いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

あの頃、中学生だった僕と『ドラゴンクエスト(1)』

『ドラゴンクエスト(1)』(Wipipedia)より。

ドラゴンクエスト』(英語: DRAGON QUEST)は、1986年(昭和61年)5月27日に エニックス(現:スクウェア・エニックス)より発売されたファミリーコンピュータファミコン・ FC)用ロールプレイングゲーム

スマートフォン版『ドラゴンクエスト』僕も開始時刻を待ち構えてダウンロードしたのですが(結局、12月10日まで無料配信されることになりました)、まあなんというか、懐かしいような、スマートフォンでやるのは操作がつらいなあ、とあらためて思い知らされたような。
そもそも、スマートフォンのゲームって、あんまり長時間続けてやることはないですしね。
しかし、もう発売されてから27年になるのか……というのは、実に感慨深いものです。


ドラゴンクエスト』って、たぶん、いま20代くらいの人にとっては、「物心ついたときから、続編が心待ちにされ続けている、大ヒットゲーム」だったと思うんですよ。
でも、僕にとっては、そうでもなくて。
今回あらためて「1」をやりながら、「1」発売当時のことをあれこれと思い返してみました。
当時、エニックスは、アドベンチャーゲームポートピア連続殺人事件』で、ファミコンの「思考型ゲーム」に先鞭をつけ、今度はRPG(ロールプレイングゲーム)だ!ということで送り込んできたのが『ドラゴンクエスト(1)』。


しかしこの『ドラゴンクエスト』、少なくとも、僕の周囲での前評判はそんなに高くなかった記憶があります。
週刊少年ジャンプ』の『ファミコン神拳』で、堀井雄二さんたちが紹介すればするほど、「身内ボメだしなあ……」とか「『ポートピア』はなんか微妙だったしなあ」というような警戒感も増してきて。


そもそも、当時の『ドラゴンクエスト』って、ファミコンから入ったゲーマーには「数字でレベルが云々とかって、アクションシーンもなくて、本当に面白いの?しかも中世のファンタジーって言われてもさあ」って思われていましたし、僕みたいな『ログイン』を愛読していたマイコンゲーマーは「これ『ウィザードリィ』や『ウルティマ』のパクリだろ、しかも主人公ひとりって、単純すぎるし。ま、ファミコン向けのおもちゃだよな」と内心軽んじていたわけで。
まあ、そう言いながらも、当時の僕は肝心の『ウィザードリィ』も『ウルティマ』も、一度も遊んだことはなかったんですけどね。ゲーム耳年増だったわけですよ、あの頃は。
(ちなみに、のちに『ウィズ』も『ウルティマ』も遊んだのですが、正直「これ、『ドラクエ』のほうが面白いな……」と思いました。堀井さんやっぱりすごいや。


ところが、その『ドラゴンクエスト』半信半疑で買ってきて遊んでみたら、滅法面白かったんですよこれが。
3日間でクリアしたのですが、本当に濃密なゲーム体験で。
転校したばかりで、なんとなく言葉を交わす機会も少なかった中学校の同級生とこのゲームの話で盛り上がり「たいようのいし」の場所を教えてもらったのは、いい思い出です。


最後「りゅうおう」との対決は、こちらがレベル20。
MPもやくそうも尽き、この一撃で倒せなければやられる……と覚悟した、その最後の一撃で、「りゅうおうをたおした!」ときには、本当に嬉しかった。
そして、あのエンディングの感動。
それまでのゲームのエンディングって、ボスを倒したら「Congratulations!」という表示と画面一枚分くらいのお祝いメッセージが出ておしまい、というものがほとんどでした。
ところが『ドラゴンクエスト(1)』は、りゅうおうを倒したあとも、ゲーム中のキャラクターがみんな祝福してくれて、荘厳なエンディングテーマとともに、エンドクレジットが流れていくのです。
ドラゴンクエスト』は、ゲームのエンディングを変えた。
クリアした夜、もう遅い時間だったのに居ても立ってもいられず、アンケートはがきに「感動しました!」とたくさん感想を書いたのを覚えています。
(ちなみに、そのおかげか、後日「『2』が出ます!」という案内はがきがゲーム雑誌に情報が出る前に送られてきて、すごくうれしかった)


実際のところ、『ドラゴンクエスト』が売り切れでなかなか買えなくなったのは「2」からで、「3」のときには行列が朝のワイドショーで採り上げられたのをみて、「ゲームもこんなふうに『ニュース』になる時代が来たんだなあ」と感慨深いものがありました。
いまは、新型ゲーム機やiPhoneの発売が夕方のニュース番組のトップになることも珍しくないのですから、時代は変わったものです。


で、今回、スマートフォン版『ドラゴンクエスト1』をやっていて思ったのは、『ドラゴンクエスト』の「らしさ」って、すぎやまこういち先生の音楽が大きい、ということでした。
操作性は悪いし、ゲームの内容もシンプルです。
でも、あのオープニングの「序曲」を聴いただけで、「おお、『ドラクエ』!」っていう気分になってしまう。
これはもう、『スター・ウォーズ』と同じ。


まあ、操作性はたしかに悪いのですが、昔は「ふっかつのじゅもん」とか入れてたし、「はなす」とかのコマンドを選ぶ必要もなくなったのだから、27年前よりは進化しているよなあ、なんて思ってみたりもするわけです。
もちろん、もっと操作しやすいほうがいいので、「2」以降は改良をよろしくお願いしたいわけですが。


それにしても、あの頃中学生だった僕がいま40歳越えですから、ファミコンで半信半疑で「1」を買った同志たちの子どもが、今回スマートフォンドラゴンクエスト1』を初体験している、というのも珍しくないのでしょうね。
彼らは、いったいどんな気持ちで、この『歴史的大ヒットゲームの第一作』で遊んでいるのだろうか。

アクセスカウンター