楽しそうな様子をみていたら、なんだかもう、涙が止まらなくなってしまって。
たてかべさんは5年前、スキルス胃がんという大病で手術をされて、なんとか一命をとりとめたそうです。
もし、神様が存在するのであれば、このふたりのジャイアンの乾杯のために、たてかべさんの命を延ばしてくれたのかもしれませんね。
5年前、木村さんは、まだ未成年だったのだから。


たてかべさんが亡くなられたのはとても残念なことだし、寂しい。
でも、この写真をみたら、「ああ、ジャイアンは、やっぱり、一度した約束は何があってもちゃんと守る、『男の中の男』だな!」って、嬉しくなって、また泣けて。


僕のジャイアンは、たてかべ和也さん。
僕の息子のジャイアンは、木村昴さん。
ふたりの人が演じているけれど、どちらも、ジャイアン


ジャイアン、ありがとう。
一度くらい、生リサイタル、聞いてみたかった……ような気もするよ。
これからも、僕の息子たちをよろしくね。

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