いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

「会社を休む」ということ

参考リンク(1):会社休むのに理由なんていらない - レールを外れてもまだ生きる - 派遣OLブログ
参考リンク(2):上記エントリのブックマークコメント


参考リンク(1)の内容を読むと、ああ、けっこう「煮詰まっている」状態だったんだな、あんまりひどくなりすぎないうちに、「ガス抜き」できてよかったんじゃないかな、と思ったんですよ。
でも、正直ちょっと、うらやましいというか、スッキリしないところもあって。


参考リンク(2)でのブックマークコメントの数々を読んで、たしかに「理由」って、関係ないとも感じました。
有給休暇というのは、与えられている権利なのだから、休むのかどうか、休むとすれば、いつ休むのか?それだけ(なるべく早めに)明確にしておけば、いいだけの話ではあります。


とはいえ、僕はネットの人たちが「社畜になるな」「休んでいいんだよ」というアドバイスをしているのをみるたびに「でも、誰かが休むっていうのは、その分の仕事のしわ寄せが、誰かに来るってことなんだよな……」と考え込んでしまうんですよね。


僕自身も職場で、昔、「休まれる側」で、つらい思いをしたことがあって。
まだ仕事をはじめて間もない頃だったのですが、同僚に「すぐ休む人」がいたんですよね。
その人が「急用」や「体の不調」でいなくても、病棟の入院患者さんもいっしょにいなくなるわけではないし、外の病院の当直にも、誰かが代わりに行かなければならない。
自分の仕事だけでもクタクタだった時期に、そうやって仕事が増えていくことに、僕たちは辟易していたのです。


内職的な、自分のペースでやれる仕事であれば「休みたいときに休む」のは、全然構わないと思うんですよ。
収入と自分の体力、時間の使い道のバランスを、自分なりにとればいいのだから。


でも、「みんなで分担してやるような仕事」の場合、いくらそこがブラック企業であったとしても(いや、ブラック企業であればあるほど)、誰かが急に休んだ場合のしわ寄せが来るのは、同じような立場にある同僚です。
みんなでストライキでもやれば、会社は困るでしょうが、現実問題として、その会社が潰れたら路頭に迷う人もいる。


多くの場合、「戦うべき対象」であるはずの会社は何もダメージを受けず、同僚が、さらに苦しむだけ、ということになります。


そんな社会は間違っている、たしかにその通り、なんですよ。
「医者とかは、収入面で恵まれているし、『責任がある仕事』なんだから、そのくらいは受け入れろ」と言う人もいるでしょう。


参考リンク(3):担任、息子の入学式へ…高校教諭勤務先を欠席、教育長が異例の注意(埼玉新聞)


これに対するtwitterでの反応を読んでみると、世の中もだいぶ変わってきたなあ、と思うのです。
でも、ネット上での第三者の反応と、このクラスの生徒の親や関係者の反応が乖離しているようにみえるのもまた事実。


 ネットで「評論」する人たちの、俯瞰的な立場からみた「正しさ」、自分がその場にいない人間にとっての「正しさ」は、当事者たちにとっての「正しさ」や「現実的な困惑」を、必ずしも反映していないように思われるのです。


 僕は「有給を使うな」とは思っていませんし(僕も使うし、一緒に働いている後輩にも、申し送りさえちゃんとしておいてくれれば、当然の権利なんだから使ったほうがいいよ、と言っています)、精神的、肉体的にどうしようもないときは、「ぶっ壊れてしまうよりは、休養をとって、回復してから復帰してくれたほうがいい」とも考えています。
 でもまあ、率直なところ、「あんまり休まれるとつらいなあ」とも思うし、自分自身も、有給を使い切るような「覚悟」は持てないのです。
 「休むための準備のほうが、かえってめんどくさくなってしまう」という面もありますし。


 人間の身体はひとつしかないので、この先生の事例のように「息子の入学式と、自分の生徒の入学式と、どちらかを選ばなくてはならない」というような事態もあって、どちらをとっても、「正解」であり、「間違い」でもある、という状況も出てくるわけです。


 全体的な傾向としては、20年前くらいに比べれば「働いている個人の権利」が、以前よりは重んじられている社会になっているようには、みえるんですけどね。
 それでも、祖父が亡くなった直後にマウンドに上がるプロ野球の投手や、親の訃報を聞いても舞台に上がる歌舞伎役者の話が「美談」になりがちな世の中であることに、変わりはなくて。


 僕自身も「休みたいときに休めるような世の中」になってほしい、とは思うんですよ。
 その一方で、「忙しさ自慢」をしてみたいような気分になることもあって、なんか病んでるよな、と自分でも感じます。
 しかし、この学校の先生、どうすればよかったんだろうね……
 

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