いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

「クイズ王」たちの黄昏

 『はてなブログ』に入れてもらえたので、最初のエントリを書いてみる。

 とはいえ、僕の『はてなダイアリー』は、すでに「個人情報以外は、なんでもあり」なので、こちらで何を書けばいいのか、悩んでいるのですが。  とりあえず、このあいだ観た、『WQC(ワールド・クイズ・クラシック)』の話でも書いてみようかな。

 『アメリカ横断ウルトラクイズ』の第1回優勝者(もう34年前の話で、松尾さんはもう73歳になられているんですね)や、「クイズと結婚した女」石野まゆみさんなどの「クイズ有名人」がたくさん出場していて、僕はけっこう懐かしかったのですが、でもまあ、いろいろと思うところもあったのです。

 僕も「クイズ好き」だからなおさら。

 

 あの番組に出てくる出場者たちは、みんな「自信満々を通り越して、傲慢な人々」のように見えました。  僕はちょっとびっくりしたよ。テレビであんなに「自分はすごい!」ってあからさまに宣言する人たちを観たのは、久しぶりだったから。  いまは、スポーツ選手や芸能人も「謙虚さ」がないとバッシングされる世の中だし。

 その一方で、素人参加クイズが『アタック25』くらいしかない現在のテレビ業界における彼らの「哀愁」も、際立っていたんですよね。

 ある出場者は、「クイズ番組に出場するために、オーディションに自由に出られる仕事」についているそうです。 この人はいま40代後半。コールセンター勤務。 番組内では、「クイズで稼いだ賞金が1500万円!」と紹介されていましたが、僕はその金額を聞いて、せつなくなりました。 コールセンターの仕事をバカにするわけじゃないですが、あんなふうにクイズを極めるだけの頭脳とやる気があれば、フルタイムで働く専門職に就き、もっと稼ぐことが可能なはずです。 1500万円というのは、それなりの大金ではありますが、あれほど人生をクイズに捧げても、金銭的には、そんなものにしかならないわけです。

 それでも、人はクイズに賭ける。

 いや、クイズに囚われてしまう人がいる。

 

 彼らが、あんなに傲慢な態度をとれるのは、たぶん、僕たちが「クイズに囚われた人々」に哀愁を感じているからです。

 『TVチャンピオン』とかでもそうですよね。  彼らの「一芸」は、「すごいけれども、ちょっとズレている」。

 人生をそれなりの成功には導いてくれるけれど、少なくとも大富豪になれるような能力ではない。あるいは、その能力を得るために積み重ねた努力に、その成果は見合わない。  「クイズ」とか「大食い」だから良いのであって、「外見の良さ」とか「高収入のスポーツ選手」とか「学歴」とかだったら、視聴者は、彼らの「プライド」を正視できないのではないかな、と思うのです。   だって、「クイズのために、お役所勤めで独身生活を続けているなんて、物好きだねえ。もっと『役に立つ』ことにそのアタマを使えばいいのに」って言えないからさ、そういう「真の勝ち組」の人たちには。

 しかし、あの番組に出てきた「クイズ王」って、考えてみると、「有名ブロガー」に似てますよね。  その能力、もっと有意義に使えよ、って、みんな突っ込まずはいられないところとか、本当にクイズが好きなのか、ここまでクイズで生きてきたから、もういまさら自己否定もできなくなってしまったのか、よくわかんないところとか。

 クイズ王のなかにも、クイズを武器にして放送作家になった人がいれば、大学時代はクイズ研究会で鳴らしていたのに、「卒業」してしまう人もいる。

 そして、いつまでも「クイズに答える」ことにこだわり続ける人もいる。

 あの人たちは、あれで幸せなのかなあ?  そう思いながら、僕はWQCを観ていました。

 たぶん、幸せとかそういうんじゃなくて、そうせずにはいられない、ということなんだろうと思うんですよ。

 僕もそうだし、たぶん、みんなそうなんだ。

 人って、「幸福になりたい」って言いながら、結局、「やらずにはいられないことをやっていたら、いつのまにか年をとって、死んでしまう生きもの」なんじゃないかな。  ああ、なんか結局いつもとおんなじようなことを書いてしまった。

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